皆さまいかがお過ごしですか。そろそろクリスマス、年末年始の予定を立てようかなと思っている今日この頃です。それも良いですけど、1月から転職したい方、ラストスパートです。ご連絡お待ちしております。
さてまあ、今年はなんと言ってもGLP1が話題になりましたが、そろそろその次の世代がスタンバイしていますよ。で、その世代のスタートアップが、なんとなんと、破格の値段でビッグネームに買われそうになっている。それだけではありません、なんと、ビッグネーム2社の争奪戦になっているんですよ。
ノボとファイザー、痩せ薬をめぐる静かな攻防
〜50人のスタートアップ「Metsera」が起こした波紋〜
2025年10月、ファイザーが買収に合意した直後、ノボノルディスクが新たに入札を持ちかけた──。
そんなニュースが化学業界誌「Chemical & Engineering News」を賑わせました。
話題の中心にいるのは、わずか50名ほどの小さなバイオテック企業「Metsera(メトセラ)」です。
何が起こったのか、整理します。
🧩 何が起きたのか
2025年10月、世界の製薬業界がざわつきました。なんか、ざわめきが聞こえてくる感じがします。
ノボノルディスクが、たった50人ほどの小さなバイオベンチャー「Metsera」を約150億ドル(=約2兆3,000億円)で買収する提案を出したのです。凄すぎる。
しかも、ファイザーがすでに合意間近だったところへ横取りのように割り込んで。
GLP-1製剤のブームを作ったノボが、いま再び「次の覇権」を狙って動いたのです。
一方、リリーに出遅れ、GLP-1では勝負にならなかったファイザーも必死。
つまりこれは──
**「肥満治療薬バトルの第二幕」**
の幕開けなのです!!
Metseraとはどんな会社か
Metsera: Revolutionizing Obesity Treatment
私たちの目的 肥満による身体的、精神的、経済的負担を軽減すること
私たちのビジョン 信頼性が高く、便利で、手頃な価格の医薬品が、現代の主要な健康負担の 1 つである需要を満たす規模に拡大できること、そして健康的で持続可能な減量と維持が力強い経験になり得ることです。
Metseraは、アメリカ・ボストンを拠点とする創薬ベンチャーで、肥満治療薬(いわゆる“痩せ薬”)の次世代候補を開発しています。
GLP-1アゴニストの後継として注目される新しいホルモン経路をターゲットにしており、
動物試験では既存薬を上回る体重減少効果が報告されています。
最近、シリコンバレーとか西海岸に負けているボストンのバイオベンチャー界隈において、久々のヒットじゃ、ありませんか。
社員はわずか約50人。
それでも、彼らが築いたデータと技術力は、
リリーとノボの2強が火花を散らす「肥満治療薬市場」に新たな風を吹き込もうとしています。
MET-097i
Fully-biased, ultra-long acting GLP-1 RAMET-233i / MET-233i + MET-097i
Ultra-long acting amylin analogMET-224o / MET-097o
Fully-biased, ultra-long acting oral GLP-1 RA peptidesMET-097iと併用することで減量と代謝効果を高めるように設計された強力な注射用アミリン類似体
MET-233iは、超長時間作用型の皮下注射用アミリン類似体であり、月1回投与を念頭に開発を進めています。MET-233iは、溶解度パラメータと半減期を合わせたMET-097iとの溶液中での併用および共製剤化を目的に開発中の複数の次世代NuSH類似体ペプチドの最初のものです。また、MET-233iとその他の次世代NuSH類似体ペプチドは、当社のHALO ™脂質化プラットフォームを用いて設計されています。MET-233iとMET-097iの併用は、FDAの生物学的製剤開発パスウェイに基づいて開発し、BLAに基づき米国での薬事承認取得を目指します。
買収額は数十億ドル規模
報道によると、ファイザーが最初に数十億ドル規模の買収で合意に近づいていたところ、
ノボが割り込む形で入札を行ったとされています。
つまり、「買収合意後に横取りを狙う」という極めて珍しい展開です。
ノボにとっても、GLP-1の次を見据えた一手であり、この分野で出遅れているファイザーにとっては、失地回復のチャンスでもあります。
そして、複雑な三角関係に
色々な複雑な話を総合すると、最初にファイザーがメッツェラ(メトセラとも。発音の問題)に買収を提案しました。
両者は、合意したように見えました。
ところが、そこに横から入ってきたのがノボノルディスクで、なんと、ファイザーよりも金額を釣り上げて、メッツェラを買収しようと持ちかけました。
それに怒ったのは、ファイザーで、なんと訴訟に持ち込みました。
メッツェラは法的には別に違反をしていないと主張しています。メッツェラは、もちろん、より高い金額を提示しているノボノルディスクの買収提案を受け入れようとしているのです。しかしそれもまあ、破格ですよね。
ファイザーより多い金額で買収劇を後からかけるノボノルディスク。ノボ財団出ちゃうよ〜。
一度合意したのに、え、高い方が良いよ!となるMetsera。。。ファイザーが怒る💢の当たり前よ〜。
ファイザーも、ノボも必死になるのはわかります。次のステージでは主役に立ちたいでしょうから。。。。
50人の静かな勝者たち
Metseraの社員数はわずか50名程度。
その彼らが、数千億円規模の取引をめぐって
世界最大手2社を争わせている──まさに現代バイオ業界の象徴的な出来事です。
ソフトウェア業界ではスタートアップの「Exit(買収による成功)」はよくある話ですが、
創薬の世界でも、この肥満治療薬のようにスピード感のあるExitが現実になりつつあります。
ここにいる人たち。みんな、Exitできます。
https://metsera.com/about/#leadership

Obesityの領域で、
リリーと壮絶なバトルをするも、勝てそうもないノボノルディスク。。。当然、起死回生を狙うノボノルディスク。
そのトレンドの土俵にも上がっていなかったファイザー。なんとか、次の戦いの場には参戦したいファイザー。
これは、ノボとファイザーの壮絶なバトルの幕開けになるのでしょうか。
そして、涼しい顔で構える、新進気鋭のベンチャー、社員50人のメッツェラなのです。
なんか、すごいですよね。もう、金額がすごいです。研究者だったら、今このトレンド、肥満の薬を開発して、成功すれば、Exitですね。
であれば、日本人の研究者にも、チャンスはあるのではないでしょうか。
日本の研究者にもチャンスはある?
ところが、まあ、日本では、創薬研究者が大学や企業にとどまり、
「研究を続ける」こと自体が目的になってしまうことが多いように感じます。
なんか、所属企業や所属機関で、職務を全うするみたいな。なんか、日本のR&Dって、そういうステレオタイプじゃありません?
もちろんそれも尊いことですが、Metseraのようにリスクを取って、
小さなチームで新しい挑戦をするという選択肢ももっと増えてほしいなと思います。
肥満治療薬の次のステージでは、
もしかしたら、次の「Metsera」が日本から生まれるかもしれません。


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