AZ1222(アストラゼネカのコロナワクチン)を開発したのはオックスフォード大学とアストラゼネカですが、そのオックスフォード大学と協力関係にあった、というか治験を先導していたのかもしれないのは、オックスフォード大学からスピンオフしたバイオスタートアップであるVaccitech(https://www.vaccitech.co.uk/)です。
その、Covid19のワクチンを共同開発したVaccitechは、オックスフォード大学のスピンオフなだけに、UKの企業ではありますが、この4月30日にアメリカのNasdaqにIPOしました。
Vaccitechとしては、最大6億1300万ドルの評価額を目指しているとのことで、発表がありました。
なぜIPOしたのかと思うのですが、理由としてはVaccitechが持っているパイプラインの開発を加速させたいということに他ならないかと思います。Vaccitech社がどんなパイプラインを抱えているかというと、B型肝炎、前立腺がん、非小細胞肺がんなどなど、どう見ても大型化しそうな候補ばかりなわけです。
IPOをするずっと以前から、実はこれまでにギリアド・サイエンシズ社、セコイア・キャピタル・チャイナ社、オックスフォード・サイエンシズ・イノベーション社などから2億1600万ドルを調達しています。
特にギリアドにとっては、とても欲しいパイプラインに間違いありません。C肝でのファンドがどこまで持つのか、それによってM&Aなどに関わってくるからかなと思いまします。シャイアー、アレクシオンのように大手に吸収されるパターンが考えられますが、その次は? というところで、各社必死になっているところではないでしょうか。
ギリアドが自社のラインアップにVaccitechno開発品目を加えたいというのは明らかかと思います。そのためにシリーズBの投資判断をしたのかと思います。
VaccitechにシリーズBの投資をした企業は、ギリアドの他に
Tencent
Monaco Constitutional Reserve Fund
Future Planet Capital
です。ヘルスケアだけではなくて、名だたるファンドから資金を得ていますよね。チャイナマネーまで絡んでいます。
それだけ、Vaccitechにとっては、このパイプラインの開発が大事だということが伺えますし、また、投資企業にとっても投資判断をする価値のあるパイプラインだということだと思います。
特にVTP – 800 850に関しては免疫チェックポイントの前立腺がんへの適応ということで、なかなか化けそうな感じがします。
Vaccitechに限らず、モデルナなど、COVID19のワクチンを手がけたバイオベンチャーは、そのパイプラインにオンコロジーや免疫領域のパイプラインを抱えています。まず、ワクチンで世の中に出て、資金を調達できたら、すぐに治療薬の方にアクセルを踏みたいのだろうという印象があります。
今後、このようなベンチャーがもしかしたら、単独で日本に上陸するかもしれないかと思っております。そうしたら、セールスフォースもローカライズする必要がありますので、MRを採用するだろうなあと、思っているところです。Vacciechの中の人たちはアカデミアの人が多いでしょうから、あんまり商売っ気もないのかもしれませんが、ファンドとしては、モルガン・スタンレーなどがしっかりと食いついておりますので、おそらくアグレッシブに市場に出てくるかと思います。
患者さんのためにももちろん朗報ではありますが、コロナでワクチンを開発したバイオベンチャーがその他のパプラインを拡充して、日本に上陸したら、良いなあと思っております。