転職できたのに、しなかった人たち〜自分に嘘をついた”数年後のリアル 第3話
「転職?うーん、特に困ってないんだよね」
Cさん、52歳。
日系大手の医療機器メーカーに勤めるベテランMR。
家族との関係も良好で、役職もあり、給料も悪くない。
「まあ、このままでいけたらいいかなって思ってる」
──一見、何も問題がないように見える。
でも、彼は過去に何度も転職エージェントに登録している。
面談もしている。
気になる求人には目を通している。
だけど、毎回こう言って終わるのだ。
「悪くはないけど、今の会社も悪くないし…」
「なんとなく、今のままでもいいかなって」
Cさんがいるのは、心理学でいう「コンフォートゾーン」。
つまり、居心地のいい“慣れた世界”の中だ。
そこにいる限り、大きな失敗はしない。
けれど、大きな成長もない。
50代に入ってからは、社内のポジションも固定化され、
新しい挑戦も減っていった。
そして、気づけば“次の打ち手”がなくなっている。
実は少し前に「将来の役職対象外」と言われた。
後輩たちもどんどん昇進してきている。
だけど、それすら「まぁ仕方ないか」でスルーしている。
これは「現状維持バイアス」という心理現象。
変化には不安がつきものだから、
たとえ将来的にリスクがあると分かっていても、
「今のままが一番マシ」と考えてしまう。
Cさんにとって一番の問題は、
「今は大丈夫」だから、
「いつまで大丈夫か」を見ていないこと。
早期退職で、希望をしないのに退職勧奨される有力候補である。もし、今年、来年来たら、それはまだ早すぎる。
かといって、、もう転職は難しい。
実際、今の待遇が5年後も続くとは限らない。
──特に50代では。
🌱未来は、少しの不快から始まる。

コンフォートゾーンは、暖かくて安心できる。
けれど、そこに居続けることで、
選べる道がじわじわと減っていく。
今の会社に不満がないからこそ、
「転職=逃げ」ではなく「戦略」として捉えることが大事だ。
挑戦の幅を狭めるのは、いつだって自分自身。
💡登場用語解説:
- コンフォートゾーン:心理的に安全で安定した状態。変化や挑戦を避けてしまう領域。
- 現状維持バイアス:変化よりも現状を好み、変わらないことを選んでしまう心理傾向。
何かありましたら、いつでもご相談ください

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