みなさまいかがお過ごしでしょうか。一時期、このブログも鬼更新しておりましたが、ちょっとブランク開きまして、また復活したいなと思います。
いやあ、FDAとかNIHだけでなく、トランプさんのリストラ劇場はすごいですね。NASAも削減するどころか、大幅に削るみたいで、どうするんですかね。国際宇宙ステーションで暮らす油井亀美也さんもさぞかしびっくりしたでしょうね。いやあでも、こういう人はメンタル座っているから大丈夫ですかね。
そんな中で、なんだか、高騰する医薬品、保険医療にも何やらリストラクチャーの影が忍び寄っていますよ。大丈夫でしょうか。
下記のブログは、ざっとこんな骨子になります。
- コロラド州でこんなことがありました。
ロッキーズもびっくり。ロッキー山脈が動くか? - アムジェンが訴訟を起こす!? 穏やかじゃないね〜
法廷バトルの論点をチェック - 改めて、この薬「エンブレル(Enbrel)」って何?
仕組み・適応・価格の背景 - 患者負担が増えるの? えー困るう〜
支払い上限制度とリスク・恩恵 - バイオシミラーが活況になる? それはインド。ナマステ。
競争・代替薬の可能性 - 企業の価格戦略の見直し。とはいえ、薬は高い。
利益・収益構造と研究投資への影響 - 適応戦略:リストラ? いやーん。
製薬会社が取りうる対応シナリオ - 日本への影響?
日本制度との対比/波及シナリオ - まとめ:総合的に、影響は限定的? 知らんけど
コロラド州で高価格バイオ薬に支払い上限
ロッキーズもびっくり。ロッキー山脈が動くか?
2025年10月、アメリカ・コロラド州の Prescription Drug Affordability Board(PDAB) が、画期的な一歩を踏み出しました。州が保険会社や州機関に対して、ある処方薬に「支払上限(Upper Payment Limit, UPL)」を設けよう、という決議を採ったのです。対象は、関節炎や自己免疫疾患に使われる高価格バイオ医薬品 Enbrel(エンブレル、一般名:エタネルセプト)。Spokesman-Review+2AARP States+2
具体的には、1単位(50mg)あたり最大 600ドル を上限とし、それ以上は“保険者が支払えない”という枠を設けよう、という案です。これを1年換算すると、年間で約 31,200ドルあたりが上限となる試算。対して、従来コロラド州の保険プランでは、2023年時点で平均約 53,000ドル/年が Enbrel に使われていたとの報告もあります。Spokesman-Review+1
要するに、「これ以上は払えないラインを州が決めるよ」という大胆な動き。
エンブレルのアムジェンが訴訟を起こす!?
穏やかじゃないね〜
当然この決定に異を唱えるのが、製薬大手 Amgen(アムジェン)。2024年3月、同社はこの PDAB の価格制限案を巡って、連邦裁判所に訴訟を起こしました。The Colorado Sun+2ArentFox Schiff+2
訴状の主張はおおよそ以下のようなものです:
- 州の UP L 制度は、連邦の特許法制度と矛盾する(独占権の侵害)
- その制度があまりにあいまいで、手続き保障(due process)を欠く
- 州が州外取引・製薬会社の活動を規制しようとしている(Commerce Clause の問題)
しかし、2025年3月28日、連邦地裁はこの訴えを却下。裁判所は、アムジェンが “利益を直接損なわれるという具体的・差し迫った被害” を証明できていない、すなわち「訴える資格(standing)」を満たしていないと判断しました。Manatt+3Justia Law+3ArentFox Schiff+3
裁判所の判断要点としては、「PDAB の UPL 制度はあくまで downstream(薬局・保険支払側)に適用されるものであり、製薬メーカーの価格そのものを直接制限するわけではない」点が挙げられています。ArentFox Schiff+1
また、「将来的な損害が仮定的すぎて、具体性に乏しい」とも。ArentFox Schiff+1
アムジェンは現在、この判決を不服として 控訴 を検討していると報じられています。ArentFox Schiff+1
改めて、この薬「エンブレル(Enbrel)」って何?
