外資系を夢見たAさん。
~プライドと現実の狭間で、自分を納得させるスキルが上達したAさん~
転職できたのに、しなかった人たち〜自分に嘘をついた”数年後のリアル 第1話
「俺は、人に媚びて出世するような人間じゃない」
学生時代のAさんは、そんなことを平然と言ってのける硬派だった。
飲み会で上司にヘコヘコしてる同期を見て、「俺には無理だな」と鼻で笑っていた。
それが今では、社内の偉い人の好きなゴルフ場を事前にチェックし、話のタネにして自分のプレゼンスを高めようとしている。
そんな自分を、夜、スマホの画面が真っ暗になった瞬間にちょっとだけ嫌になる。
でも、「これも家族のためだ」と自分に言い聞かせる。
Aさん、37歳。
新卒から国内大手の製薬会社でMR15年。関東勤務。
妻も同い年で、都内の旅行業大手でマネージャー。共働きで、子供1人。
「共働き前提の家庭だから、転勤は難しい」と口癖のように言っている。
5年前、外資系MRにチャレンジ。3年前、外資スタートアップにも挑戦。
結果は、両方とも面接で不合格。
Aさんは、自分で“その理由”をこう定義している。
「全国転勤できないって答えたから、落ちたんだ」
でも、実際は違う。
志望動機はどこか弱く、業績もぱっとしなかった。質問への回答も曖昧だった。
要するに、「普通に準備不足で、魅力が伝わらなかっただけ」だ。
にもかかわらず、「転勤NGだったから仕方ない」と理由を転勤にすり替えた。
さらに驚くべきは、Aさんの“脳内編集能力”である。
彼は、
「うちは妻も働いてて、子供も小さいから、単身赴任なんて無理」
と、よく言っている。
しかし、実際は――
奥さんは、Aさんの転職を応援していた。
単身赴任も「そのときはそのときだね」と、現実的に受け止めていた。
この都合のいい“事実の上書き”は、プライドと現実を両立させるための脳内プロセスだ。
「本当はやれるけど、家族のために我慢している俺」というロールを演じている。
そして現在。Aさんは転職活動をやめ、社内での生存競争にシフトしている。
「社内でなんとか這い上がる」と言いつつも、心のどこかで、
「あの外資系の新薬の世界に、もう一度挑戦したい」
という気持ちを、押し殺して生きている。
「自分を納得させるために、もっともらしい理由をこしらえて、理想の自分じゃない人生を生きている」
Aさんのような人は、実はとても多い。
やれることを「やらない」ために、頭のいい言い訳を探している。
そして、言い訳が上手くなるほど、本当の可能性から遠ざかっていく。
もし、このまま会社が傾いたら?
もし、40代でリストラされたら?
そのとき、Aさんは気づくだろうか。
あのとき転職しなかったのは、「家族のため」ではなく――
「自分の準備不足とプライドが原因だった」と。

▼今日の問い
「本当にできないこと」と、「やらない理由を作ってること」、あなたは見分けられていますか?
▼もし、Aさんにひとこと言えるとしたら
まだ遅くありません。
完璧じゃない準備でも、少しだけ行動してみれば、景色が変わるかもしれません。
家族のことを大切にしながら、自分の未来も諦めない選択肢。
ゼロか100かじゃなく、グレーなルートだってある。
Aさんのような人こそ、本当は新しい世界で活躍できるはずだから。
プライドは、一歩踏み出すための“誇り”に変えられる。
次回予告:
第2話「外資バイオに憧れて、気づいたら5年経ってた男」
~地方に住むBさん49歳。チャンスは、もう来ないかもしれない~
みなさま、いかがお過ごしですか。今日からまた、シリーズが始まります。前回までは、50代などに焦点を当てていましたが、今回は、若い人とか年齢も関係ありません。
シリーズが続きますが、今までのFDAネタなど、通常ネタも挟んでアップしていきます。

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