フォーチュン500
5月過ぎくらいになると、アメリカでフォーチュン500が出てくると思います。もうすぐですね。企業のランキングですよね。
第1四半期を過ぎて、次々と昨年(2018年)の売上等の数字が揃い、経済誌フォーチュンがまとめて、それがランキング化されます。
なにか、似たようなランキングもあるようです。が、だいたいフォーチュン500があまりにも有名ですよね。フォーチュンと聞くと、雑誌であるということより先にフォーチュン500のランキングが思い浮かぶくらいです。
似たようなランキングとは、こんな感じですが、どれもこれもフォーチュン500ほどの指標にはなりません。
フォーチュン500と類似のランキング
フィナンシャル・タイムズ・グローバル500(世界の企業の時価総額をランキングしたリスト) フォーチュン・グローバル500(世界の企業の売上高をランキングしたリスト) フォーブス・グローバル2000(世界の公開会社の上位2,000社のランキングリストである。順位は売上高、利益、資産、市場価値の4つの要因に基づいて決められる) インターブランド・ベスト・グローバル・ブランド・リスト(世界の企業のトップブランド・ベスト100を決めるリスト。インターブランドが集計し、発表したものをビジネスウィーク誌も発表する) ビジネスウィーク・トップブランド・ベスト100(世界の企業のトップブランド・ベスト100を決めるリスト。インターブランドが集計し、発表したものをビジネスウィーク誌も発表する) ビジネスウィーク・革新的な企業ランキング(世界の革新的な企業をランキングしたリスト) 半導体メーカー売上高ランキング(世界の半導体メーカーをランキングしたリスト) 半導体・製造装置メーカー売上高ランキング(世界の半導体製造装置メーカーの売上高をランキングしたリスト) 世界の軍事企業の売上高ランキング(世界の軍事企業の売上高をランキングしたリスト)
さて、フォーチュン500ですが、アメリカ企業を対象だけのランキングと、グローバルでの企業が対象なランキングがあります。
フォーチュン500・・・アメリカだけ フォーチュン・グローバル500・・・世界が対象
さてそのランキングですが、もうすぐ2019年(2018年のデータ)が出てくるとおもいますので、今のうちに、昨年の発表2018年(2017年のデータ)を見てみることにします。
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フォーチュン500 /2018・・・アメリカ企業だけが対象
ランキング 企業名 総売上高($M) 業態 日本法人 1 Walmart 500,343 小売 ある 西友 2 Exxon Mobile 244,363 石油 ある 3 Berkshire Hathaway 242,137 保険 ない 4 Apple 229,234 コンピュータ ある 5 UnitedHealth Group 201,159 ヘルスケア ない 6 McKesson 198,533 ヘルスケア ない 7 CVS Health 184,765 ドラッグストア ない 8 Amazon.com 177,866 インターネット ある 9 AT&T 166,546 通信 ある 10 General Motors 157,311 自動車 ある 11 Ford Motors 157,311 自動車 ある 12 AmerisourceBergen 153444 医薬品卸 ない 13 Chevron 134533 石油 ある 14 Cardinal Health 129976 医療機器 ある 15 Costoco 129,025 小売 ある 16 Verizon 126,034 通信 ある 17 Kronger 122,662 小売 ない 18 General Electric 122,274 電気 ある 19 Walgreens Boots Alliance 188,214 ドラッグストア あったけど撤退 20 JPMorgan Chase 113,899 金融 ある 21 Fannie Mae 112,394 金融 ない 22 Alphabet 110,855 インターネット ある 23 Home Depot 100,904 小売 ない 24 Bank of America Corp. 100,264 金融 ある 25 Express Scripts Holding 100,064 調剤 ない 26 Wells Fargo 97,741 金融 ない 27 Boeing 93,392 飛行機 ある 28 Phillips 66 91,568 石油製品 ない 29 Antherm 90,039 医療保険 ない 30 Microsoft 89,950 ソフトウェア ある
