みなさんお元気ですか。
米問題では古古米のありがたみが見直されているとかいないとか。議員が「美味しい」と言ってましたが、あれは本心でしょうか。
同じように、「これはいける」と思われていたものの評価が分かれたのがこちら——
リジェネロンとサノフィのCOPD治療薬、イテペキマブです。第III相試験で片方は成功、片方は失敗という、まさに現代の古古米案件。
✅ AERIFY-1試験では、COPDの中等度~重度の増悪を27%抑制(元喫煙者が対象)というポジティブな結果。
❌ 一方でAERIFY-2試験では、同様の効果は確認されず、最大でも12%の減少にとどまり、統計的有意差は示せず…。
現在、両社はこの結果をもとに規制当局と協議中。イテペキマブの今後の開発方針が注目されています。
🧪 COPD市場はアンメットニーズが大きく、IL-33という新しい標的に期待も高まっていただけに、今後の判断が気になるところです。
📉【COPD治療薬イテペキマブ 第III相試験の分岐点|MRが注目すべき3つの視点】
リジェネロン(REGN)× サノフィ(SAN)が共同開発中のIL-33阻害剤「イテペキマブ」は、期待されたCOPD領域で第III相試験の明暗が分かれる結果に。
🧪 試験結果の要点
✅ AERIFY-1:主要評価項目達成 → 中等度~重度増悪を27%減少(p<0.05)
❌ AERIFY-2:有意差なし(増悪率 2%、12%の減少にとどまる)
両社は現時点で開発中止の判断はせず、規制当局と協議中とのこと(※サイテーションは後述)。
🔍 MR目線で押さえておくべきポイント
……まあ、正直なところ、「AERIFY-1が〜」とか「主要評価項目を〜」とか言われても、何のこっちゃですよね。
そういう小難しい試験名とか、数字とか、別にこっちは望んでないんです。現場の関心は、もっとこういう感じじゃないでしょうか?
「で、これって行ける話なの?」
「ヤバいの? リジェネロンやばい? 人減らす系?」
「いや、サノフィの方がダメージでかい?」
「てか競合どうなってるの? そっちが知りたいんだよね。」
AERIFY-1って、美味しいの?
……そういう声にお応えして、以下ご用意しました。
ではまず、こちらから。
① 競合状況:COPDの新薬開発は難航中
COPD治療は近年「ICS/LABA/LAMA」3剤併用の最適化が中心で、新規MoA(作用機序)の参入障壁は非常に高い領域。
- GSKのヌーカラ(抗IL-5) → COPDでは十分な有効性示せず
- AZのFasenra(抗IL-5Rα) → COPDでは失敗
- アストラゼネカの**Tezepelumab(抗TSLP)**も現状は喘息適応どまり
つまり、IL-33という新規MoAに挑戦してきたイテペキマブも、厳しい現実に直面した格好です。
② 今後の見通し:承認は不透明どころか、霧の中——でも完全撤退はナシ?
・確かに、AERIFY-1では“元喫煙者”で27%の減少と、部分的な有効性が出ました。
でも、AERIFY-2では**「あれ、効いてる?」と首をかしげるレベルの結果。
このままでは承認まで突っ走るのはかなり厳しい情勢**。
・とはいえ、RegeneronはこのIL-33を、アトピー性皮膚炎や喘息にも応用中。
**「COPDでは無理筋だったかもだけど、まだ逃げ道はある」**という立場。
完全撤退ではなく、**試験デザインのやり直し or 適応追加での“延命策”**が視野に入ってきます。
📌 **MRとしては、「IL-33=終わった」ではなく、むしろ“ここからどう生き残るか”に注目を。
他疾患への応用や、「COPDを一括りにする時代は終わった」**というサブタイプ再分類の動きもチェック。
③ MRキャリア視点での注目点:呼吸器MR、次の一手は?
