30代の選択のパラドックスと未来への可能性

転職できたのに、しなかった人たち〜自分に嘘をついた”数年後のリアル 第5話

Eさん、38歳。
大学卒業後から同じ製薬会社に勤めて15年。
営業成績は悪くない。社内での評価もそこそこ。

今すぐ辞めたいわけじゃないけど、
ずっと「このままでいいのかな」とは思っている。

18年間のリクルーター経験で、相談者とこんなトークを何回も聞いている。


「他社の条件も見てみたいな」
「自分の市場価値って、どのくらいなんだろう?」
「転職サイト、登録はしてるんですけどね」

当然、選択肢があれば、それを見てみたい気分になる。だが、自分の軸を持っていなければ、選択肢があるメリットが、迷宮への入り口となってしまうのだ。ちなみに、自分の市場価値というのは、もし、転職市場という意味で捉えれば、動かなければ、それはゼロとなってしまう。


でも、実際に応募したことはない。

話を聞いてみるだけ聞いて、
なんとなく“今じゃない”という気がして、
気づけば3年が経っていた。


「38歳って、まだ可能性がありますよね?」
「40までには行動を起こしたいと思っています」

35歳から動かずに3年が既に経っている。40歳までの2年間は、もっと速く訪れるのである。

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この言葉の裏にあるのは、
“まだ見ぬ理想の選択肢”がどこかにあるという期待と、
“今の場所”がそこまで悪くないという安心。

そして、決断できないまま年齢だけが積み重なっていく。


これは「選択のパラドックス」と「現状維持バイアス」のダブルパンチ。

選べる選択肢が多いと、逆に選べなくなる。
何もしないことが、“損しない最適解”のように思えてくる。


「あとで考える」は、けっこう危ない。

30代後半の転職は、
“若手”としての可能性と“中堅”としての即戦力を両方求められる。
企業側は、将来性だけでなく、実績も見ている。

「いつか考えよう」では遅い。
動くべき“タイミング”は、意外とあっさり過ぎていく。


💡登場用語解説:

  • 選択のパラドックス:選択肢が増えるほど決断が難しくなり、満足度が下がる心理現象。
  • 現状維持バイアス:変化による損失を避けるため、今の状態を維持しようとする心理傾向。

✨まだ選べる30代だからこそ、今。

“いつか”ではなく、“今”を動かす人が未来を選べる。
悩むのは悪いことじゃない。
でも、動かないままでは、理想には近づけない。

迷っていい。怖がっていい。
でも、小さくても一歩踏み出せば、何かが変わる。