2つのビッグネームに隠れる、2つの中国

武田とアストラゼネカ。胃がん新薬の「生みの親」を追う

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。武田とアストラゼネカ、同じCLDN18.2を狙う胃がん薬の話が、ほぼ同時に出てきました。

まあでも、規模も違うし、別々の試験なので数字で優劣はつけられません。

ただ、同時に出たので並べます。そして、この2つの薬には、もう一つ共通点があります。どちらも、中国で生まれた薬なのです。

幕1 武田の影:イノベント

  • 2025年10月、武田は中国のイノベントと提携を発表。契約一時金は12億ドル(うち1億ドルは出資)、最大で114億ドル規模でした。 indianpharmapost
  • 武田が受け取ったのは、大中華圏以外でのIBI363とIBI343の権利です。 大中華圏はイノベントの手元に残りました。日本は「大中華圏以外」なので、武田の担当です。 barchart
  • 【IBI343のアルコタトゥグ・タバテカンという名前になるまで、のドラマは要確認】

幕2 AZの影:KYM Biosciences

  • AZのSone-Veの前の名前はCMG901。持ち主は、中国のKeymed(70%)とLepu Biopharma(30%)がつくった合弁会社KYMです。どちらも香港上場企業です。 acnnewswire
  • 2023年の契約は、一時金6,300万ドル、マイルストンは最大11億ドル、ほかにロイヤリティ。ロイヤリティは最大で10%台前半。 contractpharmasidley
  • 発表当時は第1相の段階でした。契約時点では第1相の薬でした。 それが今、「AZ初の完全自社保有ADCの第3相成功」と呼ばれています。 contractpharma

幕3 並べて見えるもの

  • 2023年のAZは第1相の薬に一時金6,300万ドル、2025年の武田は後期の薬2剤に12億ドル。
  • ※ただし契約の範囲もステージも違うので、金額の単純比較はしない。記事でも一言断っておくと安全です。
  • 見えてくるのは、大手が「発見」ではなく「導入」で勝負する時代になったこと。名前はビッグネームでも、薬の生みの親は別にいます。

あとちょっと気になるのは、トランプ大統領がこないだ、中国のバイオ企業を牽制するような発言をしていましたよね。

いやあ、ちょっと、気になりますよね。

でも別記事にします。


ちょっと、ESMOでのデータをAIに聞きます。

AZ側のESMO詳細(マドリードで発表、LBA7)

Sone-Ve対照(医師選択治療)HR
OS(2次治療以降、全体)10.6カ月6.4カ月0.58
OS(3次治療以降)10.0カ月5.0カ月0.47
PFS(全体、BICR判定)4.2カ月3.8カ月0.77

出典:AZのプレスリリースによると、全体のOSのハザード比は0.58(95%CI 0.47〜0.73)で、死亡リスクが42%減りました。3次治療以降ではHR 0.47で、中央値OSは10.0カ月対5.0カ月と2倍になっています。 PFSは中央値4.2カ月対3.8カ月、HR 0.77(95%CI 0.62〜0.96)でした。 報道では、PFSのp値は0.053で、有意水準にわずかに届かなかったと伝えられています。 Sonesitatug vedotin reduced the risk of death by 42% in 2nd- and later-line CLDN18.2-positive advanced gastric/GEJ cancers in CLARITY-Gastric01 +2

AZ:CLARITY-Gastric01では、2次治療以降の全体でOS中央値が10.6カ月対6.4カ月(HR 0.58)、3次治療以降では10.0カ月対5.0カ月(HR 0.47)と、OSが大きく改善した。一方で、もう一つの主要評価項目のPFSは4.2カ月対3.8カ月(HR 0.77)にとどまり、統計的有意差には届かなかった。

並べて見えること 比較はできません。別々の試験なので。

  • OS:武田の10.2カ月対6.9カ月と、AZの全体10.6カ月対6.4カ月は、数字だけ見ると近いです。
  • PFS:ここが大きく違います。武田は7.1カ月対3.1カ月で約4カ月の差ですが、AZの中央値差は0.4カ月です。ただし、対象集団や評価方法が違う可能性があるので、「なぜか」は断定せず、違いとして置くのがよいと思います。
  • 陽性基準の拡大:CLDN18.2の発現が25%以上75%未満の層でも、OSのHRは0.63でした。 AZが「陽性の基準を広げる」と主張する根拠の一つです(探索的解析)。 astrazeneca

武田側(G-HOPE-001、10月23日発表)

  • 試験は464人を登録した無作為化・非盲検の第3相で、対象は中国と日本の患者です。 pharmacally
  • 対照は医師選択治療(イリノテカン、パクリタキセル、トリフルリジン/チピラシル)で、OSとPFSの両方の主要評価項目を達成しました。 takeda
  • OSは中央値10.2カ月対6.9カ月で、HR 0.57(95%CI 0.45〜0.73)。PFS(独立判定)は7.1カ月対3.1カ月で、HR 0.45(95%CI 0.35〜0.58)。 prnasia
  • 奏効率は37.4%対7.7%。Grade 3以上の治療関連有害事象は47.4%対55.9%で、最も多かったのは貧血(20.4%)でした。 rttnews
  • イノベントは、エクサテカン(トポイソメラーゼI阻害剤)をペイロードとする自社ADCプラットフォームの検証だと位置づけています。 前回「私の知る限り」と書いた点が確認できました。 biospace
  • 武田側では開発コードが TAK-921 に変わっています。 takeda

2剤の並べ直し(優劣は付けない前提)

武田 アルコタトゥグ・タバテカンAZ Sone-Ve
試験G-HOPE-001、464人、中国・日本CLARITY-Gastric01、19カ国
OS中央値10.2 vs 6.9カ月(HR 0.57)10.6 vs 6.4カ月(HR 0.58)
PFS中央値7.1 vs 3.1カ月(HR 0.45)4.2 vs 3.8カ月(HR 0.77、有意差なし)
ペイロードエクサテカン(Topo I阻害)MMAE(微小管阻害)

なんていうか、規模が全然違いますよね。

さてみなさま。奇しくも、武田とAZ、そして胃となると、僕ら世代では、オメプラール、タケプロンを彷彿とさせますよね。まあ、ジェネレーションにもよるでしょうけど。

ただ今回は、オンコロジーなので、だいぶ違いますが。

あとまあ、患者さんにとっては、選択肢が増えますよね。それにしても、ESMOのデーターで、ロイターとかブルームバーグが報じて、そしてなんと、それぞれにそれぞれの中国バイオ企業の影。。。

これから、中国のバイオ企業は、どんな展開をしてくるのでしょうか。多分ですけど、かなり世界に入り込んでくるかと思います。

中国は、すごいですよ。去年上海に行って、街を見て、そう思いました。上海は3回目ですが、もう、本当に発展していました。人々も優しかったです。

メルマガも、あったりします。サブスタックです。

よろしくっす。

https://medicalaffairsinsider.substack.com


ここ最近、CSOに未経験で入社する、他業界出身のMRがかなり増えています。

ですので、それに便乗して、新しくインスタを作りました。が、ほとんどアクセスがありません。笑
あまりにもアクセスが無ければ、廃止にします。泣

皆さま、お知り合いの営業マンがいましたら、ぜひ、こちらのインスタも諸共、MRへの転職の話をさせていただきますので、お知らせくださいませ。画像は、CanvaとAIで作っていますけど。大変だし、センスも無いのでそのうちに、外注しようかと思っています。