💣 呼吸器領域を主戦場にしていたMRにとって、新薬が出ない=武器を失うことを意味します。
それはつまり、「来期どう戦うの?」という営業戦略の再構築が必要になるということ。
・特に、IL系バイオマーカー製品を持っていた外資MRにとっては、
皮膚・アレルギー・免疫への“転身”が現実味を帯びてくるタイミング。
・今後は、営業現場でエビデンスが足りない分、「どう語るか」で勝負になる局面も増加。
リアルワールドデータ、学会、患者ペルソナ──差別化は腕の見せ所になります。
④ 今のうちに動くべき人、備えるべき人:
「静かに、でも確実に、席が減っているかもしれません」
👀 今回のニュースで“即解雇”なんてことは起きません。でも、水面下では確実に影響が出始めます。
なぜなら、大手×グローバル企業であるほど、
✔ 試験結果
✔ 投資対効果
✔ 将来性
に極めてシビアだからです。

🔻 今のうちに“転職活動”を始めた方がいい人
ーーーちょっと煽り気味。実際はすぐにそこまでにはならないでしょうが、意識はしておいた方が良いかもです。
- 呼吸器領域一本勝負のMR/MSL/MA
→ 新薬失速=評価指標の変化。営業・メディカル活動の軸がブレると、居場所も揺らぎます。 - IL系バイオマーカー製品に深く関わっていた人
→ 他社も含めた再評価の波が来ると、「次の席」が減る可能性あり。 - 「いつか皮膚・免疫にも行けたらな…」と思ってた人
→ それ、“今”です。社内異動待ってたら動き遅れます。
🧠 備えるべきスキル・情報
- 疾患横断で使えるストーリーテリング力
→ COPD → アレルギー → 皮膚とMoAをまたぐ展開には、「語れる力」がモノを言う。 - 学会データ・リアルワールド情報へのアンテナ
→ 製品が弱くても、自分の語りが強ければ勝てる時代。 - “疾患特化”より“MoA特化”のキャリア戦略
→ 呼吸器にこだわる時代は終わり。「IL-33に強い人」「Type2炎症を語れる人」が残る。
👩🔬 これが転職市場にどう影響する?
ここ、大事かもしれないです。
- 呼吸器領域の開発職・MSL採用は一時ストップモードの可能性大。
→ 特にイテペキマブに関与していた部署では、「とりあえず様子見」「人員スライド」「新規採用見送り」がリアルに起こりえます。 - IL-33を含む「炎症×バイオマーカー」系パイプラインは、他社も巻き込んで見直しムード。
→ 類似MoAを持つ企業では、「お宅も例のアレ、ちゃんと効いてる?」と社内レビューが入り、部署再編や人員調整の火種に。 - 中長期では、「呼吸器一本足打法」だった人材の再流動化の波がじわじわ来る。
→ 特に、サノフィのようにバイオ×外資×欧州系の交差点にいる企業群では、MSL・MA・RAのポジションシフトが水面下で動き始める可能性も。
📌 製薬・バイオ業界では、1つのフェーズIIIの結果が数百人単位のキャリアに波及します。
求職者も採用側も、「自社・他社の開発動向」を踏まえて次の一手を考える時期です。
気になる方はDMやご相談もどうぞ📩
🧾
- Regeneron社公式リリース(2024年5月30日)
- Fierce Pharma “Regeneron, Sanofi post mixed results for IL-33 antibody…”
- NEJM, Lancet Respir Med等の過去類似試験参照(例:GSKのanti-IL-5系失敗報告)
📣 最後にひとこと:
「焦って動け」とは言いません。
でも、「動かない理由」を自分に言い聞かせてるうちに、社内の椅子が一つ、また一つと消えているかもしれません。
気づいた時に、空いてるポジションが**「興味のない領域」や「勤務地NG」だったら後悔しませんか?**
💬「他社製品との立ち位置どうなる?」「MSLの採用影響は?」など、現場レベルで気になる点があればお気軽にコメントください。
呼吸器MRの方、いまがキャリアの分岐点かもしれません。

コメントを投稿するにはログインしてください。