医薬品の売上ランキング 2012第一四半期 日本とアメリカ

久々の更新になりました。7月より新しいファームに移り、いろいろとバタバタしておりました。それにしても、この夏は暑かった。これからお盆ですのでまだまだ夏なのですが、ようやく朝晩は過ごしやすくなった気がします。さて、お盆ということで、ビジネスの世界では第三四半期、Q3の真っ最中なわけですが毎年のようにこの時期のビジネスはスローです。こと、リクルーティングにおいては最たるもので、なにしろ「人事」というように人が居なければ始まらないビジネスなので・・・。お盆はさすがに遅くなります。

そんな中、第一四半期の医薬品売上ランキング的なものが、少し前に出てきました。日米で比較すると面白いです。

日本 (imsより http://www.ims-japan.co.jp/docs/top_line_121j.pdf

上位 10 製品  2012 1Q   JAN-MAR

売上金額 (単位:百万円)

医家向製品  薬価ベース 前年比%

  • 1 ブロプレス   28,259   -7.7%
  • 2 デイオバン   26,727   -3.2%
  • 3 アリセプト   25,847   -18.7%
  • 4 プラビツクス   22,283   17.8%
  • 5 リピト-ル   20,107   -19.1%
  • 6 タケプロン   20,008   2.4%
  • 7 アレグラ   19,794   -12.1%
  • 8 レミケ-ド   19,532   13.3%
  • 9 モ-ラスヒサミツ   19,042   -4.3%
  • 10 オルメテツクダイイチサンキヨウ   18,866   -5.2%

1位は武田のブロプレス(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2149040F1026_1_21/)そしてそれに次ぐ2位もARBのディオバンですね。日本では高血圧の薬が1位と2位を占めていますね。しかも両剤とももうすぐジェネリックが出そうなくらい発売して何年もたっている製品ですね。まさにARB大国日本ですね。ジェネリックが出たら影響が出ますよね、特にこういう生活習慣病というか、慢性疾患の薬は、ジェネリックに抵抗がある人でも、ジェネリックに替えやすいという話を聞いたことがあります。

3位のアリセプトはアルツハイマー型認知症(痴呆)進行抑制剤ですね。エーザイが開発し、ファイザーが海外では提携して同じ製品名で展開してブロックバスターという、圧倒的な売り上げを残し続けた製品ですね。発売後10年以上たっている今年のQ1でも3位に入っていますが、対前年比でなんと18.7%のマイナスですね。理由は当然ジェネリックの出現によるものですね。アリセプトのジェネリックは2011年になんと30社が参入したそうです。(http://file.marugariita.blog.shinobi.jp/ceefd8ef.pdf#search=’ドネペジル%20ジェネリック’)そりゃ、対前年が落ち続けるのも当然ですよね。これがいわゆる医薬品業界の2011年問題ですね。ざっと30億円くらいは落ち込んでいるわけで、ファイザーも相当の対策が必要になるわけですね。

4位のプラビックスは抗血小板剤で、上位では唯一対前年の売り上げを伸ばしていますね。最近PPIとの相互作用も話題になりましたけど、順調に売り上げを伸ばしています。大型ですね。

そして5位のリピトールはこれも2011年問題ですよね。日米ともにジェネリックが大ニュースになりました。これこそブロックバスターの代名詞だっただけに、今でも影響を受け続けています。それでもまだ5位に入っていますね。ファイザーはアリセプトといい、リピトールといい大変ですよね。

まあ、大変大変と言っても、ファイザーもその他大手先発品メーカーもジェネリックのチャネルをしっかりと持ちつつあります。ファイザーもエスタブリッシュ部門がジェネリックを扱いますし、サノフィ・アベンティスも日医工と提携していますよね。ちなみに、サノフィと日医工はリピトールのジェネリック売るみたいですね。ちなみにたとえば、ノバルティスはサンドが、アボットはホスピーラが関連ジェネリックメーカーで存在しますね。

ただ、ジェネリックと言っても、日本での7掛けはグローバルにおいてはかなり高いみたいですね。たとえば、リピトール10mgの先発品の薬価は113.6円に対して、最初に出たジェネリックの薬価が76.5円、次に出たジェネリックの薬価でも68.9円ですので、本当に7掛けですよね。これにたいして、たとえばアメリカでは先発品に対して15%から20%だそうですから、10円とか20円という世界なのです。保険制度がプライベートのみかもしれないけど(今のところ)、この値段だったら自分で買っても問題ないですよね。

この先発品とジェネリック品の価格の開きは、ただ単に医療費の削減ということだけでなく、ビジネスにおいては何を意味するかというと、そのカテゴリーでどれか一つにおいてジェネリックが出てしまった場合、日米で戦略が若干違ってきます。