さて、話を戻して Enbrel についておさらいを。
- 一般名:エタネルセプト (etanercept)
- 適応疾患:関節リウマチ、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、若年性関節炎、慢性乾癬性疾患など
- 作用機序:TNF(腫瘍壊死因子)をブロックし、炎症を抑える
- 特許・バイオシミラー:アムジェンは過去に、この薬の特許権を保護する訴訟で勝訴した実績があり、バイオシミラー参入を抑制してきた歴史があります。Amgen+2The Colorado Sun+2
この薬は生物製剤なので、生産コストも高く、さらに開発・品質管理・施設投資など固定コストがかかるため、どうしても単価が高くなりやすい面があります。
患者負担が増えるの?
えー困るう〜
この制度(支払上限 UPL)には、患者にとっての「恩恵」と「リスク」の両面があります。
期待されるメリット
- 保険者支払いの上限設定が厳格になるなら、薬剤支出全体を抑える可能性
- 州が「支払限界」を決めるから、薬価・交渉力を持たせようという牽制力になる可能性
懸念/リスク
- 上限を超えた分は保険者・保険プランが負担せず、患者の自己負担を引き上げられる可能性
- 保険会社がこの上限制度を理由に、補償対象を縮小したり、薬の処方制限(ステップセラピーなど)を強化する可能性
- 場合によっては、メーカーや流通業者がコロラド州市場から撤退、あるいは提供量を絞るというアクセス制限リスクもありうる
たとえば、コロラド州 PDAB の報告によると、2022年時点で Enbrel を使用していた約 3,406人の州民が平均年間自己負担額 $2,295 を支払っていたというデータも報じられています。AARP States
だからこそ、「保険支払額を抑えたい」という政策的狙いと、「患者の窮状を悪化させては本末転倒」という懸念がせめぎ合っています。
バイオシミラーが活況になる?
それはインドの会社の出番か? ナマステ。
このような価格規制圧が強まれば、理論的には バイオシミラー(生物製剤の代替品) の参入が促されて競争が生まれる期待があります。
ただし現実は一筋縄ではいきません:
- アメリカでは、生物製剤参入には規制・特許・承認プロセスが厳しく、参入障壁が高い
- アムジェンを相手取った訴訟とは別に、競合他社(例:Sandoz)がアンチトラスト訴訟を起こす動きもあります。最近、Sandoz はアムジェンに対し、「特許戦略を使ってバイオシミラー市場参入を妨害してきた」として反トラスト訴訟を提起しました。Reuters
- また、製造設備・品質管理・認可取得コストが極めて高いため、価格規制が厳しい市場では参入コストに見合わないと判断されるケースも出てくるかもしれません
つまり、「規制圧 → バイオシミラー促進」という構図は理論上は成り立つものの、実際には制度設計・規制インセンティブ・特許戦略など複雑に絡みます。
企業の価格戦略の見直し。とはいえ、薬は高い。ということは、開発への投資が減る?
価格抑制圧が強まれば、製薬企業が収益性を確保するために価格戦略の見直しを迫られる可能性は高いです。以下は考えられる方向性:
- 州ごとの価格差政策を強化:規制の弱い州・国で高価格維持、規制強化地域では値下げ
- 割引交渉・リベート制度を駆使して実質価格を調整
- 高価格薬剤よりも、低価格・大量用途薬、一般薬・汎用薬・ジェネリックに重心をシフト
- コストリストラクチャリング、業務効率化、R&D投資抑制など
しかし、薬がそもそも高価である理由(研究開発コスト、失敗リスク、品質管理・安全性要件の厳格さなど)は変わりません。したがって、「価格を抑える → 利益圧迫 → 研究開発投資を削る」という懸念は十分に現実味を帯びます。
ただし、企業側も適応能力があるため、「利益ゼロ水準にまで圧迫される」ほど急激に投資が縮小するかどうかは、規制の強さと持続性、代替収益源の有無によるでしょう。
適応戦略:リストラ? いやーん。
企業がこのような価格圧力に対抗/適応する方法をいくつか挙げておきます:
- 事業再編・リストラ:部門の統合、非収益性事業の縮小
- 提携・共同開発モデル強化:リスク分担型モデル、アライアンス戦略
- 技術革新シフト:AI やバイオ技術プラットフォームへの投資、低コスト創薬手法
- 市場戦略の見直し:高規制国より低規制国でのビジネス拡大
- 特許ポートフォリオ強化:特許延長、特許網(patent thicket)戦略など
ただし、こうした適応にはコストと時間がかかるので、すぐには効果が出にくいリスクもあります。
日本への影響?
