ビールではないOrion

OrionとMSDは、転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療のための治験中のステロイド合成阻害剤であるODM-208の開発と商品化のための世界的な協力を発表しました。(7/13/2022)

なるほど、その前に、Orionって何だろ。沖縄のビールではないことだけはわかる。そういえばオリオンビールは今はアサヒビールと提携関係にありますね。昔沖縄で学会があり、東京のとある大学病院の先生と一緒に沖縄まで旅した時に、オリオンビール関連の施設に連れて行ってもらって、ドラフト生ビールをたくさん飲ませてくれたりしました。懐かしすぎます。

で、このニュースのOrionは、フィンランドの製薬会社です。

https://www.orion.fi

フィンランドの会社は、.fiなのですね。初めて見ました。

Orionは、世界的に事業を展開しているフィンランドの製薬会社であり、well-beingのビルダーとのことです。(以下ホームページの翻訳)

Orionは、ヒトおよび動物用医薬品と医薬品有効成分を開発、製造、販売しています。

同社は継続的に新薬と治療法を開発しています。オリオンの医薬品研究開発の中心的な治療分野は、腫瘍学とPain領域です。

Orionの2021年の純売上高は1,041百万ユーロで、年末現在の従業員数は約3,350人でした。OrionのA株とB株は、NasdaqHelsinkiに上場されています。

https://www.orion.fi/

で、そのフィンランドにあるOrionという製薬会社が、メルクと提携したのです。メルクはアメリカのメルクですので、日本ではMSDですね。

提携の内容は、Orionの治験候補薬ODM-208およびチトクロームP450 11A1(CYP11A1)を標的とするその他の薬剤の世界的な開発および商品化契約ということです。

なるほど。

で、なんで、Orionという名前なのでしょうか? 前回は、Bicycleについて少し紹介しましたけど、会社名って面白いですよね。色々とググっても、なぜOrionなのかは出てきません。誰か知っている人がいたら教えてください。1917年の創業で、歴史はなんと100年あって、第二次対戦中から急速に発展したとのことです。3000人強の従業員ということで、日本国内大手製薬会社の規模感でしょうか。フィンランドが本社ですけど、ヨーロッパ各国と、インドにもありますね。
https://www.orion.fi/en/orion-in-other-countries/
フィンランドでは結構老舗の製薬会社ですね。過去には、旭化成とかエーザイとかとも提携しております。もしかして、みんな知っている会社? 僕は知りませんでした。
フィンランドはそもそもオーロラとか星を見たりする人々にとっては有名な場所なので、それでオリオン座とかはもしかしたら、シンボル的な存在なのでしょうか。わかりません。ググると、幸福のシンボルみたいなこと言っているのもありました。

オリオン座となると、ギリシャ神話とか出てきますけど、そうなると、オリオンは美男子で巨人の漁師らしいです。それゆえに女神アルテミスの怒りにふれて殺されたとも、さそりに刺されて死んだともいわれています。そもそも、死因が違うにしろ、殺されたということですよね。で、死後に、天に昇ってオリオン座になったとさ、とのことです。ただ、この説だと、ちょっと会社としては、しかも製薬会社としては、あまりよくないですよね。殺されたとか。ですので、その辺はあまり深く考えない方が良いのではないかと思いました。

さて、アメリカメルクとのODM-208関連の契約ですけど、こんな感じです。

  • オリオンが2億9000万米ドルの前払い金を受け取る
  • 合意により、MSDの腫瘍学パイプラインが強化および補完される

ODM-208は、CYP11A1の経口非ステロイド性阻害剤であり、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者の治療を目的とした第2相臨床試験で現在評価されているとのことです。

契約条件に基づき、Orionとアメリカメルクは、その子会社であるMerck Sharp&Dohme LLCを通じて、ODM-208を共同開発および共同商品化します。

アメリカメルクはOrionに2億9000万米ドルの前払いを行います。これは、2022年の第3四半期にアメリカメルクによって費用が発生し、非GAAPベースの結果に含まれます。

アメリカメルクって、前述しましたけどMSDです。念の為。

この前払いのうち、オリオンは署名時に約2億2,000万ユーロを収入として認識し、将来発生するODM-208開発費のオリオンのシェアをカバーするために約6,000万ユーロが留保されています。Orionは、ODM-208の臨床および商業供給の製造を担当します。

さらに、この契約は、最初の共同開発および共同商業化契約をアメリカメルクのグローバル独占ライセンスに変換するオプションを両当事者に提供するとのことで、オプションが行使された場合、アメリカメルクは、プログラムに関連するすべての未払いおよび将来の開発および商品化費用に対して全て支払うそうです。