30位まで抜き出しましたけど、パッと見て印象的なのは、
○1.Walmart ウォルマート
→相変わらず1位なんですね。ただし店舗型リテイルはゆくゆく縮小するでしょう。ビジネスの多角化をしているはずです。
○3.Berkshire Hathaway バークシャー・ハサウェイ
→日本人にとっては馴染みのない企業ですが、歴史のある企業です。
ネブラスカ州オマハに本社を置く持株会社である。もともと綿紡績事業であったが、戦後に原料価格が下がり世界中で競争が起こったので、ウォーレン・バフェットに買収されてから保険業を足場とする機関投資家へ転換した。
wikipedeia
ウォーレン・バフェットは製薬企業への投資は消極的
→バフェットといえば、世界一の投資家。彼に目をつけられたわけですね。なるほど。日本で言えば、東洋紡とか、日東紡とか、そういう紡績会社が、買収されて保険会社になっちゃったみたいな感じなのでしょうか。紡績から保険って、なかなかですね。さすがアメリカ。
ちなみにですが、ウォーレン・バフェットは製薬企業への投資はあまり好きではないらしいですが、ジョンソンアンドジョンソンとか、テバには投資しているらしいです。
製薬企業が好きではない理由は、研究開発費が多額すぎるのと、変動が激しすぎるからとのことです。さらに、バフェットは日本への投資もあまりすきではありません。
豪快なイメージが有りましたが、意外と慎重派なんですね。学ぶところは多いです。
○4.Apple ・・・売上高は1位のアップル 課題はiPhone依存
時価総額では4位ですが、売上では間違いなく1位です。懸念されるところは売上の殆どがiPhone頼みだそうで、iPhone以外の売上アップがとても大きな課題になっています。日本にいると、iPhoneユーザーがとても多いのですが、世界シェアではサムスン→アップル→ファーウェイの順です。しかもファーウェイがアップルにものすごく接近しています。このランキングでもわかるように、サムスン、ファーウェイはアンドロイドなので、iPhone以外の売上を模索するときに、アプリでは勝てそうにもないですよね。
○5.6.7.UnitedHealth / McKesson / CVS
ヘルスケア関連3社です。この3社を一つにまとめた意図は、ヘルスケアということよりも、いかにもアメリカらしいという点です。日本との違いよく現れています。
「民間保険だけ」のアメリカならではのビジネス戦略
ユナイテッドヘルス は、世界最大の医療保険であると同時に、単なる保険ではなく、包括的な医療プログラムを売っています。国民皆保険ではないアメリカならではだと思います。お金を使って、こういうサービスを受けるということなのです。実際に僕の友人のアメリカ人もアメリカで入っています。
McKesson は調剤薬局ですが、規模やサービスが全然違います。個人的に突出しているのは、HEORのデータを集めてそれをサービス化しているところじゃないでしょうか。つまり、皆保険ではないので、新たな価値を自ら生み出す姿勢です。患者から集めたリアルワールドエビデンスをサービス化。日本の調剤は、いかに点数をもらうかに走りすぎやしていないかと思ったりするのです。保険制度の違いがビジネスを多角化にもっていくのでしょう。日本の調剤は、与えられる点数を出来るだけ取ろうという努力はありますが、価値を創り出すことはしているのでしょうか。
予防医学先進国 アメリカ
CVS はコンビニとドラッグストアが合体したような店舗で、全米のどんな田舎にもある感じです。コンビニとドラッグストアと言っても、スケールが違います。売っている医薬品はOTCやサプリメント。その大きさが違います。調剤もしています。皆保険ではありませんので、風邪やそこらでいちいち医者にかからないですよね。なので予防にとても関心があるのです。アメリカ人は風邪をひいても家でチキンスープとかレモネードとかジンジャーティーとか飲んで治そうとしています。それは好きにしてほしいのですが、アメリカ人と日本で働いていると、如何にも熱がありそうで怠そうにしていて、マスクもせずに咳込んでいるまま出勤してきて、会社で生のレモンとか生姜とかを噛っている人が居ます。ほとんどのアメリカ人は、日本でインフルにかかっても医者に行きません。日本の公共の場でそれはやめてほしいとつくづく思います。
