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【予測】MR数は2016年から増加に転じる?

数年前、ファイザーで早期退職、まあ、リストラがありました。グローバルで15%の人員削減ということで、日本も然り、執り行われました。変な話かもしれませんが、この早期退職は大人気、退職をすると数十ヶ月分の給料がもらえる訳ですから…。早期退職の詳細が、抜き打ちで社員にリリースされると、社員からは応募の電話が殺到し、その日のうち、いや、1時間もしないうちに予定人員に到達し、売り切れた、ということを聞いた事が有ります。中には、電話をするためのアルバイトを個人的に雇って応募した…なんて言う輩も居たとか居ないとか。それだけ大人気の早期退職制度だったのです。

何故そんなに大人気だったかと言えば、もちろん手厚い制度そのものの魅力も有るでしょうが、丁度その頃は、退職したMRは行く先がたくさん有ったのです。製薬業界も即戦力のMRを受け入れる企業がたくさん有りました。糖尿病や高血圧、CNS、オンコロジーなどの新薬のパイプラインを控えた製薬企業がこぞってミッドキャリアのMRを中途採用で迎え入れていました。つまり、次の行く先を見つけやすかったので、ジョブセキュリティと言う点から考えると退職する事にそこまでのインパクトやリスクも無く、たくさんの人が中途採用を、まあ、安心して選んで、喜んで大金を手にしたのです。
それから数年経った今、まさに、数社でリストラが行われようとしていますよね。ノバルティスはディオバンの件で、サノフィはプラビックス特許切れの後グローバルで削減の動きが、アストラゼネカも主力製品の特許切れの影響で。また、国内企業も海外売り上げ比率の上昇で国内が鈍化してコスト削減に追い込まれている会社が多いですね。第一三共はかなりの人数を削減しそうですし、アステラスは営業所を減らす方向とか。これは筆者の勝手なブログですから事実関係に何の責任も持つつもりはありませんので悪しからず。

さあ、では、これらの企業に所属する人々は、あの、ファイザーの時の様に喜んで早期退職制度への応募に殺到するのでしょうか。

しません!!

数年前と今この現在とでは、環境があまりに違います。

一番の違いは、受け入れ企業があまりにも少ない事です。つまり、MRの中途採用の募集が少なすぎるのです。早期退職制度が喉から手が出るほど欲しくても、行く先企業が不十分である事が不安で制度に応募する事を躊躇する人々が大部分を占めている様子です。ノバルティスやサノフィ、第一三共の早期退職はうまく行くかどうか、成り行きが見られるところです。

個別企業の早期退職は横に置いといて、そもそもグローバルでここ数年、製薬企業はMR数を減らしてコスト削減を図るトレンドに有りました。アメリカを中心に、MR数の減少傾向が何年も続いています。さらに、MRのアウトソーシング、つまりCSOのコントラクトMRも、当初の予想ほどではないものの増え続けました。

では、メーカーではなく、CSOは良い受け皿になるのでしょうか。給与レベルにある程度折り合いがつけば、と、思う方も居るかもしれません。当然CSOにとっては人材そのものが財産になる訳ですから、この人員の流れは見ているはずです。しかしながら、もともと高い給料の年齢の高いMRはCSOにとってはマッチする人材では有りません。最近ではCSOも年齢は峻別するし勤務地はどこでも良い訳でもありません。

早期退職制度を利用しようかどうしようか迷っている人々にとっては、取り巻く環境下での逆風が次から次へと出てきている訳で、人々にとってはさらに早期退職制度への手を挙げ難くなっているのです。

こんな難しい状況であれば、手を挙げずに、つまり、制度を利用せずに、コツコツとこのまま続ければ良いじゃないか、と思い直すひとも出てくるでしょう。

しかしながら、安閑として続けるわけにもいかない現状があるのです。このままだと数年後は早期退職制度どころか、単純に首切りが始まるのではという漠然とした不安からです。

単純にクビになるくらいだったら現行の早期退職制度の利用に踏み切った方が良い、というのが趨勢でしょう。

なかなか悲観的な事が多いですね。
だがしかし、だがしかし!
筆者の個人的な感覚ではありますが、悲観ばかりではありません。昨年あたりから、漠然と続いてきたMRの減少の勢いが弱まっています。つまり、

MR数の減少は、まだあと少しの間は続くのですが、もうすぐ底に達するのではないだろうか、ということ。再来年あたりからはむしろ増加するのではという感覚です。バイオファーマを中心に数百人の新しい部隊が誕生しているし、メガファーマにおいてもオーファンや専門領域へのシフトが続いていて人員が必要に転じています。

新製品の新発売も来年から多くなります。

スタチン、ARB、DPP-4、SGLT-2、アレルギー薬やPPIなど、今まで売れ筋だった路線、つまりプライマリー領域華やかしかり日の製品群の時代は、新発売スタートダッシュのマンパワーを補う方法としてコントラクトMRが重宝されました。当然、限られたスパンでのプロダクトライフサイクルの方程式です。

立ち上げでお祭り騒ぎして、競合品が出て、数年経過し、特許が切れる、といったような製品群の場合は、コントラクトMRの利用はまさにプロモーションのユーティリティとして正しいでしょう。

ところが、来年からの新製品の多くは、専門領域での新規物質が多いのです。現状、世界の開発品目、世界のパイプラインの40%ほどが専門領域や、またオーファンドラッグです。

オーファンは儲からない、という、これまでの常識を覆すかの様にオーファンの開発が盛んです。オーファンが思ったよりも儲かると言う事に各企業が気づき始めたのです。逆に言えば、今から糖尿病などの薬を開発しているような会社は、戦略として若干疑わなければならないかもしれません。

