希少疾患市場の新たな展開:BioMarinとAmicusの統合

BioMarinによるAmicus買収

― レア疾患領域で何が起き、何が変わるのか ―

皆様いかがお過ごしですか。

もう本当に冬休みに入りますよね。それにしても、前回も書きましたが製薬業界は本当に休みの取りやすい、あらゆる業界の中でもかなりレア業界ですよね。

でも、レアなステイタスで居続けるには、メンタルが大事ですね。レアだけど、これで良いのだ!みたいな。なんかちょっとでもネガティブなヌースがあれば「えー、やばいよやばいよ」とかなりがちですし、なんか1人でも変な人がいれば、会社の雰囲気全体に関わることになりかねません。そんなことがあったとしても、これで良いのだ!みたいな、バカボンのパパみたいな自信がなければ、持続可能できないですよね。

そんな中で、レアとレアの吸収合併がありました。レアとレアがくっつけば、色々なレアの医薬品を一社で扱うことになって、これはまたすごいことになりそうですよね。元々少ない人数の会社同士が合わされば、人が増えて、なんか、安心感が生まれるかもしれないですね。

で、まあ、その吸収というか、買収ですが、下記の通りです。

Who(誰が)

買収するのは、米国の希少疾患領域に特化したバイオテック企業 BioMarin Pharmaceuticalです。

買収されるのは、同じく希少疾患、とくに ファブリー病・ポンぺ病 を主戦場とする Amicus Therapeutics です。

両社とも「患者数は少ないが、治療ニーズが高い遺伝性疾患」を中核に事業を展開してきた点で共通していますよね。

What(何が起きたのか)

BioMarin は 約48億ドル(約7,000億円規模)で Amicus Therapeutics を買収することで合意 しました。

Amicus株主には 1株あたり14.50ドルの現金 が支払われる条件で、直前株価に対して約30%超のプレミアムが付いているとのことです。

この取引により、AmicusはBioMarinの完全子会社となる予定なのです。

When(いつ)

買収合意は 2025年12月 に公表されました。

規制当局の承認や株主承認を経て、2026年第2四半期の完了 が想定されているとのことです。

Where(どこで)

米国企業同士のM&A ですが、影響は米国市場にとどまらないですよね。

両社の製品はすでに 欧州・日本を含むグローバル市場 で展開、または展開準備が進んでおり、日本の希少疾患医療にも間接的というか、結構リアルに影響が及ぶことになるのかなと、思うのです。

Why(なぜ今なのか)

最大の理由は 「即戦力となる収益源の獲得」 ということになります。

BioMarin は強力な既存製品群を持つ一方、

  • 遺伝子治療(Roctavian)への評価の揺れ
  • 次の成長ドライバーへの市場の厳しい目

といった課題も抱えていたらしいです。

そこに Amicus の

  • Galafold(ファブリー病)
  • Pombiliti+Opfolda(ポンぺ病)

という すでに売上を生んでいる製品 が加わることで、

「開発リスクを抑えながら成長を積み上げる」戦略が明確になります。

一方 Amicus 側にとっても、

  • 開発・販売体制のスケール
  • 財務的な安定性

を考えると、BioMarin傘下に入ることは自然な選択だったと言えるみたいです。

How(どう変わるのか)

■ パイプラインの補完関係

BioMarin

酵素補充療法(ERT)、遺伝子治療、希少小児疾患に強み

Amicus

低分子治療(シャペロン療法)+次世代ERTの組み合わせ

作用機序・疾患領域が大きく重ならず、きれいに補完関係 にある点がこのM&Aの完成度を高めています。

■ 日本市場への影響

日本においては、以下の点が注目されます。

  • ファブリー病・ポンぺ病治療の選択肢拡充と安定供給
  • BioMarinの日本での経験・組織力を活かした
  • 承認申請・市販後対応の加速
  • レア疾患領域におけるMSL・メディカル・営業体制の再編や強化

直接的な人員増減は現時点では不透明ですが、希少疾患に強い人材の価値はむしろ高まる 可能性があるとの期待が高まっております。

ーーー

今回のBioMarinによるAmicus買収は、単なる規模拡大ではなく 「希少疾患にさらに深く賭ける」という意思表示 と言える見たいです。

オンコロジーや免疫が注目を集め続ける一方で、希少疾患は「確実に売れ、長く続く」市場 であることを、改めて業界に示したM&Aです。

日本市場においても、この統合が 治療アクセス・人材動向・事業戦略 にどのような変化をもたらすのか、今後皆さまが注目するところですよね。

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