みなさまお元気ですか。
今年も半分終わりました。みなさん、今年の目標など、ありましたか。ある方は、その半分が達成しておりますでしょうか。僕の場合は、スタートすらしていません。さあ、残りの半分で、挽回しなければ。
そんな焦りを感じていたら──
なんと体重11.6%減という、派手な“半期決算”を叩き出した新薬のニュースが飛び込んできました。
**Zealand Pharmaの「dapiglutide」**です。
ただ痩せるだけじゃない、GLP-1にGLP-2まで掛け合わせてきた、ちょっと珍しい仕掛け薬。
今回は、この「デュアル受容体作動薬」の実力と、ノボやリリーとの比較、そして市場インパクトについてゆるっと解説していきます。
さて、2025年6月に発表されたZealand Pharmaのその薬、
**dapiglutide(ダピグルチド)**
なかなか興味深い結果を出してきました。
「GLP-1はもう出尽くしたでしょ?」
…なんて思ってたら、GLP-2と組み合わせてきた。しかも28週間で11.6%の体重減少。このインパクト、見逃せません。
✅ これは飲み薬なのか?
残念ながら、注射薬です。
週1回の皮下注射(subcutaneous injection)。
ただし、用量調整が柔軟に設計されており、副作用(特に消化器症状)のマネジメントもされている点がポイント。
将来的には、持続型製剤化や経口投与型の進展もあり得ますが、現状は「GLP系=注射」の常識の枠内ですね。
🔬 dapiglutideって何が新しいの?
ざっくり言うと、
- GLP-1で食欲抑制・インスリン分泌
- GLP-2で腸粘膜のバリア強化&吸収効率アップ
この組み合わせにより、単なる「痩せ薬」ではなく、代謝改善+腸内環境改善+炎症低下まで狙っていけるんじゃないかという野心作です。
腸内環境改善って、重要ですよね。
でも、だったらビオフェルミンで行けるということ?
🏢 Zealand Pharma:会社概要とパイプライン
会社概要
- 設立:1998年、本社:デンマーク・ソーバーグ globenewswire.comen.wikipedia.org+1de.wikipedia.org+1
- 従業員約250名、ペプチド医薬に特化
- 主力分野:肥満、希少疾患(先天性高インスリン血症、短腸症候群)、炎症 zealandpharma.com+1zealandpharma.com+1
主なパイプライン候補
- Dapiglutide(GLP‑1/GLP‑2二重作動薬):Phase 1b、次にPhase 2へ進行予定 zealandpharma.com+14clival.com+14patientcareonline.com+14
- Petrelintide(ZP8396):アミリン類似体、Phase 2試験中、Rocheと提携 zealandpharma.com+15zealandpharma.com+15en.wikipedia.org+15
- Survodutide:グルカゴン/GLP‑1二重作動薬、Boehringer Ingelheimが主体でPhase 3 zealandpharma.com+9zealandpharma.com+9zealandpharma.com+9
- Glepaglutide(短腸症候群)、Dasiglucagon(先天性高インスリン血症)、ZP9830(炎症)、その他候補もあり zealandpharma.com+5globenewswire.com+5zealandpharma.com+5。
財務状況
- 2025年第1四半期末時点で現金約85億DKK(約12億USD)
- Rocheとの契約でPetrelintideに関し最大53億USD、うち16.5億USDが前金 patientcareonline.com+15investors.com+15thetimes.co.uk+15。

💹 資本市場への影響は?
Zealand Pharmaはこれを武器に、
- Rocheと提携(petrelintide)
- Boehringerとも別製剤で共同開発中
と、2大メガファーマと組みながら、小型ながらも鋭いパイプライン構築中。
このPhase 1b結果を受けて、株価は瞬間的に反応したものの、まだ大きな爆発には至っていません。
でも、次のPhase 2で再現性ある結果が出たら一気に注目される可能性大。特にGLP系バブルに乗り遅れた投資家からの資金流入が起きるかもしれません。
まあでも、肥満だけにフォーカスすると、失敗しそうですね。ウゴービみたいに。
🏥 治療対象の広がりに注目
現状は肥満・過体重がメインターゲット。
でも、GLP-2が入っていることで、
- 炎症性腸疾患(IBD)
- 短腸症候群(SBS)
- 腸内透過性の改善による慢性炎症疾患
などへの拡張も視野に入ります。
実際、ZealandはSBSや先天性高インスリン血症など、希少疾患にも注力しており、「肥満市場だけを狙ってない」のが面白いところです。ていうか、そうしないと日本では展開できないのかもしれないです。
🤝 ノボやリリーに勝てるの?
