実力があるのに面接で落ちる人 その2

○すぐに同僚や知人に相談する人

よく、「狭い業界ですから…」と、言いますよね。どんな業界でも、ご自分の所属する業界を狭いと感じている方が多いかと思います。製薬業界にいたってはおそらくそれに輪をかけて狭いですよね。例えば丸5年も経つと、ほとんどの同業他社の会社に知り合いが数人ずつ居るような状況になりますね。逆に言えば、5年もやっているのに他社に知り合いがあまり居ないという人は、コミュニケーションに問題があるかもしれません。

ということで、製薬業界の人々は、同業他社の人々とコンタクトも簡単に取れる環境に居ます。場合によってはプライベートでもかなり仲良くなったりするものです。

そんな中で、当然転職云々の話は出回るのです。今度面接に行く予定のA社の知り合いにちょっと聞いてみようかな…なんて話にはすぐなるのです。そこで実際にA社の知り合いに電話をかけてみると…

ウチ? ああ、それやめておいたほうがいいよ!

半数以上、もしかしたら90%以上の方が、ご自分の所属する会社についてはこのように言うかと思います。理由は簡単です。自分の会社のことを、

ウチ、マジで最高。すげーお勧めのよい会社だよ。戦略もうまくやっているし、よい新製品出るし、周りの人も良い人ばっかり…。

こんな風にいう人、いませんよね。実は、実際に良いと思っていたとしても、このように言う人は少ないと思います。

従いまして、自分の受ける会社の噂というのは、ほとんどがネガティブな場合が多いのが現状です。その噂に惑わされるとどこにも転職ができなくなる可能性がありますよ。待遇や勤務地など、あらゆる情報を知人から集めようとする人が居ますが、やればやるほど不安が募ってきます。そこで、こういう方に申し上げたいことは、

「パーフェクトな会社ってありますか?」

ということです。転職の際に知人から情報を集めることは悪いことではありませんが、惑わされないようにしていただきたいと思います。情報を分析しすぎると、転職できなくなります。

知り合いにあまり話さないほうが良いという、もうひとつの理由があります。たとえばこんなケースです。

山崎さん、ぼく、今度山崎さんの居る会社受けるんですけど、どう思いますか? 何か情報ありますか?

こんなときに、聞かれたほうはどう思うでしょうか。

あれ、ウチ募集してるのか…。

ここまでなら、ネット上でもわかることだと思います。しかしながら、さらに突っ込んだ相談になると、一気に事がややこしくなります。

山崎さん、それで、僕、東京支店の支店長さんと面接するんですが、どんな人ですか?

え!! ウチの支店か。。でも人員は充足しているよな…増員? ちがうよな…え、もしかしてまだ社員に言ってないけど、これから転勤があるのかな???? だとしたら、誰だろう? ちょっと所長に聞いてみようかな・・・

その後、山崎さんの会社内で、誰が転勤になるのかなど大騒ぎになることは明らかです。しまいには、■■製薬の何某という奴がウチ受けるらしいんだけど・・・という話にまで発展します。MRであれば、車を運転しながら移動時間にハンズフリーのモバイルでみんな話しまくってることでしょう。

そうこうしているウチに、噂が飛び交っていることが本社にまで伝わり

ちょっと、社内がナーバスなので、今回の採用は一旦中止にします。

なんていうことになりかねません。面接を受けるということ自体が、コンフィデンシャルです。情報を集めることは、悪いことではありませんが、何でもかんでも話す人は、結局実力があったとしても、思わぬところで転職に失敗する可能性があります。それは控えるべきです。なぜかといえば自分自身を守るためでもあるからです。

実力があるのに面接で落ちる人 その1

○面接のスケジュールができない人。

採用企業は履歴書・職務経歴書もさることながら、当然人物重視で採用を進めます。当然のことではありますが、面接が重要になってくるのです。ただ、その重要な面接ですが、実はそれ以前の問題を抱える方がかなり多くいらっしゃいます。それは面接のスケジュールができない人々です。

エージェント:「○○製薬ジャパンの一時面接ですが、先方から○月○日の日程が提案されていますが・・・」

候補者:「あ、その日は上司との同行があり難しいです。」

企業側の人事部は、採用活動が本格化するとかなり多忙になります。それも当然です。なぜなら、1名の内定者を出すために、平均してだいたい4人くらいの面接をします。例えば4人のうちの2人が二次面接へ進むことになると、次のステップは実際の支店長や所長になる場合、支店長や所長と候補者との面接を2スロットスケジュールしなければなりません。支店長や、所長はご存知のようにそんなに暇ではありませんので、そのスケジューリングはとても大変な作業になるのです。つまり、1名の内定者を出すために、一時面接で4スロット、2時面接で2スロットの最低でも6時間くらいの時間を空けなければいけないのです。これが2名の内定者であれば、単純に2倍、3名なら3倍です。

従いまして、企業側から提示された面接日程というものは、実は忙殺された中で搾り出された時間であり、大げさに言えば二度とないチャンスなのかもしれません。その貴重な日程と上司との同行をどのように天秤にかけるかということが候補者側の課題になります。もちろん、現職の業務をおろそかにする事は、プロフェッショナルとしてどうなんだろう? という意見もあるでしょう。 しかしながら、よほどの状況(例えば自分が司会をする研究会がすでにセットされている)でなければ、ある程度は調整できるはずです。自分の将来のチャンスと天秤にかけられますか? 単なる上司同行やただアテンドすればよい研究会などであれば、何らかの方法で調整できるはずです。

実は、企業の人事部によっては、その調整能力が見られる場合があります。面接日程が2週間先であれば、仮にその時間がバッティングしていたとしても、なんとかハンドリングできるだろう…と。そのハンドリングができない候補者って、どうなんだろう? という疑問にも発展しかねません。 

また、これはリクルーターとしての経験なのですが、実は優秀な人ほどもちろん忙しくはあるのですが、優秀な人ほど当然ヘッドハンターも多くコンタクトしますし、また優秀な人ほど多忙な中で面接調整をしてくれるのです。そういうものです。

実力のある方々、企業側から提示されたピンポイントでの面接日程を調整することも、貴殿の実力のうちですよ。

AbbVie !! アブビー アボット分社化による新会社名決定 

2012年末までに分社化を決定しているアボットが新会社名を発表しました。

Abbott Selects AbbVie As New Name For Future Research-Based Pharma Co.

