
さて皆様、いかがお過ごしですか。いやあ、「ものの始まりが1なら、国の始まりは大和の国」と、寅さんが言っているように、建国記念日ですね。
飛び石連休であれば、皆様、特に製薬業界の方々は、月曜日お休みされた方々も多いのでは無いかと思います。
そんな中、アメリカではスーパーボウルが、この土日にありましたね。南部のニューオリンズのシーザーズ・スーパードームで開催されました。勝利したイーグルスファンは、きっとバーボンストリートで、ハリケーンをがぶ飲みして大騒ぎしているかと思います。ちなみにハリケーンはフローズンダイキリで、口当たりが良いので飲みすぎて悪酔いする、というまでがセッツです。
ところで、このブログでも触れたことがありますが、こちらの動画のリンクは残念ながらキレています。まあ、そりゃそうです。数年前なので。
なんといってもスーパーボウルといえば、ハーフタイムに流れるCMに注目したいのです。
もちろん、ヘルスケア関連に注目です。今年はなんと、ノバルティス!
そして毎年恒例のファイザー!です。
ノバルティスがフェイリー・スタンフェルドと、ワンダ・サイクスを起用して、乳がんの啓発の大胆なCMを流しました。フェイリーは今をときめく女優、シンガーです。ワンダは、記憶に新しいのはアカデミー賞の司会ですね。あのウィル・スミスがクリス・ロックを平手打ちした2022年の時です。
全体的に、女性の胸に視線がフォーカスするような内容になっています。最後に、ワンダが啓発をするという感じです。ワンダは、乳がんサバイバーです。
ノバルティスの派手な演出に引き換え、ファイザーのCMは、感動ものです。小児がんを叩きのめす、少年。リングアナウンサーのマイケル・バッファーの定番のキャッチフレーズ「戦いの準備はいいかい」にスイッチが入って、戦いの舞台へ、と言った感じです。
これは心に響きます。ファイザーは、「2030年までに8つのがん治療法のブレイクスルーを目指す」というミッションが示されています。最後のフレームには、会社のロゴ、スローガン「Outdo Yesterday」、なんというか、昨日宵も勝るという感じでしょうか。
スーパーボウルに製薬企業のCMが増える理由 〜ノバルティスの裏事情は?〜
毎年、スーパーボウルのCMは世の中のトレンドを映し出していますよね、。今年はAI企業のCMが目立ち、技術革新の波を強く感じました。しかし、その中で異彩を放っていたのが、ノバルティスの乳がん啓発CMだったかな、と思います。ファイザーも良かったです。
スーパーボウルCMの影響力
スーパーボウルは、アメリカのみならず世界中で視聴されるスポーツイベントです。視聴者数は毎年1億人を超えてるとのことです。CM枠は30秒で約12億円と、広告業界の“スーパーボウル”ともいえますね。あの30秒とか60秒で12億とか20億とかのカネが動くのです。
今年は、トランプ大統領も観戦に訪れたりして話題になりましたよね。しかしまあ、DCに居たのなら、ジェットですぐに着きますからね。スーパーボウルのようなアメリカを象徴するようなイベントに出てくるというのは、いかにもトランプ大統領らしいです。偉大なアメリカを取り戻す、という感じです。
日本でふと、石破茂さんが脳裏に浮かびましたが、とてもそんなキャラじゃ無いですよね。
日本に例えれば、競馬の天皇杯の雰囲気と考えれば良いですね。両陛下も観覧されておりますし。盛り上がります。
さて、話はスーパーボウルのCMに戻りますが、かつては自動車メーカーや飲料ブランドが主流でした。、
近年はテクノロジー企業やヘルスケア企業も積極的に参入しています。まあ、世相ですよね。2024年にはアステラス製薬が前立腺がんの啓発CMを放映し、数年前にはアストラゼネカ(AZ)がオピオイドの副作用に対する便秘薬のCMで話題を呼びました。
で、そして2025年、今年、ノバルティスとファイザーということで、ノバルティスが乳がんの啓発CMを放映しました。
——なぜノバルティスがこのタイミングでCMを出したのか、まあ、たまたまでしょう。でも、ちょっと裏事情もあるかもしれないと、勝手に思いました。
製薬企業がスーパーボウルでCMを出す裏事情
スーパーボウルのCMといえば、派手でユーモラスなものが多いです。が、製薬企業のCMはそれとは一線を画し、社会的な意義を持つものが増えています。まあ、業界が業界ですし。その背景には、単なる啓発以上の戦略があるように見ようと思えば、見えます。
- 市場での苦戦とブランド再構築
- 健康意識の向上と市場拡大
乳がん治療市場は、既存薬の競争が激化する中、新たな治療法をアピールする場が必要だったのかなと思います。スーパーボウルは普段健康に関心がない層にもリーチできるため、将来的な市場拡大を狙った動きとも考えられます。 - 株主・投資家へのアピール
特にノバルティスの攻めの姿勢は、株主に多少は影響力を上げたように思います。
GLP-1製剤のCMがなかった理由は?
ところで、ノバルティスもファイザーも良いのですが、やはり、昨今のアメリカといえば、GLP1。ただ、ウゴービとかゼップバウンドのCMをフーパーボウルでやるのは、ちょっと微妙ですよね。オーディエンスの40%超えが肥満なら、ちょっとやりにくいですよね。
AI企業が多かった2025年、その中での製薬企業の存在感
2025年のスーパーボウルCMでは、OpenAIやGoogle、AnthropicなどAI関連企業の広告が目立ちました。
生成AIの普及や、AI技術の進化を象徴するようなラインナップでしたが、そんな技術革新の中で、人間の健康にフォーカスした製薬企業のCMは、ある種の「対抗メッセージ」としての意味合いもあったのではないですかね。
AIが進化してあらゆる業界を飲み込もうとする中で、最も重要な「人間の命と健康」に関するメッセージを発信する製薬企業の姿勢は、単なる広告以上の意味を持っていたように感じます。
スーパーボウルのCMは、とりあえず、まず間違いなく、その時代の世相を反映しています。
今年はAIが主役でしたが、ノバルティスのような製薬企業の存在感も増していました。しかし、その背景には、市場での苦戦、ブランド価値向上、投資家へのアピールといった戦略的な意図が見え隠れすします。
一方で、GLP-1製剤のCMが見送られたのも、単なる偶然ではなく、スーパーボウルという場における空気感を読み取った結果なのではないでしょうか。気まずくなりますし。
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ではまた次回。

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