🔨旧構造、解体開始。1.5億ドルが動かす創薬の地殻

みなさん、お元気ですか。
それにしても、最近の“お米騒動”はどうなるんでしょうね。

「JAが全部買い取るって、なんか変」
「田んぼたくさんあるのに備蓄米…なんで?」

──と、考えれば考えるほど、モヤっとします。
制度、利権、過去から続く構造…。どうにも変わらないものが多すぎます。

🌾結局、“構造”を変えなければ、なにも変わらない。
そう思わされる今日このごろ。

🇺🇸【他方、アメリカでは】

一方で、アメリカのバイオベンチャー界隈はまったく違います。
むしろ「構造そのものを壊しにいく会社」が次々と現れては、巨額資金を引っさげて業界を揺さぶっています。そうです。ちんたらやってたら、時間がないんですよ。米も、すったもんだやって数年経ったら、ただでさえ高齢化で後継もいない農家が困るじゃないですか。もう停滞は、コロナ禍で十分ですよね。関係ないですけど。では、Septernaの話、しちゃいますよ。

📢【Septernaが1.5億ドルを調達】創薬ベンチャー界にまた一つ、ビッグニュース。

🧬GPCRの旧構造にメスを入れる「Septerna」とは?

🔹会社概要

  • 社名:Septerna Inc.
  • 本社:カリフォルニア州サウスサンフランシスコ
  • 2021年設立、GPCR(Gタンパク質共役受容体)創薬に特化したバイオスタートアップ。

でた! このブログをご笑覧いただいている方にはすでにお馴染み、シリコンバレー。

🔹GPCRとは?

  • 医薬品ターゲットの3分の1以上がこの「GPCR」に関連。
  • ただし、構造解析やスクリーニングが難しく、“ブラックボックス”扱いされてきた受容体群。

💡なぜ今、Septerna?

🔸1.5億ドルのシリーズBを調達

  • 2024年5月、シリーズBで$150M(約230億円)を調達。
  • リード投資家はRA Capital。その他の投資元にはThird Rock、Catalio、GV(旧Google Ventures)など、超一流どころがズラリ。

はい。みなさん、1.5億ドルですよ、億ですよ、で、ドルですよ。つまり、

¥21,641,775,000-

二百十六億四千百七十七万五千円

ぼったくりバーの領収証風に書くと、

貳百拾陸億肆阡壹百七拾七萬伍阡圓

なんか、日本って、今までコマーシャルサイドが表に出てますよね。歴史的に。例えば、営業とかマーケティングとか。MBAがかっこいいとか。

そろそろ、R&Dで資金調達までして、とんずらする奴、とか出てきても良いですよね。笑

いやいや、日本のヘルスケアはそういう風潮はないです。少しはあっても良いと思います。一山当てたい系の研究者とか。

🔸”Native Complex”技術

  • GPCRを“本来の状態”でスクリーニング可能にする独自技術です。
  • 従来は不安定で研究が難しかった構造を、安定的に解析・創薬に活用できるようにするものなのです。

🔸標的は“未踏のGPCR”

  • 既に活用されてきたGPCRだけでなく、これまでドラッグ化されてこなかったGPCR領域にリーチ。

🧠そもそも「GPCR」とは?

**Gタンパク質共役受容体(GPCR)**とは、
細胞膜の表面に存在し、外からの刺激(ホルモンや神経伝達物質など)を細胞内に伝える重要な構造です。

  • 人間の全受容体の中で、最大規模のファミリー
  • 医薬品ターゲットの約30〜40%がGPCR
  • 例:β遮断薬(高血圧)、抗ヒスタミン薬(アレルギー)などもGPCRを標的にしています。

しかし…

  • GPCRは膜タンパク質であり、抽出や解析が非常に難しい。
  • 特に「安定な構造で維持しながらスクリーニングを行う」ことは長年の技術的課題でした。
Photo by BULBFISH on Pexels.com

ここに真っ向から挑むのが、今回ご紹介する「Septerna」です。


🚀戦略比較:他社とどう違う?

会社名特徴
Septerna
本拠地:米カリフォルニア州サウスサンフランシスコ / 創業:2021年 / CEO:Jeffrey Finer
Native Complex技術で、非活性GPCRの創薬を可能に
DJS Antibodies(Amgen買収)
本拠地:米マサチューセッツ州 / 創業:2017年 / CEO:詳細非公開(Amgen傘下)
抗体創薬型でGPCRを標的
Sosei Heptares
本拠地:英国ロンドン / 創業:2007年 / CEO:Mark Hibbert
安定化変異型GPCRを利用
Tectonic Therapeutics
本拠地:米カリフォルニア州 / 創業:2019年 / CEO:James Stewart
ループ構造の解析に特化

📈IPO情報:ナスダック上場済み

Septernaは、2024年10月25日にナスダック市場でティッカーシンボル「SEPN」として上場を果たしました。ir.septerna.com+5cooley.com+5globenewswire.com+5

  • 公開価格:1株あたり18ドル
  • 発行株数:1,840万株(追加購入オプション含む)
  • 調達額:3億3,120万ドル
  • 初値:23.5ドル(公開価格から約31%上昇)
  • 時価総額:約9億7,000万ドルReuters

この上場により、SepternaはGPCR創薬の新たなステージへと踏み出しました。

  • CEOは元Amgenのリーダー、資金も潤沢。
    • その名はJeffrey Finer――Amgenでトランスレーショナル部門を率い、TheravanceではCMOとして最前線を走った、バイオ製薬界の歴戦の医師です。
  • 今後2〜3年で臨床入りと大型提携の可能性が高い

🇯🇵日本との関係は?

  • 2024年時点で日本法人や提携は未確認
  • ただし、日本のGPCR研究は基礎が強く、今後の提携先候補として可能性あり
  • 日本の大手製薬は「GPCR経験者」を求める傾向にあるため、間接的に影響が出るかも?

ていうか、日本なんて、視野にないのかもしれないですね。悲しいですが。


📝構造は変えられる。変えるプレイヤーが出れば

硬直した構造を前提に我慢し続けるか、
それとも構造そのものを壊して再定義するか。

日本のお米制度にせよ、医薬品ターゲットの歴史にせよ──
変えるのは、いつだって“構造を疑った人”たちです。

Septernaが挑むGPCRの再定義、これはきっと、
“創薬の地殻”が本当に動く前触れなのかもしれません。

https://ir.septerna.com/node/6541/pdf



Septernaが挑むGPCRの再定義、これはきっと、
“創薬の地殻”が本当に動く前触れなのかもしれません。

壊して、創る。未来はそこにある。