Amgenが今後の柱にするオーファンってどんなの?

なんと言ってもホライゾン

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昨年、ホライズン・セラピューティックスの280億ドルの買収で投資家から注目されていたバイオジェンですが、先頃、今後の希少疾病開発に関する方針を明らかにしたようです。ホライゾンと言っても、英語の教科書、ニューホライゾンではないですよ。

元々アムジェンのビジネスの屋台骨は、一般医学、腫瘍学、炎症学、ではありましたが、ホライゾンの買収により、希少疾患が今後、大事大事な4つ目の柱、というか、もう、希少疾病のパイプラインに社運をかけていると言っても良いと思います。そらそうよ(岡田監督)280億ドルですからね。ドルですよ。円じゃなくて。

最近、というか、ここ数年のトレンドの希少疾病。おそらくですけど、あらゆる新薬メーカーのパイプラインで半数以上はもう希少疾病のパイプラインのような気がします。適当ですけど。いつも。

プライマリ時代の遺跡 メバロチン御殿

思えば、かつて製薬業界は患者数の多い高血圧や高脂血症、糖尿病などのメタボ関連プライマリ領域に多大の開発コストをかけていたました。理由は患者数が多いからです。患者数が多ければ、売れるというマーケティングだったのです。まさにSOVですよね。シオ○ギのおじさんが頑張って作り上げたクレストールの牙城を、担当が新人女子に変わったアスト○ゼネカのMRに1日でひっくり返されるような事件が、日本全国津々浦々で勃発していた時代です。

僕の中では、プライマリとは、おネイちゃんMRがひっくり返してしまう薬で、専門領域はそう簡単にひっくり返らないという、definitionが確立しています。

メタボにはガイドラインを作って、当時できたガイドライン、たとえば血圧は上が130くらいですよね。よく言う話ではありますが、1987年には高血圧とは180/100でした。ですので、180までは別に放置でした。この35年くらいの間で、ガイドラインができて、150の血圧の人に薬を出して130に下げようとして、下がらなければ別の薬を併用させたりしたのでした。僕も売ってましたねえ。売れたのです。

プライマリの前置つづく

まあとにかく、バブル期、そしてバブル崩壊後もしばらくプライマリマーケットは続き、三共製薬は本社を建て替え、メバロチン御殿とか言われましたよね。立派な保養所もあったり、まあ、そんな時代でした。MRはコール数全盛期で、また、競合メーカーとの争いも熾烈でした。僕の担当エリアではACE阻害薬の競合2社が女性で、バチバチでしたね。怖いくらいでした。

当時は希少疾病を開発する製薬会社は非常に限られていました。なぜなら、患者が少なければ、儲からないと思っていたからです。なかなか薬の出ない患者さんのために、国や自治体が製薬会社に補助金を払って、希少疾病の薬の開発を促進しようとしていましたが、うまくいきませんでした。なぜなら、プライマリの競争が激しくて、次々と同種の新薬を出そうと、パイプラインも全てARBだのなんだのでしたので、、、。

オーファン元年

オーファンドラッグの開発の転機は、

米国では1983年

日本ではその10年後の1993年

オーファンドラッグの開発促進のための制度が法制化されてからですよね。前述で開発品目の半分くらいの気がすると、適当なことを書きましたが、医薬産業政策研究所によると、

近年、米国(FDA)にてOrphan Drugの指定を受けた品目の承認件数が増加し、2018年承認の新有効成分含有医薬品(New Molecular Entity, NME)の57.6%を占めていた

https://www.jpma.or.jp/opir/news/059/04.html

とのことですので、やはり、米国ではもう60%くらいがオーファンということになりますよね。

ですので、この流れでいけば、当然、アムジェンでもオーファンに力を入れていくというのは、自然の潮流の為せる技と言えるのではないでしょうか。

アムジェンのプロローグ

アムジェンといえば、昔、初めて日本に来た時には、アムジェンジャパンだったのですが、そうこうしているうちに撤退後は武田と組んで、武田バイオだかなんだかいう名前に変貌しました。西海岸のあの自由な雰囲気、アムジェンジャパンの人々も製薬業界においては、なんとなくそんな感じを勝手に受けていましたが、突然の日本の国内老舗の武田とのコラボ。このカルチャーの180度からもう一周回って540度くらい違うカルチャーの融合でした。この融合は、僕の中で、当時Five – Fortyと呼んでいました。まあ、とにかくカルチャーが違いすぎて、うまくいかなかったのではないでしょうか。