たとえば日本ではリピトールのジェネリックが出ても、リバロやクレストールもそれなりに戦えるのです。もちろん、安いほうがよいのですが、ただ、もしリバロやクレストールが気に入っている患者さんがいるなら、多少、つまり30円か40円高くても、「先発品で良いよ」という場合が出てくるでしょう。ところが、アメリカのように、リピトールが10円とか20円で売っていたら、いくら気に入っていても100円の先発品は売れないですよね。 開発品目も同じです。今から、たとえエビデンスも出ている最良の、過去ベストのスタチンが出たとしても、もう売れません。既存の先発品も売れない、同種の開発もストップする…。つまり、そのカテゴリーの医療用医薬品マーケットの終焉的なものを意味するような気がします。日米では、同じジェネリックが出たと言っても、インパクトや意味が違いますね。

さて、6位以下ですが、いやー、昔の薬ががんばっていますよね。やはり、日本のマーケット、日本での製薬会社は製品を大事にする文化があるような気がします。これは、医薬品の場合、良い事なのか、悪い事なのか、わかりません。情報を持った生命関連製品ですから、コカ・コーラのようなコンシューマー製品とはもちろん違う。当たり前ですが。いまだにスタチンや抗アレルギー剤、ARBなどを主力と掲げなければいけない会社、そこの優秀なMRは、なんというか、お腹いっぱいですよね。転職の動機にもなります。「今年もスタチンの拡売かよ・・・」みたいな。

さて、アメリカです。

http://247wallst.com/2012/07/18/top-10-u-s-drugs-for-2012-first-quarter/

ていうか、WSJ、エビリファイのスペリング間違えてますしたので、修正しておきました(笑)

  1. •Plavix (BMY) — $1.62 billion in sales
  2. •Nexium (AZN) — $1.40 billion
  3. •Abilify (Otsuka) — $1.34 billion
  4. •Singulair (MRK) — $1.24 billion
  5. •Seroquel (AZN) — $1.16 billion
  6. •Advair Diskus (GSK) — $1.14 billion
  7. •Crestor (AZN) — $1.12 billion
  8. •Cymbalta (LLY) — $1.03 billion
  9. •atorvastatin (generic) — $0.95 billion
  10. •Humira (ABT) — $0.93 billion

それにしても、エビリファイすげー!!

エビリファイは、ちょっと置いておいて、見てください。

リピトールが消えています。そして、9位に早くもリピトールのジェネリックが入っていますよね。アトルバスタチンです。これが今回のランキングの日米の最たる違いじゃないでしょうか。リピトールは日米ほぼ同時にジェネリックが発売されて、しかも、アメリカよりも日本のほうが圧倒的に参入会社が多いはず。にもかかわらず、日本ではまだ先発品のリピトールが5位に食い込んでいて、ジェネリックは10位以内に入っていません。さらに薬価が10円20円のジェネリックがランクインするわけですから、それだけ量が出たんでしょうねえ。いやあ、リピトールインパクト大きいな。

さて1位にプラビックスが入っています。アメリカではブリストル・マイヤーズ・スクイブが売っています。日本ではサノフィです。長年リピトールが座っていた1位の座ですが、同じくブロックバスターのネクシウムを上回り、Q1では1位ですね。

まあ、しかしながら、Plavix、一般名clopidogrelも、すでにジェネリックが出始めましたので、おそらくQ4にはランク外に消えてしまうのでは? そして、この領域の他の競合品が全く売れなくなる・・・・ちょっとQ4は早すぎるかな?。 決して早くはないですね、なぜならプラビックス75mgの薬価は日本では275円ですが、アメリカでは、しかもオンラインで1錠あたり$0.25くらいで買えちゃうわけですから・・・。

Crestorもランク外に消えるでしょうね。それにしても、日本とはだいぶ薬の種類が違いますね。

エビリファイすごいですね。しかもアメリカでもOtsukaですね。

Wikiでは、一般名アリピプラゾール(Aripiprazole)(商品名:エビリファイ®)は大塚製薬が発見・開発し、世界60カ国・地域以上で承認されている非定型抗精神病薬の一つである。略称はARP。2006年1月に許可。

医薬品もなんというか、生活習慣病だの、高血圧、高脂血症というところから、心の病気にマーケットがシフトしてきたような気がするのは私だけでしょうか。そろそろ本格的に日本人が精神科に堂々と通う時代が到来かもしれませんね。

大塚製薬と言えば、サントリーや出光のように非上場の勇ですね。いやー相当株価は上がるはずですよね。 非上場かと思ったら、ホールディングスが上場してました。 2010年の年末に、鳴り物入りで上場し、当初2100円で売り出した株価は、現在2407円ですから、300円以上上げているわけですね。大塚の株、アメリカで売り出したら絶対売れますよ、ただでさえ気運に左右されやすい医薬品株ですから、ランキング3位ってインパクトがありますね。

まだまだこちらに関連の話題は続きますが、次回に。

広告

コメントを残す

コメントを投稿するには、以下のいずれかでログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中