これはナスダックの記事ですが、アボットはNYSEに上場しています。 スピンオフの新会社がナスダックかNYSEはちょっと不明です。 いずれにしても分社化して上場し、投資をされやすくすることでリサーチベースの企業を作っていくということだと思います。 また一部アナリストによれば、ヒュミラに頼りすぎていたアボット本体から切り離し、上場し、研究開発を加速するとの思惑もあります。 ヒュミラに、リュープリン、シナジスにCNS、そしてオンコロジーとHIV用薬のパイプラインをさらに太くしていくことだと思います。 従来のプライマリー領域はアボットで存続します。

現アボットのヴァイスプレジデントであるリチャード・ゴンザレスさんがAbbVieのCEOになる予定とのことです。AbbVieのカタカナ表記はまだ決まっていませんが、ネット上ではすでに「アブビー」と表現されていますね。 発音的には「アッビー」に近くなろうかと思います。 ゴンザレスさんによるとAbbottのAbbはそのまま使い、Vieに関してはラテン語の生命に相当する言葉であるとのことです。

確かに、素晴らしい人生は、セラヴィですよね。 ラヴィアンローズといえば、バラ色の人生。 ここで吉川 晃司を思い浮かべた方は僕と同世代ですね(笑) 生命のViですね。

生命関連製品である医薬品を司る企業としては、AbbVieは素晴らしい名前ですよね。 いやあ、しかし考えるもんですね。

昔から存在する企業名は設立者の名前だったりしますよね。 一昔前は、M&Aでは創業者が二人になってしまうので、仕方がなく二社の名前をつなげたりしましたよね。 マリオン・メレルダウとか、ベックマン・コールターとかですね。

しかしながらspinoffになると完璧に造語にする必要がありますかね。今回のAbbVieは、なんだかCovidienを連想してしまうのは僕だけでしょうか。CovidienはTyco Healthcareからspin-offした企業で、これも造語ですよね。 collaboration と lifeにインスパイアされたらしいですから、まさに生命のviを使っていますよね。 たしかに似てるなあ。 また、Vをcapitalにするのは何となくインパクトがありますね。 Vは縁起が良いですよね、capitalにして映えます。inVentiveもそうですね。

spinoffで新社名になり、これから各メーカーの主力領域に成長するニューロサイエンス、オンコロジー、HIVや抗体医薬などに次々と特色を出していくAbbVieには注目が集まるのも当然ですね。日本でもグローバルに準じて組織改編があるとのことですので、今年2012年中には誕生しますね。 ロゴマークは新会社誕生時にヴェールを脱ぐとのことです。 きっとAbbottは現在大忙しでしょうね。 実は本日所要で田町のビルに行く機会があったのですが、心なしか皆さんご多忙のご様子でした。

AbbottそしてAbbVieに期待大ですね。今後の成り行きには注目が集まると思います。 採用が多くなると良いなあ(^_^;)

 

MRが転職しなきゃいけない理由

別に不満があるわけでもないのに、むしろ現状とてもうまく行っていて毎日が楽しいのに。

あるんです。これだけの転職する理由が。今回はMRの話です。

生涯賃金

MRの一般的なキャリアパスは、営業所長や支店長です。リエゾンやプロダクトマネージャーその他本社のポジションに就く場合もあります。理科系の方は開発のほうへ進む場合もあるかと思います。ただ、結果的に多くの場合はMRであれば営業畑でのキャリアパスが趨勢を占めます。

将来のキャリアアップもありますが、基本的には楽しく仕事をして毎日を有意義に送り特段不満の無い待遇である方の場合は、何も転職する必要は無いとお考えかと思います。

MRの場合、多くの他の業界に比べれば待遇が悪いわけではないので、日ごろの満足度は高い場合が多いです。

とはいえ、給料は多いほうが良いに越したことはありません。 同じ企業ですごす場合は、昇給はインセンティブか、昇格して基本給アップだと思います。しかしながら、同じ場所で昇進昇格を待つというのはなかなか辛いものです。

そこで、転職をするということが実は給料を上げる方法なのです。 一般的な転職では、転職後は給料が上がります。 転職して会社は変わっても、MRとしての仕事は基本的にはほとんど変わることはありません。であれば、給料は高いほうが良いに決まっています。

大体60歳や65歳まで仕事をすると仮定した場合は、若いうちに転職をしているかしていないかで、生涯賃金に大きな開きが出てきます。早めに転職をして一度給料を上げておいたほうがもちろん有利です。 特に、国内中堅企業から外資系などへの転職の場合は、100万円を超えるupも珍しくありません。 単純に考えれば、転職をしたほうが5年で500万円、10年で1000万円のギャップが出てくるのです。 現状満足していても、ここまでギャップが出てくることを考えると、転職をしたほうがよいのです。

