ロシア警察による家宅捜索!

7月5日のロイターが伝えていますが、ロシア当局警察が、ノバルティスとテバの現地法人とロシア国内企業2社に家宅捜索をしたとのことです。ノバルティスのロシア法人は捜索が行われたことを認めていますが、テバはノーコメントの様です。

(http://www.reuters.com/article/2011/07/05/russia-pharma-police-idUSLDE75Q0GO20110705)
いやーなんだか、穏やかではありませんね。
ロシア地元誌のVedomostiの電子版によると、家宅捜索の理由はロシアのシステム内の在庫分配をめぐり、製薬企業間で取り分をめぐる争いの疑いということで、明らかにはされていません。

ロシアでは国によって低所得者のための医薬品を購入してためておくシステムがあるそうです。どの医薬品をどれだけ購入するかは、ロシア政府が決定します。この分配をめぐっては、製薬企業にとっては、売り上げに直結することなので、とてもとても大事、なのであります。

それにしても、警察が家宅捜索をするようなシリアスな状況があるのか? という疑問もありますが、実はあるんです!!

2010年の製薬各社の業績は、比較的堅調だったものの、ヨーロッパと、特にアメリカの医療制度改革によって、ドラッグメジャーにとっては、いかなる打撃があっても驚きではない…というのが大方のアナリストの見方になっております。

オバマ大統領が、向こう10年間に3000万人以上の”無保険者”を解消するといわれる医療保険改革法案に署名したのは2010年の3月23日です。この件に関して実は中間層以上の反発は依然として根強いのです。われわれ日本人にとっては、アメリカもいわば国民皆保険のようになるのであれば、いいじゃないか?というように思ってしまうところもあるのですが、そうシンプルな構図ではありません。

先行き不透明感が株価を圧迫し、スイスのメジャーであるロッシュが先ごろ出した見込みでは2010年と2011年をあわせて10億スイスフラン(約960億円)の打撃をうけるという試算を出したのです。

こんな中で、グローバルファーマは、これらの欧米でのアンチ要因を相殺して、払拭するために、「急成長」で「新しい」市場の開拓を急ぐのです。

「新しい市場の開拓」というと、非常にポジティブに聞こえますが、言い方を変えれば、「早くどこか他のところに頼りたい」ということと同じです。そのひとつが前回の中国、そして、同様に重要視されているのが、ロシアなのです。

ドラッグメジャーがケンカをしてでもロシアのパイを取り合う事情は…それは、欧米市場先行き不透明感に答えが潜んでいるのではないでしょうか?

ロシア現地法人の幹部たちには、HQから相当なプレッシャーが有ったのではないでしょうか。ノバルテイスにおいては、ロシアのサンプト・ペテルブルクにすごい工場を建設する予定で、これを足がかりに、ロシアマーケットをしっかり掌中に収めようという狙いがあり、ロイターによると、諸々込み込みで今後5年間に500億円を投じようとしています・・・。これは、当事者にとっては、エラいプレッシャーがかかていると思いますよ!

ただし、ロシアでは、医薬品、ヘルスケア品の海外品比率が80%を超えてしまうようで、プーチン大統領は国家の健康政策にとって危機的状況であると認識をしています。そのまま、すんなりと、外資に商売をさせるかどうか、、わからないと思います。

欧米でのツケは、どこで回収できるのでしょうか。パラダイスは、ロシアでしょうか。中国でしょうか。それとも、他に妙案が?

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