で、その後しばらくして、また上陸したなと思ったら、今度はアステラスとのコラボ。なんでかなと思いました。アステラス云々というより、カルチャーが違うと思ったからです。なんだか、あんまりコラボは良くないんじゃない?とか、思っていたら、最近やっとアムジェン株式会社ということで、日本で単体になったのかな、なんて、勝手に思っています。全て想像ですけど。

さて、その、オーファンドラッグ、レアディジーズに舵を切ったアムジェンですけど、それは前述の通りでホライゾンからのパイプラインに頼っているということです。どんな薬なのでしょうか?

マード・ゴードン(https://www.amgen.com/about/leadership/senior-management/murdo-gordon)さんがいうには、今後のアムジェンは希少疾病で売上を伸ばしていくということです。

◆Tepezza® (テプロツムマブ) 甲状腺眼疾患の改善ですよね。これは日本とヨーロッパでかなり注力するらしいです。ホライゾンのこのTepezzaに関しては、当ブログでも触れていました。
https://kenyamazaki.com/2023/05/21/amgen_ftc/

ホライゾンを巡る数社の競争も書いてありますので、ぜひ。

◆Krystexxa® (ペグロティカーゼ)制御不能な痛風の治療ということですが、子の字面を見ているだけでも痛そうですよね。

以下、アムジェンのウェブサイトの公開情報からレアだけ取り出すと、こんな感じになります。ウェブに詳細も載っていますので、こちらです。

https://www.amgenpipeline.com

◆DAZODALIBEP® シェーグレン症候群
◆UPLIZNA® IgG4-Related Disease、Myasthenia Gravis
◆DAXDILIMAB
◆FIPAXALPARANT
◆AMG 329

アムジェンの第4楽章が今始まる!

アメリカでのオーファンドラッグの承認医薬品での割合は60%くらいとわかりましたが、そのうちに、日本で承認されているのは3割くらいだそうです。ですので、まだまだ市場がある日本ということで、アムジェンは日本、そしてヨーロッパに注力していくとのことです。

アムジェンは、単独で来たのをプロローグとして、第二幕は武田と組んだ黒歴史っぽいの、しばらくいなくなった期間が、まあ、茶入れ期間として、それを経て出てきてアステラスと組んだのが第3幕、そして現在ホライゾンを買収して単独で日本のマーケットに果敢に出てくるこの状況を、かなり成熟した第4幕、第4楽章と、しましょう。勝手ながら。日本市場の第4楽章に期待が高まりますね。

https://www.mmm-online.com/home/channel/amgen-details-rare-disease-ambitions-following-horizon-acquisition/

https://www.thepharmaletter.com/article/amgen-underlines-ambitions-in-rare-diseases

https://www.amgen.com/newsroom/press-releases/2024/02/amgen-to-host-conference-call-on-rare-disease

【お断り】:このブログは筆者が勝手に書いています。サイテーションについてはお示しします。文章は個人の勝手な感想がほとんどです。

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美容外科系MR、7月入社(東京、大阪、名古屋、福岡)
外資系免疫領域 免疫系件不問 

CSO 山形県
大手外資メーカー プライマリー(循環器・糖尿病・腎臓)
・職場見学会無し
・循環器、糖尿病領域経験必須
・49歳位迄が望ましい
・ITリテラシーに問題のない方

漠然とキャリア相談したい方 お気軽に。
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