みなさま、いかがお過ごしですか?
文学部文芸学科卒の僕ですが、なぜかMRになり、気づけば今はバンコクから日本マーケットの仕事をしております。
ところで、先日子供がマレット指の手術をして、60万円かかった話をしましたが、無事に全額保険でおりました!まあ、保険料も安くないので、これで降りなかったら、どうしようと思っていました。
さて、今日は、インドで売れまくっているというイーライリリーの「マンジャロ(Mounjaro)」について、少し深掘りしてみようと思います。
〜糖尿病大国インドにおけるGLP-1系薬剤の現実〜
🌏 世界最大の糖尿病市場、インド
「インド」と聞いて、まず思い浮かぶのは人口の多さでしょう。
その数、なんと約14億人。そしてその中で糖尿病を抱える人は推定1億人以上とも言われており、世界最多の糖尿病患者数を誇る国でもあります。
おそらくですが、糖尿病人口はもっと多いはずです。インド人だけが、食べ物からして、わかりますよ。インド人だけが糖尿病にかからないなんておかしいので。
まあ、あと、基本的にぽっちゃり系が多いですよね。それは人種かな?とも思います。
実際、インドの都市部では座りっぱなしのオフィスワーク、ファストフードや高脂肪食の増加により、肥満と糖尿病の“コンボ”状態が急速に広がっています。
これはもう、GLP-1系薬剤にとっては「理想的」なマーケットと言えるでしょう。
💉マンジャロ、インド上陸
そんな中、イーライリリー社の**マンジャロ(一般名:チルゼパチド)**が2025年3月にインドで発売されました。
ニュースによれば、発売後すぐに医師や患者からの反応は**「非常に好意的」**。売上も順調で、市場の関心も高まっているとのことです。
マンジャロもゼップバウンドも同じ
肥満も、糖尿病も、一緒です。
実際、「ゼップバウンド(Zepbound)」という名前で肥満適応をとっているのはアメリカなどの一部の国だけ。
インドでは、マンジャロとして販売されているのは糖尿病適応です。
しかし、インド国内の一部クリニックや民間病院では、実質的に“肥満治療薬”として使われている例があるようです。
そんなこと言ってたら、日本でも昔からメトホルミンを痩せ薬で飲んだりしていますよね。もちろんそれはNGですけど。
⚖️インドの規制と“適応外使用”
インドでは、欧米に比べて医薬品の適応外使用に対する規制がゆるやかな傾向があります。
たとえば、
- 医師が患者に「肥満に効果ある」として処方しても、問題になることは少ない
- 自費診療であれば、薬価や保険適応を気にせず投与できる
- 医師と患者の“合意”があれば、柔軟な使い方が可能
という環境が整っているのです。
特に富裕層向けのアンチエイジングクリニックやウェルネスセンターでは、**「GLP-1で痩せる」**というメッセージが強く出されており、糖尿病でない人が処方されているケースも珍しくないようです。
ただまあ、欧米に比べてとか言いますが、これって、個人的な感覚で言うと、アメリカに住んでいた時、アメリカ人もそうでしたよ。
処方薬なのに、何処かから手にいてれて、勝手にみんな飲んでました。それももちろん、NGですけど。
実際に「マンジャロで痩せた」という口コミがSNSなどに出回れば、その需要はさらに加速するでしょう。
💰高い薬なのに、なぜ売れるの?
「とはいえ、マンジャロって高いでしょ? インドでそんなに売れるの?」
と思うかもしれません。
確かに、インド全体の平均所得からすれば高額な薬です。
ですが、インドには**1億人超の“都市中間層〜富裕層”**が存在し、自費で高額医療を受ける文化があります。
- 健康にお金をかけることを“ステータス”と考える人も多い
- 糖尿病を“静かな死”として強く恐れている
- 「痩せる薬」としての話題性・承認欲求もある
これらの要因が重なって、“高くても売れる”ニッチ市場が巨大化しているのがインドです。
ていうか、まあ、インドみたいな国は国民の上位の数パーセントが富の過半数を得ていると思いますが、例えば5%だとしても、人口が14億人ですから、7000万人が富裕層です。
もうそれって、タイの人口と同じやないかぁ〜!
タイに例えれば、国民全員が金持ちみたいな。
日本に例えれば、半数が富裕層ですよね。
それだけすごいマーケットなのです。

🧬ノボノルディスクは出遅れ?
ところでライバルである**ノボノルディスク(オゼンピック、ウゴービなど)**はどうなのか?
どうやらインド市場では、リリーに一歩遅れをとっているようです。理由としては:
- 注射製剤中心のラインナップで、流通・保冷管理が課題
- 規制・申請手続きで慎重な動き
- 値付け戦略でやや強気だった可能性
その隙をついて、リリーが現地法人を通じてスピード展開したのかもしれません。
📝なますて〜:適応なんて関係ない?
インドでは、「マンジャロ=糖尿病薬」という公式な位置づけはあるものの、現場では“痩せ薬”として処方されているという現実があるようです。
つまり、「適応? 治験? いや、もう現場は動いてるよ」
そんなスピード感で動いているのが、インドの医療市場なのかもしれません。
✍️マトンマサラ〜:ヘルスケア業界の常識は、国が変われば非常識?
日本で「適応外使用」と言えば、倫理審査やリスク管理、薬剤部の目が光るイメージがありますよね。
でもインドのような市場では、医療とビジネスと自己責任の境界が、思った以上に曖昧。
この柔軟さが吉と出るか凶と出るかは、今後の観察が必要ですが、
「薬の価値を決めるのは規制ではなくニーズ」——そんな時代になってきたのかもしれません。
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