500万ドルが半年で20億ドルに? 夢なら覚めないでほしいですね。 バブルなら、はじけないでほしい。
その企業はこの6月10日(水曜日)にNYSEに上場を果たしました。
アクソバント・サイエンシズは11日の上場初日、株価が公開価格を99%上回った。同社は米国での新規株式公開(IPO)で3億1500万ドル(388億円)を調達していた。アクソバントは昨年12月、英製薬大手のグラクソ・スミスクラインからアルツハイマー病の治療薬候補をわずか500万ドルの前払い金で取得した。アクソバントの企業価値は現在20億ドル強とされる。(WSJ 日本語)
このところ、早期退職だのなんちゃら事件だの、ろくなことがないメガファーマに比べ、ここ数年目覚ましのがいわゆるバイオテック系ですよね。ギリアド、アレクシオン、バイオジェン、アムジェン、ジェンザイム、などなどなど、元気が良いのはバイオテック系です。しかも社員の給料にストックオプションがあったりして、製薬業界では大手にはほとんどない制度ですね。RSUという株式が付与されること自体が、ああ、IPOして間もないんだなという印象を抱かせます。また、この株価が軒並み上がっていますよね。
最たるところはギリアドですか。ギリアドサイエンシズのソバルディは5月25日に発売されるや否や大盛況ですね。予想はついていましたが。何しろ奏功率が100%近いデータがあるので薬価の問題もあるかもしれないですけど、ほとんどのC肝の患者さんは使うことになりそうな勢いですね。グローバルで第2位のマーケットである日本で勢いがよければ当然株価は上がりますね。
従業員の持つRSUの評価額も上がるわけです。そうなると自然に従業員のみなしの年収というか、資産も上がりますね。
500万ドルで手放した製品が、今や20億ドルです。では、売ってしまったGSKの立場ってどんなのでしょうか。失ったのか、どうなんでしょう。ただ、悔しいと思っていることは確かですよね。逃がした魚が大きかったのか、持ち腐れと思って人に安く売っちゃった製品が、知らぬ間に大きくなったのか。。ただでさえ売り上げに苦労しているので、もはや自ら手放したこの候補物質は垂涎の的なのかもしれません。これ皮肉ですよね。なにやってんの。。。。
アクソバント・サイエンシズ経営者のCEOのVivek Ramaswamyは、なんと若干29歳!!
半年前にGSKから開発中の1パイプラインを500万ドルで購入、スピンオフしました。品目はアルツハイマーの治療薬。もちろんまだ世に出ていません。折しもアルツハイマーはブロックバスターのアリセプトの特許が切れて市場ではそういえば跡継ぎが不在でしたよね。イクシロンパッチもブロックバスターまではいきませんね。同種同行品も少ない領域ですよね。考えてみれば、このある種メジャーな疾患、疾患数に対しては医薬品がすごく少ないですね。
ただしこの種の薬剤は治験がとても難しいです。何しろ当の本人に病識がない場合もあるわけで、治験には家族や身近な人物の協力が不可欠です。たとえば患者の表情一つにしても改善されればある種の効果判定につながったりするわけで。この症例数の確保もかなり難しいはずです。その巻き込まれたみじかな人物にも様々な制限がかけられるわけです。とにかく観察をしていなければならないわけですから、とても疲れますよね。身近な人物の役割をしている人が、仮に旅行でも行っちゃったらこの症例は残念なサンプルになってしまいますよね。症例の確保が一筋縄ではいかない気がします。その難しさが世の中にあまり製品のない所以でしょうか。
アルツハイマー、なかなか新薬でない
市場に少ない。これが後押ししたのか、IPOした途端、ものすごい投資家が動き出しました。まだ世の中に出ていない薬にもかかわらずNYSEに上場しました。ただし、これでないケース、つまり世の中に出ないケースもあります。その場合どんなシナリオが考えられるか。
まだ世の中に出ていないというのがどうも気になります。もしこれがバブルだとしたら。まずバイオテック関連の企業のRSUが下がりまくりますね。そして負の連鎖スパイラルが? それは本当に困ります。
まだまだ勢いのあるバイオテック関連株、まだまだ弾けないバブルが続きそうです。続いて欲しいです。