リスク回避

現状特に困っていないのに、リスクを背負ってまで転職する必要は無いと言う方が居ます。 実は、現状困っていない中に大きなリスクが潜んでいます。。

転職にリスクを感じる理由は、ジョブセキュリティ、現状のままのほうが慣れているし安心と感じている方がほとんどだと思います。つまり、「この先どうなるかわからない」と感じる方、大げさに言えば職を失いたくないという方です。

そのような方にはなかなか気づかないことがあります。それは、日常に封印されたリスクです。実は、移ることも去ることながら、現状に留まっているこの日常も、さらに大きなリスクなのです。 長引けば長引くほど腰も重くなり、リスク回避が難しくなります。

例えば、同じ年であれば、経験が豊富な方のほうが経歴に厚みが出ます。 同じ会社しか知らない人より、他社の経験もあったほうが、カルチャーも製品もそれだけ複数の視野があるわけで、そういう経験が豊富な方のほうが、これからの時代は重宝されることでしょう。 営業所長候補や支店長候補、さらにエリアマネージャーの候補が二人以上居た場合は、同じ会社しか知らない人は不利かもしれません。

もうすでに終身雇用の時代は数年前に終わっています。 外資であれば当然ですが、実は国内企業においても、「たたき上げ」という使い古された言葉は消滅し、むしろ外から入ってきた経験豊富な方が上のポストに就くという現象が出てくるでしょう。

すなわち、1社で頑張ることが昔は良かったかもしれないが、現在は違うわけです。 「この先どうなるかわからない」と、不安を抱える方は、将来のためにも違った会社のカルチャーを経験したほうが強いMRになります。 ただし、ジョブホッパーと言いまして、短期間に何社も動く方は駄目です。

MR以外になりたい

MRの方でよく将来はマーケティングや経営にかかわりたいと思っている、上昇志向の方がよくいらっしゃいます。中には色々勉強されて、時にはMBAなんかをとったりして。こういう方々は、MRへの転職は意味がないと思っていらっしゃる方が多いです。

「転職先がMRだったら別に今のままで良いです。 マーケティングならエントリーしたい。」という方です。

現状がMRの方で、将来MRとは違ったキャリアパスを望んでいる場合、主な方法は2通りだと思います。 ひとつは現在勤務されている企業内で、違う職種に異動する。 もうひとつはMRとして他社に転職し、MRとして勤務後、その転職先で違う職種に異動するということです。

転職を皮切りに現状MRの方がマーケティングなどのMR以外のポジションに就くことは、ゼロとは言いませんが、少ないです。

同じ会社で異動の希望を出すよりは、MRとして転職をして転職先で異動を希望したほうが結果的に早くマーケターになります。 同じ会社のまま違う部署への異動希望というのは、これまがまた本当に少ないのです。 一部の日本企業では、異動の希望が許されるのがグレード○○以上などの縛りがある場合があります。それは待っていられません。

外資ではよく、ジョブローテーションといいますか、他の職種への異動が活発な会社というのがあります。とりあえずはその会社にでMRポジションで転職をして、その後希望を出して異動するというのが将来違った部署で活躍する近道です。 こちらも年齢もありますから早いほうが良いのです。

企業が欲しがっている

あなた自身が転職を特に考えていないMRであったとしても、時として企業があなたを欲しがっている場合があります。むしろ、求職者ではないあなただからこそ、企業は欲しい人材なのです。

転職は考えていない、でも、将来はわからない。良い話があれば聞いてみたい。そのタイミングが、今この瞬間ということがあるのです。

転職の予定がないというのに、「転職しろ」とは何事だ。と、思うかも知れませんが、話は聞くべきものだと思います。なぜならとてもよい話で、将来あの時誘いを受けておけばよかったと思うことがけっこうあるからです。

「誘われるうちが花」とも言いますよね。今は煩いエージェントだと思っている方でも、10年後に逆に「どこか良いところありませんか?」と、周りにお願いをして回っている可能性もありますよ。10年後では遅すぎます。誘われるうちは、話だけでも聞いたほうが、見聞を広めるためにも良いですね。

因みにですが、私どもメディタレントは、まさにサーチ型のエージェントです。企業から依頼を受けて、良い人を探すことが企業側に提供しているサービスです。

良い人というのは、抽象的な表現です。どこにそういう良い人が多いかというと、もちろん、転職を今まさに希望していて転職先を探している人々の中にも居ますが、実は「転職を考えていない人」の中にたくさん居るのです。

「転職を考えていない人」は、登録するスタイルを採っている転職支援エージェントには当然登録しませんよね。探していないわけだから。 では、企業はどのエージェントを使って「転職を考えていない人」を探すのでしょうか。 私ども、サーチ型のメディタレントです。

必然的に、メディタレントには、企業人事部が公開していない本当の意味での非公開の求人が集まるのです。

そんな私どもが扱っている求人案件にご興味のある方は、ぜひご連絡をくださいませ。 こちらまで⇒メディタレント

自分 ”REVIEW”

MRを職業としている方々も色々な人生があります。それは当たり前のことです。将来の希望とか、現状の問題点とかを考える時間は誰にでも必要です。もちろんMRに限らずそれはどんな人でもしていることでしょう。

しかしながら、MRは今日が忙しいのです。明日も忙しいのです。来週中も忙しいです。休日はレジャーで楽しんでいるか、疲れてボーっとしているか、家族サービスで忙しいか、もしかしたら研究会で休日出勤なんていうMRの方々も多いでしょう。

