ドラッグ・スルー ・・・ラグもロスも超越した

 「日本はもう素通り?」時代に突入した日本の製薬市場と、米国が突きつける残酷な現実

皆様、いかがお過ごしですか。
まあ、米国はコロンバスデイも終わりまして、このあとハロウィン、サンクスギビング、クリスマスと突入するではありませんか。
なんだか、この時期、色々とスローになるんですよね、米国決済が絡む諸々が。まあ、もう、仕事しないで、ボーナスもらって、長い長い年末年始になるわけですよ。

とはいえ、企業としては、日夜、特に最近は、オーファンとか、まだ治療法の無い患者さん向けの薬の開発は、どんどん進んでいきます。当然のことながら、営利企業でもありますし、競争もありますので。

そんな中で、ドラッグラグとか、ドラッグロスとかいうのが、日本ではもう、おそらく10年前くらいから言われていますし、言われてなくても、事実ベースで現象として捉えられているのはもう、20年とか前かもしれない。

まあ、そんな歴史の話は置いておいて、ここ数年また、ドラッグラグ、ドラッグロスが著しくなっている気がします、というか、なってます。

で、ちょっと、色々と見ていると、「これって、もう、ラグとかロスじゃなくない?」みたいなのがあったりします。

じゃあ、なんなのか。

ドラッグスルー

とでも、言いましょうか。
そうです、もう、ラグでもロスでもなければ、スルーなんですよ。
ラグとか、ロスって、不可抗力じゃないですか?

じゃなくて、もう、最初から、想定に入ってないんですよ。

日本の存在が、鼻っから無かったことになっている、みたいな。鼻っからです。

ハナ肇もびっくり

ハナ・マンドリコワもびっくりです。

ハナ・マンドリコワ

なぜスルーされる?「毎年の薬価引き下げ」という巨大な壁

なぜ米国企業が日本を素通りするのか。一番の理由は、日本独特の「毎年の薬価改定」というシステムです。 米国のバイオベンチャーや投資家からすれば、巨額の資金と何年もかけて開発した大切な新薬なわけですよ。

それなのに「日本に入った瞬間から毎年勝手に価格を下げられる」となれば、ビジネスとして怖くて入れませんよね。 今や世界の新薬の半数以上は資金力に限りがあるバイオベンチャーが作っています。 彼らにとって、投資回収のリスクが高すぎる国を最初から排除するのは、ごく当然の合理的な判断なんです。 こうして日本の薬価制度自体が、皮肉にも最強の「参入障壁」になってしまっているのが現実です。

「日本は世界第3位の大市場」という盛大な勘違い

「でもなんだかんだ日本は世界第3位の医薬品市場だし、見捨てられるわけないでしょ」と思っていませんか? 実はマッキンゼーなどのレポートを見ると、かつて世界の25%以上を占めていた日本のシェアは、今やわずか4%台まで激減しています。 米国側のレポートを読むと、日本の市場性に対する評価は驚くほど冷ややかで、優先度は「最低ランク」近く。 「世界から愛される大市場」だと思い込んでいるのは、ハッキリ言って日本人だけなのかもしれません。 この圧倒的な「温度差」に気づかないフリをしている間に、海外の最新医療とのギャップはどんどん広がるばかりです。

私たちが思っている以上に、グローバル資本にとっての「日本市場の存在感」は小さくなっています。

日本政府の「足掻き」は米国に届いているのか?

もちろん厚生労働省やPMDAも手をこまねいているわけではなく、危機感を強めて対策に乗り出しています。 早期に承認されれば薬価を上乗せする「迅速導入加算」や、国際治験に参加しやすくする規制緩和などを打ち出しました。 でも、一度冷めてしまった米国バイオテックや投資家の熱視線を、これで本当に取り戻せるのでしょうか。

米国の業界メディアなどをチェックしていても、「方向性は評価するけれど、まだ不十分だ」という懐疑的なトーンが目立ちます。 制度を少しイジった程度では、長年積み重なった「日本スルー」の強烈な流れを止めるのは相当ハードルが高そうです。 政府の必死の足掻きも、米国企業の冷ややかな計算の前には、どこか空回りしているように見えてしまいます。