よくわからんけど、相当Orionに有利な契約のように見えます。それだけ、このパイプラインは、アメリカメルクに意義深いことなのかと思います。

でも3000人規模の会社って、前述しましたけど日本国内の製薬会社っぽいですよね。ということは、日本の製薬会社も、候補物質を、アメリカのメガファーマに売ったりするような感じでできるのではないでしょうか?これがなかなかできないですね。

多分ですけど、日本の製薬会社は、アメリカに進出しないで、

スカンジナビアに進出すべきではないか

と思ってしまいます。Orionnは近隣国には広がっているけど、アメリカには進出していないですよね。https://www.orion.fi/en/orion-in-other-countries/

もしかして、ヨーロッパの、しかもスカンジナビアというか、北欧に拠点を構えて、近隣諸国のリサーチャーを雇えば、日本の製薬会社からも候補物質が出てくるかもしれないですね。

アメリカ進出がちょっと、ということで、とはいえ、APACではちょっと、と言ったところなので、敢えて飛び地で北欧に出て行って、現地採用をする。。。これはもしかして、新しい戦略かもしれないですよ。

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2022承認でこの後どうなるか

ちょっとメモ的な意味も含めた記事です。2022年にFDAに承認された薬について、色々調べてみたいと思います。このリストは、複数の業界誌からピックアップしています。(fircepharma, biochempeg

Tirzepatide (Lilly)
Gantenerumab(Roche)
Deucravacitinib (Bristol Myers Squibb)
Bardoxolone(Reata)
Vutrisiran(Alnylam)
Mavacamten (Bristol-Myers Squibb)
Cilta-cel ( Johnson & Johnson/ Legendary Biologics )
Adagrasib (Mirati Therapeutics)

複数の記事からちょこちょこ集めました。2022の注目の新薬ということで。抜けているのもあります。例えばリリーのドナネマブなど。このような薬を意識していれば、いずれ日本にも入ってくるし、また、営業も必要になってくるような薬剤なのではないかと思います。

Tirzepatide (Lilly):ノボノルのオゼンピックが出ているので2番手になるのかなと思いますが、FDAで承認されました。ポイントは、肥満への適応がいつになるかということではないでしょうか。まあ、個人輸入などの怪しいサイトでは既に日本でも美容目的使用されていたりしますよね。でもどうでしょうか。日本ではそういうのはあんまり流行らないかと思います。安全志向が強いかと思います。ただ、肥満で認可されたら、もちろん、ブロックバスターにもなり得るというか、ノボノルもありますので、競争激しくなりそうですね。糖尿病とか肥満とか、結構MRの増員が功を奏する領域かと思っています。リリーは、女性MRを増やしたら良いのでは?と思います。糖尿病の薬はそれこそメトホルミンも、SGLT2も、なんだかんだでダイエットとかに使っているようなブログとかがあったりしますよね。ダイエットといえば日本ではどちらかといえば美容系の色が強いかもしれませんが、アメリカを含めて、結構深刻な社会問題になっている国ではもう少しシリアスになるかと思います。株価ですけど、FDAで認可されたときには上がりました。今後、株価の上がるポイントとしては、肥満での適応でどういうニュースが出るかだと思います。ちなみに、日本で世の中に出てくるのは、2024ではないかと言われております。

Gantenerumab(Roche):バイオジェンとエーザイのアデュカヌマブがちょっといまいちだったので、市場はリリーのドナネマブに注目しようとしました。さらにこのロッシュのガンテネルマブというところに行こうとしております。もちろん中外製薬が扱うことになるのかと思います。これが本当に市場に出るとなったら、またMRを採用すると思います。MRは減っていく一方とはいえ、こういう新薬の時にはそれなりのチームを組んでやろうということになるのではないでしょうか。ただ、個人的に中外製薬への中途採用には今まで携わったことはありません。ロッシュではあるけれど国内企業なので大変です。大変というのはリクルーターとしてです。リクルーターとしてというのは、僕みたいなリクルーターとしてという意味です。今まで国内企業の採用はうまく行ったことはありません。また中外製薬から外に出ていく人も非常に少ない印象があります。知っている例では、何かやらかして、降格になった人が頭にきて出て行ったということはありました。結構降格とかあるんですね。