自分自身のreviewなんて、日常に忙殺されて、中々できないのが現状ではないでしょうか。

ところが、転職を決意した場合、それが可能になります。たとえ結果的に転職をしなかったとしてもです。

なぜかといえば、まず履歴書・職務経歴書を作成することになるかと思います。自分の履歴書・職務経歴書を作って、それを見ることによって、結構感じるものが多かったりします。「自分もいろいろなことをしているなあ…」とか、「なんか、つまらない履歴だな」とか。 そう思ったときには自然と、将来について、もっとこうしようとか、こうあるべきだと思うことでしょう。これだけでも、結果的に自分を見つめることになります。

さらに、面接に進んだ場合はもっと感じることが多くなるでしょう。「あなたのご経歴をお話ください」とか、「弊社があなたを採用する理由は?」とか、そんな質問に答えるときには、まさに自分自身の価値や今までいかにがんばったか、あるいはサボってきたかなど、感じるでしょう。そして、「このままではだめだ」とか、「このままがんばろう」とか、考えるかと思います。これもかなり自分を見つめることになっています。

そしてオファーが出たときには、そのオファーを採るべきかどうか迷ったり。また、逆に面接や書類選考に落ちてしまったときなどは、自分自身についてもっと考えることが多くなるでしょう。

転職に伴う行動だけで、自分自身について考えるこれだけのチャンスがあるのです。たとえ結果的に転職しなくてもです。

日常に忙殺されていると、何も考えないまま1年、2年、下手したら5年、10年と過ぎていきます。ゾッとしますね。

いかがでしょうか。ざっと考えただけで、次から次へと転職のお勧め理由が出てきます。もちろん、転職をすればよいというものではありません。 しかしながら、転職によりMRのキャリアに幅が出ることは間違いありません。せっかくMRになったからには、アグレッシブに行きましょう!

患者は顧客?

ハインツから来た人が、ノバルティスのトップがつとまるか?

 

Can The Man From Heinz Keep Novartis On Top?

-Matthew Herper, Forbes

 

ノバルティスのglobalの本社のトップ人事でちょっとした面白い記事がありました。

 

医薬品業界でこの20年の辣腕経営者といえば、ノバルティスのダニエル・ヴァセラを置いて他に居ません。 

元々医師として活躍していたダニエルさんは、サンドとチバガイギーの1996年の合併以来、20年にわたって、第一線で活躍されました。なんといっても、その開発ストーリー本まで出しているグリベック、ゾメタ、ディオバンなどなどのヒット商品を生み続けました。また、循環器のみならず、呼吸器、オンコロジーへのスペシャル路線も定着し、着実に会社発展に貢献してきた経営者といえます。2004年にはタイムズ誌の「もっとも影響力のある100人」に選ばれているほか、アメリカ芸術科学アカデミーの会員に名を連ねるなど、ヨーロッパのみならず世界中で活躍しています。 

医薬品業界のみならず、すべての業界の経営者の中でも評価の高いダニエルさんですが、そろそろ将来の跡継ぎを探し始めました。そして今回の人事発表が若干物議を醸しております。 

なぜなら、その超有名経営者ダニエルさんが指名した男は、ノバルティス在籍3年と少しだけ、それ以前の彼のキャリアの大部分を過ごした会社は、ケチャップで有名なあのハインツなのですから。 

渦中の人、ジョセフ・ジメネスさんは、医薬品業界経験たった3年ちょっとで、グローバル・メガファーマのC-suite、しかもCEOになったのです。ちなみに日本法人においても、しっかりと取締役会長になっております 

この人事にはさすがにいろいろと異論があったようです。

 

ノバルティスの事に限りませんが、よく製薬会社の人事で大事なことは、第一にどれだけこの業界を知っているのか? という率直な議論です。 

ただし、その知識偏重型の人事が、医薬品業界の残念な側面の一つである閉鎖性を作り出しているような気がします。 

なんというか、他からの人材を受け入れにくい事です。医薬品業界では、知識の有無ということが、ほかの業界よりもプライオリティが高いのです。 とにかく専門的すぎるが故に、他から入れないという、学術的な要因があります。 その弊害としては、ただ単純に知識を獲得している者が、単純に知識が無い者よりも主要なポストについてしまうことがあります。 さらに、単純に知識がない者へのイジメ的な問題は、意外と多く存在するのです。 製薬会社はアカデミア集団ではなく、営利企業ですので、キーパースンに求められるのは、知識もさることながら、ビジネスのセンスやとっさの判断力などではないでしょうか。 

さて、ノバルティスに話を戻します。今回のジョセフさんの抜擢ですが、個人的に大絶賛するところであります。  

なぜかと申しますと、とにかく、変化が大切だと思うからです。この異文化というか、違った業界からの抜擢は必要なことだと思います。 

奇しくも医薬品業界は2011年が大型ジェネリックが始まる年、2012年は人員が流動する年とも言われ、大きな変革期にあります。 

最近のノバルティスのアクティビティを見ると、OTCに関連する事が多いことは関係ないでしょうか。世界第二位のマーケットであるここ日本でも、OTCで発売されている同成分の薬価削除などの議論が持ち上がっているところです。 

医療用医薬品は、エンドユーザーが患者ではあるものの、実際の営業の矛先は処方権のある医師です。医師相手のビジネスですから当然高い専門性が求められるでしょう。 

それに比べると、OTCは、まさに患者がダイレクトカスタマーになるのです。営業的には、専門性もさることながら、やはりセンスが問われるのではないでしょうか。 

特に、OTCの中でも最近議論になるのが、リピトールなどの所謂慢性疾患の製品ですよね。慢性疾患って、高血圧や高脂血症、糖尿病などですよね。 

慢性疾患の患者って、なんというか、普段、つまり日常生活は元気ですよね、比較的。 ですから、このマーケットを考えるときに、個人的には「患者 patient」、というよりも、「顧客 consumer」を意識したマーケティング、開発が必要な気がします。コンシューマー業界では、顧客第一主義です。 医薬品業界よりも、もっとユーザーオリエンテッドといえるでしょう。 