専門領域やオーファンドラッグは、なかなか競合もジェネリックも存在しないマーケットです。

競合もジェネリックもなかなか出てこない、、、、と、言う事であれば、MRアウトソーシングよりも、むしろ帰属意識の高いプロパー社員の方が適しています。

これからは、専門性の高い領域で専門MRの転職マーケットが盛んになるのではと、思います。再来年、つまり、2016年くらいからでしょう。

現在早期退職を考えている方、専門MRへの道をサポートしますよ。ご連絡くださいませ。

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アストラゼネカの新人事

アストラゼネカは、新しいCEO人事を発表しました。 その方の名はパスカル・ソリオ! 考える人みたいで恰好いいですね。

http://www.astrazeneca.co.jp/activity/press/2012/12_8_28.html

パスカルさんも相当優秀な方だと思いますが、アストラゼネカが、ロッシュの社長を採ったところに、なにかアストラゼネカの希望というか、期待というところを見て取って良いのでしょうか。例えば最近ヤフーがグーグルの重役を採用したのと似ているような感じがします。

パスカルさんはロッシュのCOOです。ロッシュと言えば、現在最も注目されている製薬会社と言ってよいのではないでしょうか。注目されている理由は何と言っても最大のバイオ医薬品メーカーだからです。これからの医薬品業界は、遺伝子、個別化医療に乗らないと、生き残りは難しいですよね。そしてその主役となるのは抗体医薬です。ロッシュは「ジェネンテック」を2009年に完全子会社化した後、バイオ医薬品を中心とする分子標的治療薬の開発がさらに加速していますよね。現状のパイプラインで、抗体を用いて使用する医薬品が最も多い会社の一つです。その、ジェンティック買収、さらにロッシュのバイオファーマ化を先導し、売り上げを伸ばし続けてきた張本人が、パスカル・ソリオさんです。

ロッシュはパスカルさんが就任してから取ってきた方向性により、現状最もホットなファーマになっているのです。抗体医薬、オーファンに不可欠な試薬は、ロッシュ・ダイアグノスティクが重要な役割を果たしています。特にアジアパシフィックでの成長は顕著ですよね。このパイプライン見てもすごいです。http://www.roche.com/roche_pharma_pipeline.htm

最近のアストラゼネカはどうだったのでしょうか。実は今年の4月に新しく会長が就任しました。新会長は元ボルボの社長であり、ヨーロッパ版経団連と申しましょうか、ヨーロッパの経済団体であるERT(European Round Table of Industrialists)の会長でもあるリーフ・ヨハンソン氏です。最近流行の異業界からのボードメンバーと言う感じでしょうか。その新会長が就任後4ヶ月たった先日の8月28日に、ウォールストリートジャーナルのインタビューに答えて言いました。

“There’s a number of medicines going off patent, We need to replenish them.” (http://online.wsj.com/article/BT-CO-20120828-709362.html)

彼が言っているのは、こういうことです。

①「たくさんの薬が特許切れになる」②「我々はそれら(製品)を補充する必要が有る」

特許切れとはなんでしょうか・・・日本で言えば、ネクシウムやクレストールでしょうか。ネクシウムは今のところ効果を全面的に押し出すことで功を奏しているようです。つまりオメプラールのジェネリックという経済性よりも、より良い効果という新規性がメリットを上回っているということでしょう。しかしながら、これもジェネリックが7掛けの日本だけかもしれません。もし他のPPIのジェネリックがもっと安くなれば、どんなにネクシウムが優秀でも新規性よりPPIジェネリックの経済性が上回ってしまうでしょう。クレストールに至ってはスタチンのマーケットそのものがジェネリックに取って代わるところです。アボットやファイザーの様にプライマリー領域、長期収載品には、別のストラテジーが必要になるのかもしれません。

補充する必要があるとはなんでしょうか・・・言葉の通りです。とにかく製品、パイプラインを補充する必要が有るのです。アストラゼネカの会長は、はっきりとインタビューに答えています。つまり、裏を返せば、製品、パイプラインが手薄だと、いうことに他なりません。

なんと言うか、やっぱり、異業界の雰囲気がします。新しい風は良いことだと思います。由緒ある経済紙に自分が会長をしている会社のパイプラインが良くないと言っている訳ですから。なかなか医薬叩き上げの人はこう言えないかもしれません。株主や他の経済団体向けには、とてもわかりやすくて、良いのです。私もそう思います。そういえば、ノバルティスのトップも、ハインツから来た方ですし、最近日本のアストラゼネカに、P&Gから部長が来ましたよね。すばらしい流れですね。私のようなリクルーターとしては、こういう動き大歓迎ですね!(笑)

日本で言えば、トヨタの豊田社長が、武田の社長になっちゃったとか?? ありえなーい! だけどもありえるー。(笑)

ヨハンソンさんの発言は、今まで製薬会社の閉鎖性と言うか、排他的な感じと言うか、他からの参入を嫌うようなカルチャー、その参入障壁のフラストレーションを取っ払ってくれているような気がします。

奇しくも、彼が、WSJのこのインタビューに答えたのは、彼が関与した人事異動、つまり彼がロッシュから辣腕社長を連れてきて、プレスリリースがあった直後でした。すなわち、リーフ・ヨハンソンさんがパスカルさんに期待していることは、火を見るよりあきらかです。それは、古巣のロッシュでパスカルさんがやってきたように、アストラゼネカに置いても例えばジェネンティックのような会社とのコラボレーション、M&Aをして、抗体医薬、オンコロジー、ワクチン、オーファンドラッグなどなどを補充してほしいと言うことです。

アストラゼネカがこれから活況になりそうです。