Deucravacitinib (Bristol Myers Squibb):TYK2阻害薬ですね。ブリストルはかなり期待しているみたいです。飲み薬というのが良いのではないでしょうか。レッドオーシャンに十分入り込めそうですよね。デュークラバシチニブという名前が良いと思います。デュークですから。ブリストルはアメリカでの発売を2022年の9月10日にターゲットしているそうです。

Bardoxolone(Reata):Reata Pharmaceuticals、Inc.は、テキサス州プラノに拠点を置く製薬会社です。 2002年に設立されたReataは、主に抗酸化転写因子Nrf2を二重に活性化し、炎症誘発性転写因子NF-κBを阻害する実験的な経口抗酸化および抗炎症薬の研究に焦点を当てています。 [ウィキペディア(英語) ]
日本では協和キリンが承認申請をしているみたいですね。腎臓は日本でこれから大変な課題になってくるかと思います。個人的には再生医療に期待しているところです。それにしてもアメリカには良い会社がありますよね。ナスダック企業です。日本っ本当にもうこれからは、販売市場になりますね完全に。

Vutrisiran(Alnylam):アルナイラムは日本にきましたよねえ。で、この治験はFDAで3ヶ月の延長があったみたいです。ATTRアミロイドーシスに対するVutrisiranのレビューを3か月延長ということで、7月に結果が出てくるみたいですけど、既に中間で良い結果が出てるみたいなことがシェアされていました。
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)は、常染色体優性の遺伝性疾患で、遺伝的に変異を起こしたトランスサイレチン(TTR)が原因となる全身性アミロイドーシスです。 アミロイド化したTTRが末梢神経や心臓、自律神経系、消化管、腎臓、眼などに沈着することで、ポリニューロパチーや心臓障害など多様な症状を引き起こします。(Alnylamホームページ)
難しい病気の患者さんにとって選択肢になると本当に素晴らしいですよね。しかもこの会社は調子が良いです。もし日本でこの薬が出るなら、また人を増やしてほしいですね。

しかもアルナイラムは、何やら職場が大変良い環境らしく、2022年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100(524社参加)に選出されたそうです。ちょっとウェブを見てみたら、アッヴィが上位にランクされておりました。こういうのよくあるのですが、どういうふうにランクするのでしょうか? いつも思います。誰が社内を見たの? という話です。

Mavacamten (Bristol-Myers Squibb):こちらも難しそうな病気ですけど、FDAで認可が降りたみたいで注目です。クラスII-III閉塞性肥大型心筋症(oHCM)というらしいですけど、こちらの先生が動画で説明をしていますね。

先生のプロフィール
https://www.linkedin.com/in/milind-desai-md-mba-722b7834/
それにしても、インド系の方の活躍はすごいですよね。ITだけではないです。

英語の勉強にいかがでしょうか。英語の勉強といえば、前述のアルナイラムのMDの方も、良い動画を出していました。検索してみてくださいませ。なんだか、この薬も売れそうです。

https://www.linkedin.com/in/milind-desai-md-mba-722b7834/

Cilta-cel ( Johnson & Johnson/ Legendary Biologics ):ヤンセンですね。まあでも、良い薬出すとは思いますが、MRの採用は当分しないのではないでしょうか。再発・難治性多発性骨髄腫の薬らしいですけど。薬は良いのかと思います。人材の面ではどうでしょう?わかりません。女性はどんどんいけるかと思われます。おそらくですけど、コントラクトMRで、オンコロジー領域未経験のプロジェクトで、女性はすぐに受かると思いますよ。ダイバーシティといえば、ヤンセンです。

Adagrasib (Mirati Therapeutics):日本ではやってないのでしょうか。競合をアムジェンがやってるっぽいですけど。もし日本でやっていないのなら、是非日本に上陸してほしいですね。今からじゃ無理かな。以前にはアストラゼネカと提携していたらしいので、もしかしたらアストラゼネカに行くのでしょうか、日本市場は。

ミラティ・セラピューティックスは、臨床期の米国バイオ医薬品企業。 一部の癌患者の治療のため医薬品開発に焦点を当てる。 主な製品は、「MGCD265」、「MGCD516」と「mocetinostat」。 非小細胞肺癌、頭頸部の扁平上皮癌、および他の固形腫瘍、骨髄異形成症候群を有する患者を治療するために製品を開発する。(yahoo)

このような薬に絡んでいれば、MRは必要になりますよね。特にMiratiって日本に来てくれないですかね、単品で。もう社長できそうな人もすぐに紹介できますね。以上ですけど感じたことは、ファイザー、ノバルティス、サノフィとかがいないですよね。どんどんやばくなってるのでは。

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