患者ではなく、消費者? 個人的に、OTCや予防医学、サプリがもっと増えてくると、医療用医薬品メーカーはこちらのウェイトが上がってくることは明らかです。 

そうなってくると、知識偏重でふんずり返っていたおじさんたちの出る幕はなくなってきますよね。彼らのプライドも破壊されます。そして大きく言えば、医療用医薬品業界の参入障壁も破壊されていくのではないでしょうか。 

もしこれらが、本当に進むなら、今回のダニエルさんによるジョセフさんの抜擢人事は、かなり先見の明がある改革と言えるのではないでしょうか。コンシューマー業界に長年居た人物ですから。 

2011年から、大きく変革している医薬品業界、そんな中での大胆人事。新しい時代の到来を告げているような気がしてなりません。

OTC どうでしょう。

あけましておめでとうございます。仕事始めだ!と思ったら3連休ですね。

さて、昨年末から、このblogでは製薬業界における所謂2011年、2012年問題らしきネタを紹介させていただいておりました。何しろ世界一のリピトールだけに、話題が尽きません。

そのリピトールが世界一の座を明け渡すと、そこに追随している品目の一つがネクシウムですね。オメプラールに次ぐプロトン・ポンプ・インヒビター(PPI)でアストラゼネカが日本法人でも昨年売り出しましたね。

日本のマーケットにネクシウムを出すにあたって、AZが単独で売るのか、それともリピトールのように他社と組んで併売をするのか? ということが発売以前から注目されておりました。

結果的にはご存じのように併売という形をとりました。大型新薬ですから、それなりのプロモーションが要求されます。AZ一社ではなく、他社と組むことによってMRの実質的な数的メリットを狙ったことになります。日本のマーケットを攻略するうえで、多数のMRによる人海戦術が功を奏するという判断があったのかなと思います。

そのパートナーがまさに第一三共ですよね。 ただし、併売と言っても色々な手法があるのですが、AZがクレストールの時に塩野義と組んで色々と生じた諸般の課題をクリアすべく、マーケティングとプロモーションというすみわけをすることに落ち着いたわけです。 2社が痛みを分けて、けんかをして奪い合うような形ではなく、仲良くみんながハッピーになれるようなやり方をAZは選びましたよね。 いずれにしても、AZはブロックバスターを日本法人では単独で売るという選択をしなかったので、MRを単独で増員しなくて済んだのです。

そのパートナの第一三共は、ネクシウムを扱い、さらに今まで世界一だったリピトールのジェネリックを、子会社ランバクシーを通じて世界市場で売っている。 何だか、うまいことやっているように見えますね。 さらにランバクシーは、テバとの提携をして、テバの販売網に「ジェネリック・リピトール」を乗せようとしていますね。 まさに、日本でも大洋と興和テバを買収したテバですから、日本市場でも攻勢をかけてくるのでしょうか。それはわかりません。

またまた話がリピトールに戻ってしまいますが、高脂血症は慢性疾患ですから、動脈硬化の予防的に処方されている人も併せますと、相当長い間リピトールを飲み続けているという患者さんが多いです。リピトールの服用に慣れているご年配の方にとって、「同じ薬です」と言われても、「アトルバスタチン」という風に名前も色も変わると、何か違うものに変わった気がしてくる方も多いです。

ジェネリックでは、日本でも一般名が商品名というように統一されてきておりますので、名前が変わり、患者さんにとっては、なんか違うという感覚をぬぐいきれません。特にブランド好きな日本人にとってはなおさらのことだと思います。

「ジェネリックが良いのはわかるけど、先生、私は今までのリピトールで良いですよ…」という人も多いでしょう。さて、この日本人の変化が苦手、ブランド好きという特徴をマーケッティングに反映させると、どうなるか少し考えてみました。

実は先日こちらで取り上げました、OTC薬として存在する医療用医薬品の薬価収載削除の動きですが、実はこの日本人のメンタリティが大きな影響を及ぼしかねないと、密かに思っております。

だいぶ前から報道されていることですが、現在、米国でファイザーがFDAに打診中の案件の一つに、リピトールのスイッチOTCということがあります。

Pfizer May Market Own Over-the-Counter Lipitor Pill

こんな慢性疾患の医薬品のOTC化が可能なのかどうなのか、わかりません。が、もしも本当に可能であり、事実としてOTCになった時には、リピトールの薬価が削除されちゃうかもしれませんよね・・・・。

そして、「リピトール」というブランド名がOTCとして蘇るのです。ブランド好きで変化が苦手な日本人なら、なじみの深いこの名前のOTCは、「アトルバスタチン」よりも売れるかもしれません。もちろん、「リピトール」というブランド名を名づけることが許される企業は、ファイザーですよね。

世界第二位の医薬品マーケットの日本で、スイッチOTCは波紋を呼びそうですね。ただ、この実現性は未知数です。

ジェネリック・リピトールを巡るニューヨーク決戦!