正直に言うと「規模では勝てない」。
でも、切り口で差別化できる可能性はある。
ノボ(Ozempic/Wegovy)やリリー(Zepbound/Mounjaro)がGLP-1/GIPで前面に立つ中、Zealandは、
- GLP-1+GLP-2(dapiglutide)
- アミリン類似体(petrelintide)
というややニッチで差別化された方向性を突いてきています。
しかも、でかい製薬企業との提携を活かしつつ、リスクを分散して開発を進めているところも賢い。
⚔️ ノボノルディスク(Novo Nordisk)、イーライ・リリー(Eli Lilly)との競合比較
| 項目 | Zealand Pharma (dapiglutide/petrelintide等) | Novo Nordisk / Eli Lilly |
|---|---|---|
| 作用機序 | dapiglutide:GLP‑1/2二重作動、petrelintide:アミリン類似体 | GLP‑1作動薬(例:Ozempic, Wegovy, Zepbound)、GLP‑1/GIP複合体(例:Mounjaro) |
| 体重減少効果 | dapiglutide:28週で11.6%、petrelintide:16週で約8.6%(単独) zealandpharma.com+15zealandpharma.com+15patientcareonline.com+15zealandpharma.com+5marketwatch.com+5ft.com+5 | Ozempic等では15〜20%超の減少実績あり |
| 副作用 | 主に胃腸症状、耐性あり | 同様だが重度の吐き気や消化不良の報告あり |
| 差別化ポイント | dapiglutideは腸バリア・炎症、petrelintideは筋肉保存や耐性向上を狙う | 新世代複合薬や長期投与の利便性、広範なエビデンスと大規模市場認知度 |
| パートナー戦略 | Roche(petrelintide)、BI(survodutide)などと提携強化 | 自社内開発中心、大規模販売力と世界展開網有り |
🔗 RocheとZealandの提携 ⇒ 日本では中外製薬の出番?
✅ 基本構造
- Zealand Pharmaは2024年にRocheとグローバル提携を結びました(最大53億ドル規模)。
- 対象は主に**petrelintide(アミリン類似体)**とその関連パイプライン。
- Rocheは日本市場では基本的に中外製薬(Chugai)を通じて展開しているため、
この手の新薬も原則「中外がやる」流れになります。
✅ 中外が実際に担当するかの判断基準
中外製薬が扱うかは、以下のような条件で判断されることが多いです:
個人的には、そう簡単に扱わないと思いますよ。結構シビヤな判断が下るのではないでしょうか。あ、もしかして、もう決まっていたらすみません。
| 条件 | 該当度 | 補足 |
|---|---|---|
| アンメットニーズの高さ | 高 | アミリン作動薬は日本未承認のクラス。肥満薬市場の盛り上がりも追い風。 |
| 国内開発のコスト・リターン | 中 | GLP-1/GIPが先行する中、差別化が必要。ただし中外は戦略的に新機軸薬に強い。 |
| パイプライン重複の有無 | 低 | 中外のパイプラインに競合候補が少なく、導入余地あり。 |
→ 総合的に見て、中外が導入し治験を開始する可能性は高いと考えられます。
すでに非臨床レベルでの準備を水面下で進めていてもおかしくありません。
🧭 じゃあ、dapiglutideは?
dapiglutideに関しては、Zealand単独開発です(現時点ではRoche提携対象外)。
つまり、現状では中外ではなく、
- 日本進出するなら、Zealand自身がライセンスアウトする相手を探す
- もしくは、大手のどこかと共同開発 or 他のメガファーマとの提携
といった形になるでしょう。
日本での承認・展開には、まだ1〜2ステップ外堀を埋める必要ありという感じです。
いっそのこと、ジェネリックメーカーと提携したらどうでしょうか? ベテランのMRいっぱいいますし。それか、全員CMRにしても良いかもしれないですよ。まあでも、デンマークの会社って結構資金がありそうなので、単独で来たら良いかもしれないですね。
✅ Ken的まとめ
- petrelintide(アミリン類似体)系は、日本では中外製薬が扱う可能性大
- dapiglutideは別軸で、日本市場向けのパートナー探し中と思われる
- 中外は今後もRocheの肥満系製品に関して、重要なハブを担うことになるかもしれません
🎁 おまけ:中外製薬は肥満領域やるの?
答えは、**現時点では「まだ目立った動きはないが、やる気はある」**という感じです。あ、これもすでに決まっっていたらすみません。正直、そこまで調べてないです。
📦 中外製薬の公式パイプラインには、肥満薬らしきものは…?
