皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
先日、第一三共が人員削減を発表し、少し話題になっていますね。
製薬業界に長くいる人からすれば、「まあ、またか」という話ではあるのですが、今回は少し注目を集めている理由もあるようです。
理由のひとつは、
「あの第一三共が?」
という点でしょう。
もちろん、昔々、第一製薬と三共製薬が合併した際にもリストラはありました。
ですので、業界的には前例がない話ではありません。ただ、それでもやはり、安定・優良企業の代名詞のような会社だけに、一定のインパクトはあります。
もうひとつ、違和感を覚えた方が多いのが、今回打ち出された
「ネクストキャリア支援策」
という表現ではないでしょうか。
正直なところ、
「早期退職制度を導入します」
「人員削減を行います」
で済む話ではないのか、と感じてしまいます。
もちろん、従業員や社外に対して、できるだけマイルドに伝えたい、という意図は理解できます。
ただ、これまでにも「フューチャープログラム」だの、よく分からない名称の施策がいくつもありましたよね。
個人的には
「ポジションクローズ」
が一番しっくりきます。
余計な装飾がなく、分かりやすい。
で、何に違和感があるのかというと、
会社が、当該従業員の「ために」、
何かを「してあげている」
というストーリーです。
このニュアンス、伝わりますでしょうか。
もし本当に、企業理念として、純粋にそう考えているのであれば、それはそれで良いと思います。
ただ、ここで一度、知っておいた方がいい話があります。
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企業の「再就職支援義務」の根拠条文
✅ 労働施策総合推進法 第24条
(通称:労推法)
事業主は、
事業規模の縮小その他の事由により
相当数の労働者の離職が見込まれる場合には、
再就職援助計画を作成しなければならない。
👉 ポイントは
「しなければならない」
つまり、これは
完全に「義務」 です。
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「あれ?」と思った方もいるかもしれません。
そう、これは
会社側が法令を満たすために必要なアクション
????
違っていたら、すみません。ご指摘いただければ、書き直します。
さらに、
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🔹 第25条(提出・認定)
再就職援助計画は、
ハローワーク(公共職業安定所)の認定が必要。
👉 「やってます感」だけではNG
🔹 第26条(変更・報告)
計画の変更や必要事項については報告義務あり。
👉 作って終わり、もダメ
⭐︎ 重要ポイント
支援を「受ける義務」は一切ない
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ここが、一番の勘違いポイントです。
法律が義務づけているのは
👉 会社が「計画を作ること」
労働者が
👉 それを使う義務はない
完全に、任意参加です。
実務上、この再就職支援はどうなるかというと、
ほぼ例外なく 外部業者への依頼です。
いわゆる「アウトプレースメント」と呼ばれるビジネスで、
日本では、パソナ、リクルート、アデコ、マンパワーなどが代表的なプレイヤーです。
この業界は、グローバルでは結構歴史があって、チャレンジャーグレークリスマスとかありましたよね。ていうか、今でもあります。CNNとかでいつも雇用統計のコメントとか求められたりしていますよね。
会社は、業者に依頼する相場ですが、対象社員1人あたり数十万円の費用を支払い、
再就職支援会社と契約します。
誤解のないように言うと、
これらの業者さんは、基本的に真面目で、対応も丁寧です。僕も、この業界のコンサルタントの方にお会いしたことあります。
ただ、支援の中身は、
- 履歴書・職務経歴書の書き方
- 面談(マインドセット中心)
- eラーニング
- 求人情報の共有
といった、かなり「一般的」なものが中心です。
第一三共や武田のような大企業に長年勤め、
「転職を考えたことがほぼない」方にとっては、
精神的なショックが大きいのも事実でしょう。
一方で、
エージェントと話した経験がある人、
転職市場をある程度理解している人にとっては、
「別に今さら聞かなくても…」という内容でもあります。
ここで、もう一度大事な点を。
この支援策は、
❌「会社が用意したから従わなければならない」
⭕「使ってもいいし、使わなくてもいい」
完全に任意 です。
それでも多くのJTC社員は、
- 会社が用意した「正規ルート」
- 外れると角が立ちそう
- 自分で考えるのが面倒
という理由で、
何も考えずに、そのレールに乗ります。
悪いことではありません。
ただ、選択肢があることに気づかないまま乗っている
ケースが多いのも事実です。
企業の「善意ストーリー」が成立する理由
ここが、構造的に一番モヤっとするところです。
会社の本音は、おそらくこうでしょう。
社員の人生を本気で考えている?????
法令違反を避けたい
行政指導を受けたくない
メディアに叩かれたくない
しかし対外的には、
- 「社員のキャリアを尊重」
- 「円満な転身支援」
- 「人を大切にする経営」
というストーリーが語られます。
👉 実態は
法対応を、うまくPRに変換しているだけ????
いやいやいや、手が滑った。
丸投げ構造が合法な理由(そして業者が儲かる理由)
法律は、こうは書いていません。
❌ 会社自らがハンズオンで支援しなければならない
つまり、
- 外部委託:OK
- 再就職支援会社:OK
- 面談・eラーニング中心:OK
結果として、こうなります。
| プレイヤー | 実態 |
|---|---|
| 会社 | 法を満たして「やった感」 |
| 社員 | 選択権があることに気づかない |
| 世間 | 「良い会社だね〜」 |
| 支援業者 | ほぼノーリスクで請求書発行 |
再就職支援を使うかどうかは、
本人が決めていい。
ただ、それを
「会社の決めた流れだから」
と無自覚に受け入れる必要は、どこにもありません。
考えなくても生きていける時代は、
もうとっくに終わっているのだと思います。
ここまで読んでくださった方の中には、
- そもそも、これまで転職なんて考えたことがなかった
- エージェントと話したことはあるけれど、結局転職はしなかった
- 今回の件で、初めて「このままでいいのか」と思い始めた
そんな方も、少なくないのではないでしょうか。
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もしよければ、
一度、私・山崎健一とも話してみませんか。
19年間、製薬業界を中心にエージェントとして仕事をしてきました。
今さら人には聞きにくいこと、
「こんな初歩的な質問していいのかな?」という話も、大歓迎です。
転職を勧めるための相談ではありません。
考える材料を整理するだけでも構いません。
- 相談はこちら
👉 https://kenyamazaki.com/contact/ - プロフィール
👉 https://kenyamazaki.com/aboutken/ - 公式LINEからのご連絡も可能です
会社が用意した「正規ルート」に乗るのも一つ。
でも、それ以外の選択肢を知った上で選ぶ、というのも悪くないと思います。