リピトールの後発品ですが、日本からは5社から発売になっていますね。 

アトルバスタチン錠5mg/10mg「EE」  – エルメッドエーザイ
アトルバスタチン錠5mg/10mg「KN」  – 小林化工
アトルバスタチン錠5mg/10mg「サワイ」 – 沢井製薬
アトルバスタチン錠5mg/10mg「サンド」 – サンド
アトルバスタチン錠5mg/10mg「トーワ」 – 東和薬品

お気づきのように、ジェネリック医薬品のネーミングは、一般名を基準としたネーミングに統一化されました。昔は、それはギャグ?というようなユニークな名前もありましたが、数十社が参入するジェネリックマーケットですので、紛らわしくなったり、処方ミスなどをなくすためだと思います。

できれば、リピトールに準えた名前をつけたかったでしょうね。 それだけリピトールのブランド名は浸透していますので。

さて、このリピトールのジェネリック戦線ですが、アメリカでは、2つのメーカー、ワトソンランバクシーでちょっとした物議を醸しております。

ワトソンは、NYに本拠を置くジェネリック医薬品メーカーです。ワトソンは自社のホームページで、今回のリピトールの後発品の発売を

“Largest generic product launch in US history” 

つまりアメリカ史上で最大の製品の後発品の新発売として、意気込んでいます。アトルバスタチン錠80mgの初出荷の様子が、ホームページ上で動画で記録されているほど、ワトソンとしては、会社的にも意義のあることだったことが伺えます。それにしても、アメリカではリピトールは80mgなんですね。

ワトソンが、動画をホームページにまでupして、「我々はもう出荷している」ということを強調している理由ですが、なんとなく、ランバクシーを意識しているような気がしてなりません。なぜなら、ワトソンは、「スタート」を切ったものの、ランバクシーは、ジェネリック・リピトールの販売権は得ているものの、主要記事によるとまだ沈黙しているのです。

Watson starts selling generic Lipitor in US, Ranbaxy mum

11月30日時点のBloombergによれば、ランバクシーはこの時点で更なる最終的なクリアランスをUSFDAから受けなければならないのです。記事によると、インドのアナリストも、いつUSFDAから許可が降りるかわからないと言っています。こんな記事を読むと、ワトソンの動画が如何にインパクトを与えているものであるかを感じざるを得ません。

 さて、ランバクシーといえば、インド最大の医薬品メーカーで、第一三共の傘下。 つまり、この一連のドタバタは、日本の会社の子会社が繰り広げていることだったのですね。ということは、むしろ、かなり日本に関係のあることだったのです。

第一三共の経営にかかわる方々にとっては、歯がゆいことだったのでしょうか。日本ではなかなかこの手の報道がないので、うかがい知ることができないところです。

さらにランバクシーは、ジェネリック最大手のテバと組んで、このジェネリック・リピトールをテバの販売網に乗せようとしております。当然戦略上のことであるかと思いますが、第一三共にとっては、日本市場はテバを通じてオペレーションをすることになるのかと思います。大洋と興和テバを同時に買収して、テバ製薬誕生の目玉製品にもなりそうな予感がします。このストーリーのためにも、ランバクシーはUSFDAからの宿題をクリアしなければならないのでしょう。

ランバクシーの拠点はインドではグルガオン、アメリカではニュージャージーに置かれてています。 ニューヨークとニュージャージーに本拠を置く2社、まさにgreater NY 決戦。。

NBAで言えば、ネッツとニックスのマジソンスクエアガーデンでの決戦!と、行きたい所なのでしょうが、今のところはネッツの不戦勝になりそうな雰囲気ですね。この東海岸での対戦は、日本にも大いに関係があり、今後の成り行きがかなり注目されます。

仕分け

先日、政府の行政刷新会議の「政策提言仕分け」で、ジェネリック医薬品の使用促進などについての提言がなされました。ジェネリックの促進…って、もう20年以上前から言われていることだけに、熱い反対議論などもないし、何らかの既得権限を守るような団体からの反論もないし、「まあ、そりゃそうだよね…。」というような雰囲気が大勢を占めておりました。

ついでに、「このほか、」という形で「市販類似医薬の自己負担割合の引き上げ試行を」という意見が取りまとめられたと報道されております。

ジェネリックの促進であれば、古ぼけた提言かもしれませんが、実は、この「このほか」で議論された市販類似薬の自己負担の引き上げというのは、かなり、かなり、重要なニュースで、大きなインパクトが実はあるのです。

市販薬というのは、いわゆる、薬局やドラッグストアで買える薬です。たとえば、ルルとか、キャベジンとか、色々ありますよね。 

自分で買い求めることができる市販薬の中には、医師から処方される処方薬と同じものがあります。

たとえば、何でも良いのですが、よくテレビのCMでやっている、僕自身も愛用している「ガスター10」を例にあげると、「ガスター」というのは商品名で、物質の名前(一般名)はファモチジンという物質です。 医療用医薬品(処方薬)では、先発品のガスターと、複数の企業から発売されているジェネリック品がそれぞれの商品名で存在します。つまり、ファモチジンという物質は、医療用医薬品と、OTC(市販薬)が存在するわけです。

では、値段を見てみましょう。医療用医薬品の先発品であるガスター錠10mgの薬価は1錠あたり31.1円です。同じく医療用医薬品ではありますが、数十社から出ているジェネリック品でおそらく一番低薬価であるブランドの一つは「ファモチジン錠10mg」(共和薬品)で、9.6円です。薬価は保険で請求しますので、実際には国が、もっと高い部分を負担していることになります。

そして市販薬(OTC)のガスター10ですが、たまたま見つけたものは、6錠包装で931円ですから、1錠当たりにすると155円です。

ガスター錠10mg  薬価 33.1円
ファモチジン錠10mg 薬価 9.6円
ガスター10  市販販売価格 155円
つまり、胃がムカムカして、すっきりしたい時に、ドラッグストアで「ガスター10」を購入することも、大変すばらしいことではありますが、医院でお医者さんに「ファモチジン錠10mg」を処方してもらえば・・・・ということになるわけです。