本国(米国)の薬価抑制で「スルー」がさらに加速する

さらに拍車をかけているのが、米国本国での政策変化(インフレ削減法:IRAなど)による締め付けです。 一番の稼ぎ頭である米国市場でも薬価抑制の圧力が強まったことで、製薬企業はグローバル戦略の抜本的な見直しを迫られています。 本国で利益が出にくくなった以上、海外展開では「より確実に、より高く売れる市場」へ集中せざるを得ません。 そうなると、真っ先に切り捨てられるのはどこでしょうか?そう、「薬価が低く、毎年下がる国」です。

米国企業としても背に腹は代えられないため、採算の合わない市場を容赦なく「戦略的スルー」するスピードは早まっています。 外堀が埋まっていく中で、日本の「ドラッグ・スルー」は今後さらに深刻化していくのは間違いありません。

唯一スルーされない「日本の勝ち筋」とは?

ただ、すべての日本企業や市場が完全に見捨てられたわけではないので、そこは安心してください。 米国のアナリストたちが今でも熱い視線を送っている「日本の尖った強み」が、実はピンポイントで存在します。 それが、第一三共などに代表される「ADC(抗体薬物複合体)」や、バイオ創薬、さらにはAI・DXを活用した「Pharma 5.0」の領域です。

米国企業も、世界最高峰の独自技術や製造プラットフォームを持つ日本のプレイヤーとは、喉から手が出るほど組みたいと考えています。 要するに、「ただの売り先としての日本」はスルーされても、「イノベーションのパートナーとしての日本」には勝ち目があるということです。 これからの時代、この尖った領域に絡める企業や人材だけが、グローバルな生き残りルートを掴めるのだと思います。

ドラッグ・スルー時代をどう生き抜くか?

「ドラッグ・スルー」という言葉、ちょっと冗談めかして言いましたが、その裏にある構造変化は本物です。 国や制度が守ってくれた時代は終わり、グローバルな市場原理の中で「選ばれない国」になりつつあるのが今の日本です。 沈みゆく市場の中で「スルーされる側」として指をくわえて待つのか、それとも勝機のある尖った領域へシフトしていくのか。

これは製薬企業だけでなく、業界で働く私たち一人ひとりのキャリアやビジネスの選択にも突きつけられている問いです。 時代の変化をただ眺めるのではなく、この強烈な波を乗りこなす側に回りたいものですね。

皆さんはこの「ドラッグ・スルー」の現実をどう受け止め、次の一手をどう打ちますか?


※本記事内の「ドラッグ・スルー」は、海外レポートで指摘される「ドラッグ・ロス(開発未着手・見送り)」の構造的背景をもとに、米国スタートアップや投資家視点での「開発ターゲットからの除外傾向」を表現した筆者の分析概念です。

📌 主な参照ソース・参考文献(Data Sources & References)

  • PhRMA(米国研究製薬工業協会)年次調査報告および声明
    • 『日米欧製薬団体 薬価制度・創薬エコシステムに関する共同声明』
    • ※米欧で開発中の後期臨床試験(Phase 3)新薬のうち、約70%が日本で開発未着手であるデータ等を分析参照。
  • McKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)
    • 『Shaping the future of Japan’s pharmaceutical operations』 ほかグローバルヘルスケアレポート
    • ※世界の医薬品市場における日本シェアの変遷(過去の約25%から現在の4%台への縮小トレンド)を参照。
  • Fierce Biotech / BioSpace(米国バイオテック業界紙)
    • 米国新興バイオベンチャー(Emerging Biopharma)におけるグローバルパイプライン戦略および日本市場の優先順位付けに関する分析記事。
  • PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
    • 『PMDA Updates / ドラッグ・ロス解消に向けた国際共同治験・早期相談促進施策』


さてさて、募集です。

① バイオベンチャー、東京勤務!!!!!!!!

オーファン経験のある方、お問い合わせお待ちしております。


② One day 選考会⬇️