この、民間保険システムがもらたらす、包括サービスと、予防医学のビジネスの拡大と言えるのではないでしょうか。
その他、気になるのは、オイルやリテール、自動車がまだ入っていますが、おいおいソフトウェア関連がランクインしたりするのかなと、思っているところです。
ところで、製薬会社のランクインはどうなっているのでしょうか。下記が、フォーチュン500(2018)で、ランクイン(500位以内)した製薬企業です。
フォーチュン500の製薬企業
Company 2018 Fortune 500 Ranking Annual Revenue per 2018 list (in billions) 2017 Fortune 500 Ranking Johnson & Johnson 37 $77 35 Pfizer 57 $53 54 Merck & Co. 78 $40 69 AbbVie 110 $28 111 Gilead 116 $26 92 Eli Lilly 129 $23 132 Amgen 130 $23 123 Bristol-Myers Squibb 145 $21 147 Celgene 224 $13 254 Biogen 245 $12 248 Regeneron Pharmaceuticals 473 $6 N/A
製薬会社は、フォーチュン500では、37位からの登場 なんですね。フォーチュン500には、11社ランクインしていました。
ジョンソン・アンド・ジョンソンが製薬トップで37位。
あまり日本で聞かないのは、Regeneron でしょうか。サノフィとのコラボでPCSK9 (Proprotein Convertase Subtilisin Kexin Type 9) のプラルエントの開発元ですね。バイオです。
ギリアドがリリーよりもブリストルよりも上
に来ていますね。よほど設けたということですよね。C型肝炎は、もう著効する薬で治り、新患も減り、マーケット枯渇して久しいので、そろそろ新たな大型を展開しないと、、ですよね。今年発表では何位につけているでしょうか。
11社だけ? 11社もある?
それにしても、アメリカでのトップ製薬会社が37位で、500位以内に11社 って、良いのでしょうか、良くないのでしょうか。どなたか詳しい経済学者とか、なんか言っていないですかね。。
今年発表のフォーチュン500ではどうなるでしょうか。
フォーチュン・グローバル500
ではフォーチュン・グローバル500を見てみましょう。フォーチュン・グローバル500は、アメリカだけではなくて、世界を対象にしています。
ランキング 企業名 業態 国 総売上高($M) 1 ウォルマート 小売 アメリカ 500,343 2 国家電網(ステートグリッド) 電力配送 中国 348,903 3 中国石油化工集団(シノペック) 石油 中国 326,953 4 中国石油天然気集団 石油 中国 326,008 5 ロイヤル・ダッチ・シェル 石油 オランダ 311,870 6 トヨタ自動車 自動車 日本 265,172 7 フォルクスワーゲン 自動車 ドイツ 260,028 8 BP 石油 イギリス 244,582 9 エクソンモービル 石油 アメリカ 244,363 10 バークシャー・ハサウェイ 投資、保険 アメリカ 242,137 11 Apple コンピュータ アメリカ 229,234 12 サムスン電子 電機 韓国 211,940 13 マッケソン ヘルスケア アメリカ 208,357 14 グレンコア 商品取引 スイス 205,476 15 ユナイテッドヘルス・グループ ヘルスケア アメリカ 201,159 16 ダイムラー 自動車 ドイツ 185,235 17 CVSヘルス 薬局・ヘルスケア アメリカ 184,765 18 amazon インターネットサービス アメリカ 177,866 19 エクソールグループ 投資 オランダ 161,677 20 AT&T 通信 アメリカ 160,546 21 ゼネラルモーターズ(GM) 自動車 アメリカ 157,311 22 フォード・モーター 自動車 アメリカ 156,776 23 中国建築工程 建設 中国 156,071 24 鴻海精密工業 電子機器製造 台湾 154,699 25 アメリソース・バーゲン 医薬品卸売 アメリカ 153,144 26 中国工商銀行 銀行 中国 153,021 27 アクサ 保険・金融 フランス 149,461 28 トタル 石油 フランス 149,099 29 中国平安保険 保険 中国 144,197 30 本田技研工業 自動車 日本 138,646
