スマートフォンを治験に取り入れたパイロット・スタディ

医療の現場では。スマートフォンやタブレットなどのモバイルの有効活用が一つのテーマになっています。しかしながらその殆どが、単なるプレゼンツールだったり、文献あるいは情報の参照ツールだったりと、今一つとても有効とは言い難い現状です。

ヘルスケア産業においても、製薬企業や医療機器企業はMRや営業マンにスマートフォン、タブレット端末を導入していますが、活用法は今一つとのことです。特にアンケートツールにおいては、私が個人的に聞く範囲(ドクター15人くらいに聞きました)では、ほとんどのドクターがあまり良い印象を持っていません。なかには、iPadを持って近づくMRから逃げるドクターも居るとか・・・。

そんな中、スマートフォンを実際の治験に取り入れた話があり、かなりエキサイトしました。

ここ最近、血糖値を継続的に図ることのできる機械が進歩しています。たとえばメドトロニック社の「メドトロニック ミニメド CGMS-Gold」などは、皮下組織にセンサーを組み込んで、長い時間連続的に血糖値を計測することができる医療機器です。 糖尿病治療には実は継続した血糖値のデータが必要で、いままでの機器だと、限られた時間に自ら血液を採取して計測を行わなければならなかったので、なかなか生かせるデータを採ることは難しい側面もありましたが、最近の身に着けて継続的にモニタリングできる機器の進歩で、かなり生かせるデータを採ることが可能になってきたのです。

そこまでは良いのですが、さらに一歩踏み込んで治験に活用したという報告が少し前にpublishされました。
Pilot study tests wearable sensors and smartphone-based data collection for diabetes
(http://www.imedicalapps.com/2012/11/pilot-study-wearable-sensors-smartphone-diabetes/)

新しい糖尿病薬の治験に40人が参加し、72時間この機械でモニタリングをすることになりました。身に着ける血糖測定機械にGPS機能を付けて、それにBluetoothを経由してワイヤレスでリアルタイムに血糖値がスマートフォンに記録されます。スマートフォンはブラックベリーが使用され、カスタマイズされたアプリがインストールされています。これによって、どこに居ても、生活習慣の中で、食後や就寝中や空腹時など、様々な場面での血糖測定、そしてその集計が可能になったというわけです。

スマートフォン、モバイル端末の実際の活用事例としては、かなり本格的な感じがします。もちろん、まだまだクリアにしなければならない課題はあるのですが、治験参加者のQOLは高いし、データの正確性も高い、なおかつ収集に関してはものすごい威力を発揮できるに違いありません。この手のパイロットスタディとしてはかなり踏み込んだ例で、今後のモバイルの医療現場での使われ方の一つのモデルになったことは間違いありません。

ただ、日本でこれができるかというと、どうかなぁ・・・・・。

広告

戦うプライマリー領域

製薬各社は専門性を高める目的で、領域別にビジネスユニット化して、人材をグルーピングしようとしています。営業(MR)も開発もそれぞれに、オンコロジー、免疫領域、ニューロサイエンス、眼科領域、などなど、より専門性を高め、関連するドクターとより深い関係を構築することで競争力を高めようとしています。

そんな専門領域化の流れの中、高血圧や糖尿病、喘息などのプライマリー領域を担当しているMRはより専門性を高める目的で、若いうちからオンコロジーなどの領域MRへの転職をしようとする動きが見られます。まあ、学術的なアプローチ、エビデンスに基づいたトークをしたい、という声だとは理解できます。

ところが、プライマリー領域に魅力がないかというと、そうとは言い切れません。やはり、マーケットが大きく、まだまだ、まだまだ伸長する余地があるからです。この領域での仕事はやはり激しい競争、ジェネリックとの攻防など、営業力や人物力、ビジネスセンスがより求められるのではないかと思います。より多くの科のドクターと話をして、目標数字を達成する、競合他社、ジェネリックメーカーとの差別化を図っていくなど、人によっては面白みを十分感じることができる領域だと思います。

たとえば、糖尿病を考えても、国際糖尿病学会(IDF)のレポートによると、2011年で糖尿病の世界人口はわかっているだけで3億6620万人、2030年には5億5180万人になるといいます。この数字は製薬会社から見れば、「マーケット」にほかなりません。とうぜん、これからも新薬を開発し、投入してくることはあきらかです。

ただし、やはりMRは大変です。もちろん、どの領域のMRもそれなりに大変だし、そもそも、仕事とはそんなに楽なものではないだろうと言ってしまえば、それまでなのかもしれませんが。 インスリン分泌促進薬、SU薬、グリニド系、αグルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系、DPP4、SGLT2、、、などなど、次々と開発され、そして特許が切れてジェネリックが発売される。これらのジェネリックは、日本では7掛けですから、まだまだ戦います。さらにジェネリックは、先発メーカーからも出されるという状況で、競合他社製品と、ジェネリックとの競争も発生します。やはり、競争があれば勝たなければなりません。接待がなくなった今、MRに求められるものはやはり総合的な人物力、といったところだと思います。

マーケットが大きくてさらに競合が多い。そんな中でどのように差別化して勝っていくのか、このソリューションを持ったMRは、このマーケットで伸びていくことができると思います。今までにたくさんの優秀なMRから、この成功例を聞いてきました。若手のMRの方、私、山崎にコンタクトしていただければ、いつでもその一端をお話しさせていただきたいと思っています。今までの先輩たちの成功例です。どうぞお気軽にご連絡ください。