このほか、乳酸菌を摂取してプロバイオティクスをしたければ、OTCの乳酸菌製剤を購入する、あるいは毎日数百円かけてヨーグルトを食べるのも良いのですが、お医者さんにビフィズス菌製剤を処方してもらえば、1錠6円位ですみます。風邪の季節でレモン何個分のビタミンCの薬も、お医者さんでアスコルビン酸を処方してもらえばOK。仕事のし過ぎで過労、タウリン1000ミリグラム摂りたいなら、お医者さんでアミノエチルスルホン酸散を処方してもらえば、1000ミリグラム、つまり1グラム薬価10.2円です・・・・・・。

お医者さんに処方してもらえば、少ない負担で必要な医薬品が手に入り、あとは国が負担してくれる…これが、世界に誇る日本の保険薬価制度だと、思いませんか!? 納税者であれば、この恩恵を受けるべきだと、常日頃思っているのです。
今回の政策提言仕分けでは、このように市販薬で存在するものまで、ぶっちゃけ、国が面倒見なくても良いんじゃないの? ということかもしれません。市販薬で求められる同じ成分の医療用医薬品の、自己負担を上げようというのです。確かに、言う事はわかりますよね。市販薬で買えるし、実際に買っている人も居るわけだから、自己負担を引き上げても良いのでは?ということですよね。 上の例で言えば、ファモチジン錠10mgの自己負担を上げろということですよね、なぜならガスター10が存在するわけだから。。

じゃあ、この恩恵は受けられなくなる?? そうなるかもしれません。ビタミン、乳酸菌、タウリン、ロキソニン、ガスター、その他その他、薬価の恩恵を受けたい方は、今のうちにお医者さんにかかりましょう!? 的な風潮になるのでしょうか、そのうちに。。笑えません。
そしてさらに踏み込んだ議論。それは、OTCで存在する医薬品の、薬価削除です。 つまり、ドラッグストアで売っている薬は、保険薬価収載から削除するということですよ。

想像してください。

歯医者さんで、虫歯の治療をしました。「はい、では、一応痛み止めにロキソニンを処方しておきますね…」という会話が、「はい、ではドラッグストアでロキソニンSか、何か好きなのを勝手に買ってください…」になるかもしれません。 

風邪をひいて、内科で抗生剤を処方されました。「抗生剤を出しておきますので、胃を保護するために、ドラッグストアでビオフェルミンSを買って飲んでください

こんな時代がすぐそこまで来ているかもしれません。
・・・・そして、ここからが、もっと踏み込んだ話に。ドラッグメジャーがこの制度改革を実は注目しているのです。その理由は? またの機会に。

ノルバスク、アムロジン、そして麦とホップ

ジェネリック医薬品はカニバリゼーションか?

新規事業が既存事業を食いつぶすことを、マーケティングの世界ではカニバリゼーションと呼びますよね。たとえばレコード会社はダウンロード販売を手がけていますが、既存のCDの売り上げが頭打ちになり、ついにバージンメガストアはその存在意義を失い、日本ではTSUTAYAに吸収されて解散しました。 歴史的に言えば、いわゆるレコード盤の時代もあったわけですから、時の流れには逆らえないということでしょうか。

ビールにおいても、その高い税率と戦うことなく、メーカーによる強かな戦略で登場した発泡酒は、今やビール市場を侵食し、さらには麦芽以外の原料を使った第三世代のビールが登場しております。

いずれにしても消費者側からは何らかのメリットがある、生産者側としては製品自体にユーティリティ、つまり効用が付帯していることが条件になっているかと思います。消費者目線では、安い、便利、おしゃれ・・・などなど、生産者側からは、「売れる」ということにほかなりません。

ただし売れる製品を開発することが必ずしも成功とは限りません。なぜなら既存の築き上げたマーケットを食いつぶし、単価の安い製品がシェアを伸ばす訳ですから、生産者としては、更なる大量な売り上げを達成しなければ、利益率でカバーできなくなるというわけです。 この点がいわゆる、カニバリゼーションによる企業のジレンマでしょうか。

若干前置きが長くなりましたが、ジェネリック医薬品はカニバリゼーションでしょうか。効能・効果、安全性などは先発品と同等で安価であれば、当然先発品マーケットは食いつぶされる可能性が高いですよね。

ところが、つい最近までは、カニバリゼーションとは言えなかったと思います。なぜなら、先発品メーカーはジェネリック医薬品を扱っていなかったからです。扱っていたとしても、自社先発品のジェネリックはなかったと思います。

つまり、医薬品業界は、ビール業界とは違ったのです。当たり前といえば当たり前すぎますが・・・。

例えばサッポロビールのラインアップを見ると、エビス(プレミアムビール)、黒ラベル(ビール)、生搾り(発泡酒)、麦とホップ(第三のビール)、プレミアム アルコールフリー(ビール風飲料)…等等となっていて、結局のところ、単価の高いビールを、価格の安いカテゴリーの製品が侵食しているようにも見えます。単価の安い製品で利益を伸ばすには、物量をさらにアップさせなければならなくなり、辛いところです。

一方で医薬品をみると、例えば昨年満を持して登場したアムロジンです。先発品はファイザーのノルバスクで、ジェネリックは30社以上のジェネリックメーカーから発売されましたが、ファイザーからは発売されていません。 先発品とジェネリックでは業界が違うので、同じ製品が別会社から出てくるということになります。 つまり、カニバリゼーションではないかもしれないということです。

要するに医薬品業界においては、特許が切れた先発品は、別のジェネリックメーカーによって市場が縮小するばかりということになります。
先発品メーカーはこのような状況をただただ眺めているだけでしょうか。もちろん、違います。それは、先発品メーカーによるジェネリック医薬品マーケットへの進出によって、業界地図が激変しようとしていることから明白です。

