転職できたのに、しなかった人たち〜自分に嘘をついた”数年後のリアル 第4話
「自分はまだ“若い”と思っている50代」
(楽観バイアス/時間錯覚)
Dさん、54歳。
大手製薬メーカーのMR。
長年の経験と人脈があり、業界の知識も豊富。
話しぶりも落ち着いていて、頼りがいがある。
…が、転職活動にはずっと腰が重い。
そして、もう既に転職できるような年齢を超えている事に気づいていない。
「今はタイミングじゃないかな」
「60までには動こうと思ってる」
「でも、まだ50代前半だし…」
Dさんの中では、なぜか“今”が「序盤戦」のように感じられている。
実際には、製薬業界での転職適齢期は40代後半までと言われている。
それを知ってか知らずか、なぜか自分自身がまだ転職市場の中の普通の年齢層と感じているのだ。
企業が求める年齢や体力、順応性を考慮すると、50代前半でも「今がラストチャンス」と言っていい。
でも、Dさんはこう考える。
「若々しい見た目だから、まだ大丈夫だ」
「心の中では、まだ40代だと思っているからね(笑)」
これは心理学でいう「楽観バイアス」と「時間錯覚」の合わせ技。
人は自分にとって都合の悪い未来を、
なぜか「まだ先の話」と思い込んでしまう。
その間にも、求人は変わっていく。
募集年齢も、ポジションも、待遇も。
「今じゃなくても大丈夫」と考えているうちに、
「今じゃないとダメだった」に変わるのが、この年齢帯の怖さだ。
🕰「まだ若い」は、本当にそうか?

若々しさは魅力だ。
でも、それが判断を鈍らせるなら注意が必要だ。
自分にだけ都合の良い「未来予想図」を描いてしまっていないか?
“そのうち”が永遠に来ないこともある。
💡登場用語解説:
- 楽観バイアス:将来を過度に楽観的に見積もる心理傾向。特に自分に都合の悪い可能性を過小評価する。
- 時間錯覚:実際の時間の流れや制限を誤って捉えてしまう感覚。特に加齢とともに強まる傾向がある。
🪴少し先の未来を、今日から考えてみよう。
“まだ若い”と思えるのは素晴らしいこと。
でも、「若い」ことと「選ばれる」ことは違う。
選ばれる年齢は、意外と短い。
だからこそ、今の自分にしかできない選択がある。

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