💊 製薬の黒子が主役に?

皆さまいかがお過ごしですか。さて今日の月曜日、総裁選後の株価が気になっている方も多いですよね。そして円がまた復活するか、注目している方も多いのかと思います。皆さま、良い1週間をお過ごしくださいませ。

さて、まあ、最近どこの会社も“全部自前でやる”時代じゃなくなりましたね。
人手不足も相まって、採用や広報、果ては経営企画まで、外部のプロに委託する流れが進んでいます。製薬会社ももちろん、SMO、CRO、CSO、RPO、などなど、一大アウトソーシング業界です。
でも、アウトソーシングって単なるコスト削減ではなく、“時間を生む仕組み”でもあるんですよね。

で、今回は、CDMOの話題です。CDMOって何だろう。

製薬業界はいま、「自前主義」から「協働主義」へと静かにシフトしています。
その波の中心にいるのが、CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)
もはや“黒子”ではなく、“主役”に近づいている存在です。


🧩 CDMOとは何か?

CDMOとは、製薬会社やバイオ企業から開発・製造を受託する企業のこと。
かつてのCMO(Contract Manufacturing Organization)は「製造専門」でしたが、
CDMOは研究開発からスケールアップ、商用生産までを一気通貫で担います。

創薬ベンチャーが自社工場を持たず、
CDMOに開発・製造を委託するケースが急増している今、
製薬産業の構造そのものが変わりつつあります。


🌏 アジアのCDMOトップ5

企業名本拠地特徴・強み
WuXi Biologics中国世界最大級。抗体・ADCなど幅広い技術。米欧進出を加速。
Samsung Biologics韓国巨大プラントを保有。世界大手との契約多数。
Lotte Biologics韓国新興勢力。BMS工場を買収しADC領域へ。
AGC Biologics日本再生医療・細胞治療にも対応。欧米展開を拡大中。
Adimmune台湾ワクチン専門。EU・FDA認証を取得済み。

特に韓国と中国の勢いは圧倒的。
スピード・コスト・技術力の3点で欧米を脅かす存在になっています。

AGCって、旭硝子ですかね。米国に本社があるんですかね。

何だかすごいですね。知らなかったです。


📈 なぜCDMOが伸びるのか?

  1. 開発コストの高騰
     → 製薬会社はリスク分散のため外部委託を拡大。
  2. 技術の複雑化
     → バイオ薬・細胞治療は特殊ノウハウが必要。
  3. スピード重視の時代
     → “開発→生産”のシームレス連携が重要に。
  4. スタートアップの台頭
     → 設備を持たない企業が増え、外部委託が前提に。

この結果、CDMO市場は年率約10%で拡大し、
2023年には世界で約200億ドル規模に到達しました。


⚙️ 製薬のアウトソーシング実態

いまや「製造は自社の命」という考えは過去のもの。
多くの大手製薬会社が、治験薬から商用製造までを外部化しています。

  • ロシュ → Lonzaと抗体製造を提携
  • ファイザー → Samsung BiologicsとmRNA契約
  • 武田薬品 → AGC Biologicsなど国内外のCDMOを活用

製薬会社は「開発戦略と知財」に集中し、
生産は「信頼できるパートナー」に任せる構造へ移行中です。


🇯🇵 日本は遅れていないか?

日本にも有力企業はありますが、グローバル市場ではまだ存在感が小さい。
その理由は以下のとおり。

  • 規制・承認プロセスの遅さ
  • 海外ネットワークの弱さ
  • 投資に対する慎重な文化

ただし、細胞治療・再生医療分野では日本がリードする可能性があります。
ここに突破口があるかもしれません。


🚀 日本企業が取るべき3つの戦略

① 技術で尖る

品質や製剤安定性、充填技術など、
「ここだけは負けない」領域で勝負する。

② スタートアップとの共創

AI創薬や大学発バイオベンチャーの“製造パートナー”になることで、
新しいバリューチェーンの中心に立てる。

③ グローバル連携を恐れない

M&Aや提携を通じて海外拠点を拡大し、
スピードとスケールで世界市場に食い込む。


🔮 今後の展望

今後のCDMOは「開発+AI+製造+規制対応」を統合する時代へ。
アジア勢が勢いを増す中で、日本も“品質と信頼”という強みを活かせば
再び主役に返り咲くチャンスがあります。

製薬の地図は今まさに描き変わる最中。
静かな再編の波の中で、次の勝者は誰になるのか——。