のんびりしてると、やばいからな。
この米国の動きがそのまま日本に飛び火する可能性は低いですが、「刺激材料」として政策議論を変える余地はあります。特に以下点が注目されるでしょう:
- 日本の薬価制度・再算定制度へのプレッシャー
- 国際価格参照制度(リファレンスプライシング制度など)導入議論への影響
- 日本企業のグローバル収益構造に対する圧力(米国市場での収益減 → 他国価格戦略見直し)
- 日本の高額医療費制度・保険制度との整合性議論:高額薬剤負担を国がどう支えるか、新たな制度設計議論の火種
- 外国人・外国企業の医療給付・規制適用の扱いを巡る国内論争が過熱する可能性
例えば、「外国人に税金使っている場合ではない」という感情的主張も出てくる可能性がありますが、制度公平性・国際人権的視点・国際的な医療保障政策との折り合いをどうつけるか、議論が分かれるでしょう。
まとめ:総合的に、影響は限定的?
知らんけど
- コロラド州の支払上限制度は、米国での処方薬コスト抑制政策の先駆的試みとして注目される。
- ただし、制度設計・法的ハードル・企業の適応力など多数の制約があるため、即座に大変革になる可能性は低そう。
- 患者・保険者・製薬企業の間で “負担のシフト” が起きうるため、制度をどう設計するかが成否を分ける。
- 日本への直接波及は限定的だが、政策議論材料としては十分インパクトがありうる。
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| ソース | 内容 | 引用例として使える箇所 |
|---|---|---|
| Colorado Prescription Drug Affordability Board Releases … | 州の PDAB が Enbrel のコストデータ公開・支払上限のルールメイキング開始を発表する記事 | PDAB のルール策定開始を示す動きとして引用可 (Centennial State Prosperity) |
| Colorado sets first-in-the-nation price ceiling on a … | コロラド州が Enbrel に対して支払い上限($600/50mg)を設定する報道 | 上限額&平均支払い額などを示すデータ引用に有用 (Spokesman-Review) |
| Amgen sues Colorado prescription drug board over Enbrel … | アムジェンが PDAB を訴えたという報道 | 訴訟の主張・背景引用に可 (The Colorado Sun) |
| District Court Dismisses Manufacturer Lawsuit … | 連邦地裁がアムジェン訴訟を棄却した判断理由を解説 | 裁判所判断・法的ハードルの説明に引用可 (ArentFox Schiff) |
| Colorado board makes first-in-nation move by setting a payment limit … | 新聞報道 + 解説。STAT ですが背景情報として補助的に使える | 制度の説明や議論を裏付ける補助引用に可 (STAT) |
| Amgen Inc. v. Colorado Prescription Drug Affordability Review Board | 判例文書(Justia で公開) | 訴訟の法的文脈・判決文(棄却の正式根拠)引用可 (Justia Law) |
| Appeals Court Affirms Validity Of Enbrel® (etanercept) Patents … | アムジェン公式プレスリリース(過去)でエンブレル特許が有効と認められた旨 | 特許権力・競合薬抑制力を論じる際の背景引用に可 (Amgen) |


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