ファイザーによるエスタブリッシュ医薬品事業部、サノフィによる日医工との提携、それよりだいぶ前のエルメッドエーザイ、田辺販売・・・そしてアボットが予定している分社化…などなどがその地図の激変です。

今まで、医薬品業界はセラピューティイクエリアでカテゴライズされてきました。つまり、オンコロジー、CNS、イミュノロジー、プライマリーなどなど、ファンクショナルなセグメントでした。もしかしてこれからは、新薬・長期収載品・ジェネリックなどなど、クロノロジカルなセグメント、タイムユーティリティに戦略をシフトしてくるかもしれません。 (カタカナが多くてすみません。日本語でなんと言うのか調べるのが大変なので…。)

では、その医療用医薬品におけるタイムユーティリティに関する個人的な考察は、別の機会にこちらに書かせていただきます。

リピトール四方山話

最近、ファイザーがワーナー・ランバート時代にリピトールを開発した化学者をレイオフして、話題になりました。
(Lipitor Pioneer Is Out At Doomed Pfizer Lab; A Blockbuster Drought
Wall street journal, http://online.wsj.com/article/SB119733600536720234.html
As Drug Industry Struggles, Chemists Face Layoff Wave )

世界で最も売れている医薬品のひとつ…といえば、ここ数年はリピトール(アトルバスタチン)が1位を連続で占めていました。元々ワーナー・ランバートの化学者が開発して2000年に世の中に出た薬です。その後ファイザーがワーナーランバートを買収し、日本ではファイザーとアステラスと一緒に売っていますよね。

ところで、当事のファイザーによるワーナー・ランバートの買収劇は、890億ドルという金額で、いまだに世界の巨額M&Aの第4位になっています。因みに、1位から3位は下記のとおりです。

  1. ボーダフォンとマンネスマンの2028億ドル
  2. AOLによるタイムワーナーで1820億ドル
  3. RFSホールディングズによるABNアムロで982億ドル

さて、当事そんな巨額なM&Aをファイザーが決断した理由も、ずばり、リピトールに他なりません。

リピトールはその後2004年に世界の売り上げNo.1に躍り出て、売り上げのピークが過ぎた現在においても120億ドル近く売れていて、2010年時点で1位(セジデム・ストラテジックデータ株式会社の調査による:http://www.utobrain.co.jp/news/20110801.shtml)、さらにアメリカにおいても2009年まで1位(ちなみに、2010年はネクシウム:http://www.drugs.com/top200.html)なのですから、ファイザーにとっては、むしろワーナー・ランバートは安い買い物だったのかもしれませんよね。

さて、リピトールは一般名のアトルバスタチンでわかるように、いわゆる“スタチン”で、HMG-CoA還元酵素阻害薬。いわゆる高脂血症、高コレステロールの薬ですよね。

この、“ほにゃららスタチン”とか、“高脂血症”とか、“HMG-CoA還元酵素阻害薬”とかいう言葉は、1990年代に製薬会社でMRを経験した者にとっては、メバロチンを連想させます。

メバロチンといえば、日本発で初めて世界に通用するような薬だと、先輩方々から教えられたものです。昔、某国内中堅製薬会社に勤務していたとき、仲間同士で蔵王にスキーに行ったのですが、途中で三共製薬の超豪華な保養所施設があり、みんなで「メバロチン御殿」と呼んでいました(笑)。

さてさて、そんなスタチン、リピトールですが売り上げ減と特許切れで様々な影響をもたらしています。

さて、冒頭に紹介させていただいた化学者ですが、ファイザー社が別に彼を狙ってレイオフしたわけではないでしょう。そこにある研究所2100人のレイオフですから、世界的なレイオフの一環というわけです。

ファイザーは90年代にM&Aによる研究開発、パイプラインの増強をする、いわゆるファイザーモデルで製薬業界を牽引してきました。研究開発には毎年9000億円近くが使われていていました。9000億円って、1社のしかもR&Dだけにかけている金額としては、すごいですよね。

ところが、実際にはファイザー本体からの新薬は1998年のバイアグラ以来、登場していない(wikipediaによる)とのことですから、レイオフというのは当然のことなのかもしれません。日本では、名古屋にあった研究所は2008年にスピンオフして今年上場ましたね(ラクオリア創薬http://www.raqualia.co.jp/)。

驚くことではありませんが、MRにも影響しています。ファイザーはリピトールの特許切れの前にアメリカで大規模なsales rep(MR)のレイオフを計画しています。とにかくリピトールがあけた穴を、コーポレートとして相殺しなければなりませんので。その穴に関しては新たに1000億円のコストカットが迫られているようです(wall street journal: http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304906004576371561284585844.html)。そのアメリカのMRのレイオフの具体的な数字や時期などの詳細については、ファイザーの広報は名言を避けている(http://www.pharmalot.com/2011/08/pfizer-cuts-reps-before-lipitor-patent-expires/)とのことです。

それにしても、ブロックバスター一品目が、何万人もの人生を左右しているような気がして、医薬品ビジネスって恐ろしくもなりますね。さて、レイオフや、コストカットなど、暗いトーンばかりではありません。“特許切れ”といえば、当然のことながら、hotになってくるのはジェネリックメーカーです。

この11月の薬価収載でリピトールの後発品が5社から発売されます。まさに未曾有のジェネリック市場の更なる拡大につながる事は間違いありません。ただでさえ、この11月の収載はアリセプトなど大型ブランドのジェネリックが収載されるのです。引き続きジェネリック市場の活況は続くのかなと思います。

リピトールの話はこれからもつづきそうですね。

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