電撃解任、そして電撃復帰。Vinay Prasad劇場、FDAを揺るがす2週間

皆さまいかがお過ごしですか。こちらではご無沙汰しましてすみません。いやあ、8月はまず、北海道を旅しておりました。子供のクラスメートがずっと一緒でした。それは良いのですが、ずっとゲーセンとカラオケ行ってました。一旦バンコクに帰ってきて、今度はお盆でまた東京に飛んで実家の墓参りに行ったのです。まあ、とにかく、暑くて、体力も気力も消耗しました。その点、東南アジアにいると、気力も体力も復活してきます。

さて、そんな「体力と気力が試される瞬間」があったかと思えば、グローバルヘルスケアの世界でも同じようなドラマが起きています。例えば、アメリカのFDAで、わずか2週間の間にトップ研究者が解任され、そして復帰するという前代未聞の事件──。これが今回の話題です。

序章:電撃解任のニュース

2025年7月末、FDAで前代未聞の人事ドラマが勃発しました。
主役は、毒舌と批判精神で知られる医師・研究者のVinay Prasad博士。

7月28日、突然の解任。
その翌日、FDAはSarepta Therapeuticsの筋ジストロフィー治療薬Elevidysの出荷再開を決定。
しかし、この薬剤は患者3名の急性肝不全による死亡が報告されており、Prasad博士はその安全性に疑問を呈していました。
解任の背景には、保守系活動家ローラ・ルーマーの批判も影響していたとされています。

第一幕:科学と政治の衝突

事の発端は、筋ジストロフィー治療薬Elevidys
Prasad博士は「安全性が不十分」として出荷を一時停止。科学者としては筋の通った判断でした。

しかし、これが政治の火種に。
患者団体は「希望を奪った」と反発、右派は「政府の介入だ」と怒号。

そして極めつけは、保守系活動家ローラ・ルーマー。
過去のSNSを掘り返し、「トランプを侮辱していた!」と炎上を仕掛けます。

結果、トランプ大統領は“解任”を決断。
科学ではなく、政治が勝った瞬間でした。


第二幕:まさかの復帰

しかしドラマは終わりません。
FDA内部から「Prasad博士を戻せ!」という声が噴出。
FDA長官のマカリー、そしてHHS長官のRFK Jr.が政権に直談判。

「彼なしではFDAは機能しない」

その圧力は政権を動かし、8月9日、Prasad博士は電撃復帰。
科学界も政界も唖然とする“逆転劇”でした。


第三幕:政治に翻弄される科学

この一連の騒動、勝者は誰だったのでしょう?

Prasad博士? 一度クビになったが、結局戻ってきた。
トランプ大統領? 一度は右派に迎合したが、最終的には軌道修正。
右派活動家? 炎上は成功したが、最後は空振り。

残ったのはただ一つ。
「科学は政治に翻弄される」という現実でした。


終章:観客に残された問い

私たちが目撃したのは、科学と政治のせめぎ合いを体現した“Prasad劇場”。

そして観客である私たちに残された問いはこれです。

科学は政治から自由でいられるのか?
それとも、科学者もまた政治の舞台で踊らされる運命なのか?

答えは、次の幕で明らかになるのかもしれません。


エピローグ:Vinay Prasadという人物

ところで、このドラマの主役Vinay Prasad博士とは、いったい何者でしょうか。

  • インド移民の家庭に生まれ、ミシガン州立大学で哲学と生理学をダブル専攻。卒業式のスピーチも担当した才人。
  • 医学博士号はシカゴ大学、内科研修はノースウェスタン、さらにジョンズ・ホプキンス大学で公衆衛生学も取得。
  • がん研究やエビデンス批判で名を上げ、500本以上の論文、ベストセラー書籍も執筆。
  • SNSやYouTubeでの発信も盛んで、毒舌と批判精神から“医療界の異端児”とも呼ばれる存在。

とにかくキャラ濃い。
見た目のインパクトそのままに、科学と政治の世界で嵐を巻き起こす人物です。


余韻:Ken風皮肉ひとこと

結局、科学者も政治の舞台で踊るしかないのかもしれません。
でも安心してください──Prasad博士は踊りながらも、ちゃっかり自分のステップで観客を魅了しているようです。