アメリカだけではなくて、グローバルとなると、いろいろな国が入ってきますね。
それでもウォルマートが1位なのですが、2位から7位まではアメリカ以外です。中国が3社入っているのは驚きですね。
上位にはオイル関連が5社入っていて、オイル強いですね。6位に日本企業としてトヨタが入っています。
トヨタとホンダ
日本企業は30位以内には、トヨタとホンダということになりますね。今年はホンダはどうなりますか。
30位以内に製薬会社ランクインなし
製薬会社で、30位以内には、居ませんね。製薬業そのものって、意外と地味なのかもしれませんね。
ではフォーチュン・グローバル500で、製薬関連のランクイン企業を見てみましょう。
フォーチュン・グローバル500の製薬企業
製薬企業でのランキング フォーチュン・グローバル500での順位 会社名 売上高$M 本社の国 1 86 China Resources 82.184 Hong Kong 2 100 Johnson & Johnson 76.45 USA 3 169 Roche Group 56.634 Switzerland 4 187 Pfizer 52.546 USA 5 193 Bayer 51.933 Germany 6 194 Sinopharm 51.844 China 7 203 Novartis 50.135 Switzerland 8 271 Sanofi 40.81 France 9 276 Merck 40.122 USA 10 290 GlaxoSmithKline 38.868 UK 11 422 Abbvie 28.216 USA 12 455 Gilead Sciences 26.167 USA 13 491 Boehringer Ingeelheim 23.888 Germany
グローバルで見ると、ジョンソン・アンド・ジョンソンの上を行っているのが、香港のチャイナリソースということで驚きです。
それにしても、グローバルではジョンソン・アンド・ジョンソンが100位で、その上にランクしている製薬1位のチャイナリソースをもってしても86位なんですね。
チャイナリソースってどんな会社でしょうか。
ウェブを見るとたくさんの子会社からなっているようで、製薬も卸も、OTCも全部やっている複合体のようです。本当に創薬を知ているのかはさておき、規模の大きさで1位になっているということのようです。
製薬6位に入っている中国のSinopharm (http://www.sinopharm.com/1156.html )ってどんな会社でしょうか。これも見てみると、創薬というよりはヘルスケアサービスを知ているようですね。
ベーリンガー ギリギリフォーチュン・グローバル500
製薬企業は、なんだか地味に見えてしまいますね。更に地味なのは日本企業ですよ。
日本企業はフォーチュン・グローバル500圏外
お気づきの方も多いかと思いますが、日本企業はどうなっていますでしょうか。グローバル500の中には入っていないということですね。圏外です。
今年の発表はどうなるでしょうか。
よく製薬ランキングなんかをググると出てきますが、グローバルで俯瞰してみると、製薬業そのものが地味な存在だということに気づいちゃいますね。寂しいことです。
ーーーーおまけーーーー
1995年のフォーチュン・グローバル500をググってみました。
この数年前は、Japan as No.1と言われ、任天堂がマリナーズのオーナーになり、ロックフェラーセンタービルが三菱地所に買われて、かの名画であるゴッホの『ひまわり』は、大昭和製紙の会長が買ったりした時代。ちなみに、この絵画はその後大昭和製紙が手放して、その後は行方不明になっております。。。
その後諸説ありますが、1993年にバブルが崩壊して、2年経過の1995年時のフォーチュン・グローバル500の触りを少し。。。。
1995年のフォーチュン・グローバル500
1 三菱商事 2 三井物産 3 伊藤忠商事 4 住友商事 5 General Motors 6 丸紅 7 Ford Motor 8 Exxon 9 日商岩井 10 Royal Dutch Shell
日本の総合商社が上位にランキングしているのがわかります。バブル崩壊後2年経ってもです。昔の話ですね。
日本企業は今後またこういう時代が来るのでしょうか。もう来ない よね。(泣)
今年のフォーチュン500はどうなるでしょうか?????
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