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医者も、製薬会社も、ワトソンがやれば良いの?

日経新聞やその他メディアが「ワトソン=人工知能」であるという表現をしていることに関して、知ってか知らずか、IBMはそのまま放置しています。ただしIBMはワトソンをコグニティブシステムとか、コグニティブコンピューティングとして、人工知能という表現を自分からは使いません。良くある議論で、人工知能が人々の職業を奪うのではという問いかけに対して、IBMはあくまでも人工知能は人間が主体であり、人の生活を豊かにするためのものである、ということを強調しています。では実際にワトソンが様々な業界で取り入れられた後、どうなるのか?という素朴な疑問に対して、IBMは実際はわからないとしながら、ワークライフバランスの充実や、人の生活をどこまで豊かにしてくれるのか、楽しみであるという、なんというかエレガントな回答に終始しています。
医療現場では、すでにワトソンは活躍していて海外のみならず、国内においても東大の医科研で医師でもわからなかった患者の的確な診断に成功しているようです。IBMのみならず、自治医大では、人工知能ホワイトジャックの開発が進んでいます。
製薬業界ではテバとIBMが提携しました。喘息のような、というか喘息なのですが慢性疾患の予防に使えるようにするらしいです。喘息患者が発作を防ぐように、最適な処置を提供する仕組みを開発するようです。
http://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/50948.wss

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ヘルスケア業界のみならず、IBMはゼネラルモーターズとは自動車向け情報提供サービス、今飛ぶ鳥を落とすかの勢いのアメリカのビジネス向けチャット、スラック(slack.com)とはネット開発技術を、オンライン教育が盛んなアメリカで展開する教育ベンチャーのユダシティ(udacity.com)とは教育事業を、ドイツのシーメンスとは画像診断、ドイツ自動車部品大手のシェフラーとはIoT、企業のみならず、フィンランド政府とは医師支援、スコットランドの金融、ロイヤルバンクオブスコットランドとは自動応答システムと、大きな動きだけでざっとこれだけ出てきます。

これらの報道全てに、IBMの人工知能という表現が出てきます。実際、人工知能はIBMだけでなく、各社現状しのぎを削って開発をしているところです。IBMは人工知能ではなくてコグニティブシステムというのであれば、そこは声高にメディアに対しても指摘しても良いのかと思ったりもするのですが、そこはトーンが低い気がします。物理的に、ひとつひとつの報道を指摘できないのか、またはIBM=人工知能と刷り込まれても、この競争には有利と判断しているのか、わかりません。

実際、IBMはこのワトソンで攻勢をかけているというか、社運をかけています。IBMのここ数年の業績は必ずしも良いとは言えませんでした。しかも数年前からクラウドに乗り遅れてしまったIBMが、ワトソンに起死回生を賭けているというのは、複数のメディアが指摘しています。

人工知能と医療は良いのですが、コンプライアンスなどの問題が出てきそうな気がします。すでに出ているのかもしれません。また、人工知能が仕事を奪うのではという危惧に関しては、私個人的には、奪われる仕事はあると思いますが、逆に未知の、今までになかった新しい仕事が増えると思っています。今までになかった、全く新しい仕事が、人の手によって行われることが必要になってくると思います。例えば、まあ、自動車の登場により、馬車は姿を消したかもしれませんが、自動車部品という、今までになかった新しい業界が誕生して、計り知れない雇用が生まれたと思います。e-mailが登場して、Faxなどは減ったと思いますが、コンピューターウィルスソフトの開発など、未知の業界が誕生して人が必要になりました。ワード、エクセルが誕生してワープロや印刷屋は減ったかもしれませんが、マニュアルや動画を作成する会社や、サービスが誕生しました。つまり、人工知能、ワトソンも急速に発展して、奪われる仕事もあるかと思いますが、今までに想像すらできなかった未知の仕事、業界が誕生することになるかと思っています。

医者も、製薬会社もワトソンに任せておけば、医者も製薬会社も要らないのでしょうか?

