OTC どうでしょう。

あけましておめでとうございます。仕事始めだ!と思ったら3連休ですね。

さて、昨年末から、このblogでは製薬業界における所謂2011年、2012年問題らしきネタを紹介させていただいておりました。何しろ世界一のリピトールだけに、話題が尽きません。

そのリピトールが世界一の座を明け渡すと、そこに追随している品目の一つがネクシウムですね。オメプラールに次ぐプロトン・ポンプ・インヒビター(PPI)でアストラゼネカが日本法人でも昨年売り出しましたね。

日本のマーケットにネクシウムを出すにあたって、AZが単独で売るのか、それともリピトールのように他社と組んで併売をするのか? ということが発売以前から注目されておりました。

結果的にはご存じのように併売という形をとりました。大型新薬ですから、それなりのプロモーションが要求されます。AZ一社ではなく、他社と組むことによってMRの実質的な数的メリットを狙ったことになります。日本のマーケットを攻略するうえで、多数のMRによる人海戦術が功を奏するという判断があったのかなと思います。

そのパートナーがまさに第一三共ですよね。 ただし、併売と言っても色々な手法があるのですが、AZがクレストールの時に塩野義と組んで色々と生じた諸般の課題をクリアすべく、マーケティングとプロモーションというすみわけをすることに落ち着いたわけです。 2社が痛みを分けて、けんかをして奪い合うような形ではなく、仲良くみんながハッピーになれるようなやり方をAZは選びましたよね。 いずれにしても、AZはブロックバスターを日本法人では単独で売るという選択をしなかったので、MRを単独で増員しなくて済んだのです。

そのパートナの第一三共は、ネクシウムを扱い、さらに今まで世界一だったリピトールのジェネリックを、子会社ランバクシーを通じて世界市場で売っている。 何だか、うまいことやっているように見えますね。 さらにランバクシーは、テバとの提携をして、テバの販売網に「ジェネリック・リピトール」を乗せようとしていますね。 まさに、日本でも大洋と興和テバを買収したテバですから、日本市場でも攻勢をかけてくるのでしょうか。それはわかりません。

またまた話がリピトールに戻ってしまいますが、高脂血症は慢性疾患ですから、動脈硬化の予防的に処方されている人も併せますと、相当長い間リピトールを飲み続けているという患者さんが多いです。リピトールの服用に慣れているご年配の方にとって、「同じ薬です」と言われても、「アトルバスタチン」という風に名前も色も変わると、何か違うものに変わった気がしてくる方も多いです。

ジェネリックでは、日本でも一般名が商品名というように統一されてきておりますので、名前が変わり、患者さんにとっては、なんか違うという感覚をぬぐいきれません。特にブランド好きな日本人にとってはなおさらのことだと思います。

「ジェネリックが良いのはわかるけど、先生、私は今までのリピトールで良いですよ…」という人も多いでしょう。さて、この日本人の変化が苦手、ブランド好きという特徴をマーケッティングに反映させると、どうなるか少し考えてみました。

実は先日こちらで取り上げました、OTC薬として存在する医療用医薬品の薬価収載削除の動きですが、実はこの日本人のメンタリティが大きな影響を及ぼしかねないと、密かに思っております。

だいぶ前から報道されていることですが、現在、米国でファイザーがFDAに打診中の案件の一つに、リピトールのスイッチOTCということがあります。

Pfizer May Market Own Over-the-Counter Lipitor Pill

こんな慢性疾患の医薬品のOTC化が可能なのかどうなのか、わかりません。が、もしも本当に可能であり、事実としてOTCになった時には、リピトールの薬価が削除されちゃうかもしれませんよね・・・・。

そして、「リピトール」というブランド名がOTCとして蘇るのです。ブランド好きで変化が苦手な日本人なら、なじみの深いこの名前のOTCは、「アトルバスタチン」よりも売れるかもしれません。もちろん、「リピトール」というブランド名を名づけることが許される企業は、ファイザーですよね。

世界第二位の医薬品マーケットの日本で、スイッチOTCは波紋を呼びそうですね。ただ、この実現性は未知数です。

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