📣 アンドリュー・ウィティ氏が電撃辞任──アメリカの保健行政、これからどうなる?

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
「天下一品が閉店ラッシュ」と聞けば心がざわつき、「カレー屋さんの倒産が相次ぐ」となれば、もはや気分は冬の木枯らし。いやほんと、ろくなことがない。

飲食店は大変ですね。でも、ふと考えるんです。あの味、アメリカで出したらウケるんじゃないか、と。
だって、アメリカでは寿司職人が年収2000万、ラーメン屋が高級グルメ。夢がありますよね。
でも、そううまくはいかない。言葉、資金、人脈、制度の壁……現実はいつだって、思ってるより高くて分厚い。

寅さんも言ってましたよね。
「そこが渡世人のつれぇところよ……」と。

風の吹くまま、気の向くまま、旅に出てしまう寅さん。
僕もまあ似たようなもので、新卒で入った上場企業を10年で辞めて、気がつけば32歳の夏、保証も保険も何もないままアメリカにいました。

──で、保険ですよ。そう、保険。

アメリカに行ってまず驚いたのが、医療費の高さ。そして「保険がないと生きていけない」っていう空気感。
日本じゃ当たり前にある健康保険。でもアメリカじゃ、それが“民間ビジネス”なんです。

そんなアメリカの保険業界で、ちょっとした事件が起きました。
昨日ご紹介した、元GSKのアンドリュー・ウィティがCEOを務めていたユナイテッドヘルス。その彼が、先月突然辞任したんです。

そのユナイテッドヘルス、略してUHGは、保険会社というより「医療産業の帝国」とでも呼びたくなるような存在です。
グループの一部であるOptumは、診療所の運営、医療データの解析、処方薬の管理などを手がけていて、いまやアメリカの医療のかなりの部分を“民間企業”が回しているとも言える状況。

そんな中での、トップの電撃辞任。まあでも、それも少し前ですけど。しかも時期的に、Optum系列の施設で銃撃事件があった直後ということもあり、「何かあるのでは?」という憶測も飛び交っています(事件そのものにはここでは深く触れませんが…いろいろあるんです、本当に)。

でもここで注目したいのは、「一企業の経営問題」ではなく、
アメリカという国の医療・保険制度そのものが、いま揺れているという点です。


🇺🇸 そもそも、アメリカの保険制度ってどうなってるの?

日本では国民皆保険が当たり前。保険証を出せば、3割負担でどの病院にもかかれます。
でもアメリカは、基本的に**“保険は自分で買うもの”**。

・会社員なら、会社が用意する保険プランに加入(ただしプランはピンキリ)
・フリーランスや自営業者は、自分で高額な保険を選んで契約
・低所得者は公的制度「Medicaid」
・高齢者は「Medicare」

と、ざっくり言うとこんな感じ。問題は、この保険に入っていても「カバーされる治療・薬が限定的」「保険会社の審査が複雑で、支払いが却下されることもある」といった“壁”が多いことです。

さらに、医療費自体がとにかく高い。救急車を呼べば10万円以上、ちょっとした処置で数十万円。保険に入っていなければ、治療費で人生詰みかねません。

だからこそ、**「保険会社の力が強い」=「社会インフラを民間企業が握っている」**という構造が生まれ、ユナイテッドヘルスのような巨大企業が生まれたわけです。


📉 いま、なぜ揺れているのか?

そんな中、アンドリュー・ウィティ氏の辞任が象徴的に映るのは、まさに民間企業による医療支配モデルの限界が見え始めているから。

・デジタル化によって、医療データの囲い込みが進みすぎている
・医療現場の人手不足、ストライキ、過重労働
・セキュリティ問題、銃撃事件など安全面への不安

医療が“人の命を預かる場”から、“利益を最大化するビジネス”に傾きすぎたとき、歪みがあちこちに出てきます。


🧭 これから、どうなる?

バイデン政権下でも医療改革は進んだ?ものの、民間主導の構造そのものを大きく変えるのは簡単ではありません。そしてトランプはいつも何かを壊そうとしています。
今後、テクノロジーの活用(AI診療・遠隔医療)、医療費の透明化、そして保険の公的関与強化がカギになっていくでしょう。

日本に住んでいると、「保険なんて当たり前」って思いがちですが、世界に目を向けると、医療のあり方は本当にさまざまです。そして、その根っこには“誰が健康を守るのか”という問いがある。

民間か、公か。効率か、平等か。利益か、命か。
アメリカの保険制度をめぐるこの問いは、私たちにとっても決して無関係じゃないのかもしれません。


そんな巨大企業のトップが電撃辞任──
事件の詳細については今回は触れませんが、それにしてもアメリカという国は、いろんな意味でスリリングですね。

というわけで、今日はこの機会にアメリカの保険制度について、ちょっと考えてみたいと思います。


🇺🇸アメリカの保険制度って、結局どうなってるの?