そうはならないと思います。むしろ、何らかの未知の仕事が増えると思います。もしも仕事が奪われると危惧されている方は、その未知の仕事が何か、常にアンテナを貼ってみてください。それもジョブセキュリティに繋がるかもしれません。

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ジェネリック・リピトールを巡るニューヨーク決戦!

リピトールの後発品ですが、日本からは5社から発売になっていますね。 

アトルバスタチン錠5mg/10mg「EE」  – エルメッドエーザイ
アトルバスタチン錠5mg/10mg「KN」  – 小林化工
アトルバスタチン錠5mg/10mg「サワイ」 – 沢井製薬
アトルバスタチン錠5mg/10mg「サンド」 – サンド
アトルバスタチン錠5mg/10mg「トーワ」 – 東和薬品

お気づきのように、ジェネリック医薬品のネーミングは、一般名を基準としたネーミングに統一化されました。昔は、それはギャグ?というようなユニークな名前もありましたが、数十社が参入するジェネリックマーケットですので、紛らわしくなったり、処方ミスなどをなくすためだと思います。

できれば、リピトールに準えた名前をつけたかったでしょうね。 それだけリピトールのブランド名は浸透していますので。

さて、このリピトールのジェネリック戦線ですが、アメリカでは、2つのメーカー、ワトソンランバクシーでちょっとした物議を醸しております。

ワトソンは、NYに本拠を置くジェネリック医薬品メーカーです。ワトソンは自社のホームページで、今回のリピトールの後発品の発売を

“Largest generic product launch in US history” 

つまりアメリカ史上で最大の製品の後発品の新発売として、意気込んでいます。アトルバスタチン錠80mgの初出荷の様子が、ホームページ上で動画で記録されているほど、ワトソンとしては、会社的にも意義のあることだったことが伺えます。それにしても、アメリカではリピトールは80mgなんですね。

ワトソンが、動画をホームページにまでupして、「我々はもう出荷している」ということを強調している理由ですが、なんとなく、ランバクシーを意識しているような気がしてなりません。なぜなら、ワトソンは、「スタート」を切ったものの、ランバクシーは、ジェネリック・リピトールの販売権は得ているものの、主要記事によるとまだ沈黙しているのです。

Watson starts selling generic Lipitor in US, Ranbaxy mum

11月30日時点のBloombergによれば、ランバクシーはこの時点で更なる最終的なクリアランスをUSFDAから受けなければならないのです。記事によると、インドのアナリストも、いつUSFDAから許可が降りるかわからないと言っています。こんな記事を読むと、ワトソンの動画が如何にインパクトを与えているものであるかを感じざるを得ません。

 さて、ランバクシーといえば、インド最大の医薬品メーカーで、第一三共の傘下。 つまり、この一連のドタバタは、日本の会社の子会社が繰り広げていることだったのですね。ということは、むしろ、かなり日本に関係のあることだったのです。

第一三共の経営にかかわる方々にとっては、歯がゆいことだったのでしょうか。日本ではなかなかこの手の報道がないので、うかがい知ることができないところです。

さらにランバクシーは、ジェネリック最大手のテバと組んで、このジェネリック・リピトールをテバの販売網に乗せようとしております。当然戦略上のことであるかと思いますが、第一三共にとっては、日本市場はテバを通じてオペレーションをすることになるのかと思います。大洋と興和テバを同時に買収して、テバ製薬誕生の目玉製品にもなりそうな予感がします。このストーリーのためにも、ランバクシーはUSFDAからの宿題をクリアしなければならないのでしょう。

ランバクシーの拠点はインドではグルガオン、アメリカではニュージャージーに置かれてています。 ニューヨークとニュージャージーに本拠を置く2社、まさにgreater NY 決戦。。

NBAで言えば、ネッツとニックスのマジソンスクエアガーデンでの決戦!と、行きたい所なのでしょうが、今のところはネッツの不戦勝になりそうな雰囲気ですね。この東海岸での対戦は、日本にも大いに関係があり、今後の成り行きがかなり注目されます。