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夢のような薬があった。

ディオバンで大騒ぎですね。

だいたいARBとか、数が多すぎて競争が激しいにも関わらず、優位差があるような論文がなかなか出ない、つまり本当に効能効果は似たり寄ったりなんでしょうね。それが全ての始まりような気もします。接待もできないし、似たり寄ったりの薬で熾烈な競争が展開されているので、どうにかして差別化をしないといけないわけですよね。そりゃ少しでも他社より良いデータを残したいです。

アメリカが何でも良いとは思いませんが、アメリカではこんな事は起こりにくいでしょうね。まず、ニューロタンのジェネリックが10円位で売られちゃってますので、後から出た競合品が色々改善されて出てきたとしても、10円ならニューロタンのジェネリックを買う訳で、もうこの時点でこのカテゴリー、つまりARBの戦争は終わりです。

ただし日本では7掛けですから、まだまだ少しでも優れた競合品があれば、そちらに目が向く訳じゃないでしょうか。 今まで長年処方されてきた100円の薬に慣れているお年寄りが、30円安いかもしれないけど色も名前もパッケージも違うジェネリックは、何か違うように見える事でしょう。30円の差なら、今までので良いよ。という事になるかもしれません。

このようなお年寄りも、100円が10円になるなら、慣れてないかもしれないけど10円のジェネリックを選ぶ事は明らかです。おまけに、あとから改善されて発売された同種同行品を服用していた人々も、少し古い薬らしいけど、同じような薬ならそのジェネリックで良いよ。という事になりますね。この現象がまさに、ジェネリックが発売された品目そのもののダメージだけでなく、そのカテゴリー全ての製品のダメージ、すなわち、そのカテゴリーのマーケティングの終焉を意味します。

したがいまして、クドいようですが、アメリカではARBの戦争は終わっちゃったとも言えるでしょう。

ディオバンのこの一連の騒ぎを見て思い出す薬があります。それは、このブログの筆者が新卒でMRをしていたころ、1990年代ですが、夢のような薬があったのです。

現在の新薬開発のトレンドは海外で開発されて日本に入ってくる感じですよね。ところが、その夢の薬は日本でのみ承認されていて、アメリカにも無かったのです。売り上げも膨大でした。下手したらディオバンよりも多かった? かもしれません。

その薬の名はアバン。

そして、カラン。 セレポート。 ホパテ。 レン。 ですね。

1990年代と言えば、そんなに大昔ではないと思うのですが、この時代に日本だけで「脳代謝改善薬」という薬があったんですよ。懐かしいです。当然高齢化に突き進む日本社会において、夢のような薬だった訳ですね。実際に発売されて、いやー、相当売れていましたよ。 筆者もMRとして大学病院を担当していましたが、専門の先生が、こぞってこの有用性を謳っていて、積極的に処方されていました。製薬会社も、当然の事ながら、奨学寄付も、研究会も、当時は接待もガンガン、地方の学会にはまるで大名旅行か参勤交代の行列のように、専門医と取り巻きと、製薬会社社員が大挙して流れ、夜の繁華街も医者と製薬会社社員で潤い、景気が良かった時代です。

ところがです。これらの薬が売られてしばらくして、既にそうですね、一体いくら位の売り上げをあげたんでしょうか。ググってみると、だいたい8000億円くらい売れたらしいですよ。

そのうちに、効能効果にも、売上高が大きすぎることにも疑問の声が上がり、再評価の結果効果が無しということになり、発売取り消しになりました。効果があるから薬になったはずなのに、売られた後に効果が無いという事になり、8000億円売り上げた後に発売が取り消されたのです。当然保険請求で国庫から莫大な税金が使われた事でしょう。 この件は、効果がなくても、薬は売れるんだなという、変な証明にもなってしまいます。

この時は、確かにインパクトはありましたが、それほど大騒ぎもしなかったような気がします。まあ、事件性が無かったからかもしれませんが、そもそも事件性があったのかどうかさえ調べていないのでは。調べたら、何らかのコトは出てきたでしょうね。もう今となっては闇の中です。

粛々と発売中止のアナウンスがされて、粛々と発売が中止されて、3ヶ月もすぎた頃には誰も話題にもしなくなり、夢の薬は忘れ去られました。 おそらく、誰も咎められる事無く、そのまま、儲かったまま、何事も無かったようにフェードアウトしていったような記憶があります。

ディオバンの今回の件とは性質も違うので同じように比較する事はできないかもしれませんが、ディオバンと同じように、いやそれ以上の出来事だったのではないでしょうか。考えさせられます。

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