なんとなく「アメリカの保険って民間でしょ?」というイメージ、ありますよね。
でも、その“民間”って一体どういうことなのか? 実は、わかっているようでよくわからない。

たとえば日本では、保険証を出せば基本3割負担。
ある程度の収入があれば保険料は天引きされていて、全国どこでも同じ制度の恩恵を受けられます。

一方のアメリカでは、医療費はめちゃくちゃ高い
民間の保険に加入していても、適用範囲が狭かったり、そもそも保険が“通らない”場合すらある。
しかも、雇用主が保険を用意してくれていないと、個人で入る保険はかなり高額になります。


🧓オバマ、バイデン、そして再びトランプ──ちゃぶ台は回り続ける

そんな中、アメリカの保険制度に「公的なセーフティネットを持ち込もう」と登場したのがオバマケア(Affordable Care Act)。
オバマ政権時代、2010年に導入され、低所得層にも医療アクセスを保障する大きな一歩でした。

その後を引き継いだバイデン政権は、さらに「誰もが医療にアクセスできる社会」を目指し、制度の拡充を試みました。
が、ここで再登場したのが、ドナルド・トランプ。2025年、大統領選で返り咲き、ちゃぶ台を再び豪快にひっくり返しにかかっているわけです。

「もっと市場に任せろ」「政府の介入は最小限に!」
この方針のもと、医療制度も再び“ビジネス優先”の方向に逆戻り中。

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🌀じゃあ、今どうなってるの?

つまり今のアメリカは、
民間保険 vs 公的支援
効率 vs 公平
自由競争 vs 社会保障

この2項対立のはざまで、常に制度が揺れている状態です。
ユナイテッドヘルスのような巨大企業が市場を牛耳りながらも、貧困層・無保険層の増加は依然として深刻。

「保険に入っていても安心できない」
そんな国が、今なお世界一の経済大国だというのも、ちょっと皮肉ですよね。


🔍どうなる?アメリカの保険行政

アメリカの医療は、ある意味で国民の価値観の戦場です。
命を“公共”として扱うのか、“個人責任”として突き放すのか。

ちゃぶ台をひっくり返しながら進む医療改革の行方は、
日本を含む他国にも大きな影響を与えます。

次にひっくり返されるのは、ちゃぶ台なのか、それとも医療という名の土台そのものなのか──
引き続き、静かに注目していきたいと思います。

🇯🇵 日本 vs 🇺🇸 アメリカ:保険制度ざっくり比較

項目日本アメリカ
保険の種類国民皆保険(全国民が公的保険に加入)主に民間保険(雇用主経由 or 自分で加入)+一部公的保険(Medicare/Medicaid)
保険料の支払い所得に応じて計算され、給与天引きが基本保険会社によって金額バラバラ。自己負担率も高め
医療費の自己負担原則3割(子ども・高齢者はさらに軽減あり)保険に入っていても自己負担が高い。場合によっては全額自腹も…
無保険者ほぼゼロ(義務化)数千万人(失業・低所得などで未加入の人も)
病院に行くハードル風邪でも「とりあえず病院行こか」な感覚「この症状、5万円払う価値あるか…?」と悩むレベル
保険制度の安定性長年大きな変更はなく、比較的安定政権交代で制度がコロコロ変わる(ちゃぶ台事情)

🥭おまけ:じゃあ、タイはどうなの?

関係ないですけど、実は私の住んでいるタイの医療制度は、ある意味とてもシンプルです。

「払えばOK」
もう、これに尽きます。

お金をかければ、外国人でもキャッシュレス&スムーズに最先端の医療が受けられます。
私立病院はホテルみたいにキレイで、英語も通じる。
でももちろん、その分お金はかかる。

タイ政府の公的医療もありますが、外国人には基本的に適用されません。
なので、「保険に入る」か「現金で勝負する」か、どちらかハッキリしているのです。

──きっと寅さんがここに来たら、
「カネカネ カネカネ言うなこのタコ!💢」
と、怒鳴って旅立っていくかもしれませんね。

でも、令和の世では、寅さんでも海外旅行保険に入ってるかもしれません。

雲遊を終えて

アメリカの保険行政は、まるで気ままな雲のようですね。
晴れたと思えば急に雷が鳴り、青空の向こうで誰かがちゃぶ台をひっくり返していたりもするのです。

それでも、人は空を見上げ、次の天気を予想しながら傘を持つかどうかを決めなければなりません。
保険も、医療も、そして人生も──そんなものかもしれません。

いま自分のいる場所の空模様を、ふと立ち止まって見上げてみる。
それだけでも、十分に意味がある気がします。

今日はここまで、雲遊にお付き合いいただきありがとうございました。
風に揺れる雲のように、ゆるっと自由に、また次回もお話ししましょう。