→ 現時点では「明示的な肥満治療薬」はパイプラインに載っていません(2025年6月時点)
でも、だからといって「やらない」わけではないのが中外の怖いところ。
🔍 中外が肥満をやる可能性が高い理由3つ
① Rocheの肥満戦略に密接にリンクしている
- 親会社である**RocheがZealandと契約(petrelintide)**しており、
肥満・代謝分野への進出意欲は明らか。 - 中外も過去に自前ではなくRocheの新規モダリティを導入して日本展開してきた(例:抗体医薬)。
つまり、「Rocheが肥満をやれば、中外もやる」が基本構造。
② 内分泌・糖尿病領域には関心あり(ただし穴場)
- 中外の強みは抗体やがん領域と思われがちだけど、実は内分泌系疾患(甲状腺・成長ホルモンなど)もカバーしている。
- 肥満領域は、国内でまだ抗体製剤やアミリン系が出ていない分野なので、「出遅れたけど今から攻めたい」ニッチとも言える。
③ 医師主導治験や学会発表で肥満×抗体医薬への関心が増えている
- 医療現場でも、**糖尿病+肥満=Diabesity(ダイアベシティ)**というキーワードが定着。
- 「糖尿病薬だけで減量も改善する時代」のなかで、抗体薬の新しい使い道を探す動きも中外が注目してる領域。
👀 Ken的うがった見方
Rocheのpetrelintide(Zealand提携)とか、GLP系の「次の一手」が動き出す中で、
中外は“後出しジャンケン”で国内展開してくるはず。
- 自社開発はせず、Rocheの決定を待つ
- 日本国内での治験・承認・薬価戦略に強いので、後半で巻き返すのが中外スタイル
つまり、いまはまだ静かでも、水面下ではきっと準備してる。
💬 Kenのひとこと:GLP-1時代、まだまだ続きます
正直、GLP-1バブルってもう天井かと思ってました。
でも、GLP-2やアミリンといった「補助軸」を追加する戦略には、また別のロジックがある。
- 「ただ痩せる」ではなく、
- 「筋肉を守りながら痩せる」
- 「腸を整えながら代謝を改善する」
こういう**“第2世代のGLP系”**が今後どんどん出てきそうです。痩せる、だと、あんまり需要ないんですよね。
dapiglutideはその先陣。Phase 2の結果、要チェックですね。
🔮【Kenの勝手予測】“次の日本版Mounjaro”候補たち
① Eli Lilly / tirzepatide(商品名:Mounjaro / Zepbound)
- ✅ 実績:米国FDA承認済/肥満・糖尿病両方OK
- ✅ 作用機序:GLP-1 + GIP 二重作動薬
- ✅ 日本展開:すでに国内治験進行中(糖尿病で承認見込み)
📝2025年 発売済み
② Zealand Pharma / petrelintide(アミリン類似体)
- ✅ 提携:Roche経由で世界展開予定
- ✅ 作用機序:アミリン類似体(食欲抑制+胃排出遅延+筋肉維持)
- 🚪 日本:→ Roche ⇒ 中外製薬の可能性 大
📝Kenの見立て:Zepboundと同じ「第2世代」カテゴリ。中外が突如「日本初のアミリン作動薬」として発表する未来あり。2028年ごろか。
③ Boehringer Ingelheim / survodutide(GLP-1 + グルカゴン)
- ✅ Zealandと共同開発/Phase 3進行中
- ✅ 作用機序:GLP-1による食欲抑制+グルカゴンによる脂肪燃焼促進
- 🤝 日本:BIジャパンが自社展開もしくは提携導入
📝Kenの見立て:体重減少はMounjaro級。抗糖尿病ではなく、純肥満薬路線で申請してくる可能性。2027年以降。
④ Amgen / MariTide(AMG133)
- ✅ GLP-1 + GIP 抑制(ちょっと変化球)
- ✅ 週1回皮下注射で最大15%以上の体重減少データ
- 🔬 まだPhase 2段階
- 🚪 日本:→ Amgen KKが直接申請の可能性も(過去にRepathaなど自社導入経験あり)
📝Kenの見立て:アメリカで成功すれば、Amgenが日本でも本気出す。が、時期的には2028年以降。まだ未知数。
⑤ Structure Therapeutics / GSBR-1290(GLP-1経口)
- ✅ GLP-1経口薬:食欲抑制+血糖改善
- ✅ 経口なのに注射並みの有効性を目指す
- 🌏 中国企業(Hua Medicine)や日本企業と提携可能性? でもこの会社は日本撤退していたような。。。
📝Kenの見立て:日本の製薬企業が経口GLP-1の技術を欲しがる中、田辺三菱はゼップバウンド提携。
第一三共・塩野義あたりが提携する線もアリ。住友とか?将来の「経口版Zepbound」的ポジション。
🏁まとめ:Kenの未来予測チャート
| 製品名 | 作用機序 | 日本展開見込み | 担当企業(予測) |
|---|---|---|---|
| Mounjaro / Zepbound | GLP-1 + GIP | 2025年 発売済み | イーライリリー日本法人 |
| petrelintide | アミリン類似体 | 2028年ごろ | 中外製薬 |
| survodutide | GLP-1 + グルカゴン | 2027年以降 | ベーリンガー(BI) |
| MariTide | GLP-1 + GIP抑制 | 2028年以降 | アムジェン |
| GSBR-1290など | 経口GLP-1 | 2028年以降? | 未定(日本企業と提携?) |
この表も、間違ってたらすみません。
🧠 Kenのひとこと
今後の肥満薬市場、日本でも、というか、日本では、**「痩せる」だけじゃなく、「筋肉残す」「炎症抑える」「飲める」**がキーワードになります。
Zepboundだけが主役じゃない。
中外製薬のような“後半戦で一気に詰めてくる企業”にも注目ですよね。
まあでも、書いておいて言うのもなんですが、そんなにうまくいかないような気がします。日本では。
📌参考リンク(一次情報):
GlobeNewswire プレスリリース(英語)

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