転職できる?
- MRの転職は年齢が大体35歳くらいまで。
- 40歳前後でもオンコロジーやバイオ、専門領域なら転職可能な場合もある。
- 強い社員紹介であれば、誘われることもある。
こう考えると、普通のルートで転職をすることが難しく、転職市場では価値がないのかと思ってしまいます。
また、プライマリーだけで45歳以上ともなると、早期退職などの対象にすぐになりがちです。
45歳以上は、もう価値がないのかと思ってしまいます。
が、それは大きな勘違いです。なぜなら実質的な価値と市場価値は違うからです。
市場価値と実質価値は違う
市場価値は、市場の売り手と買い手のマッチングで決まります。サントリーウイスキー山崎18年(700ml)の価格は、10年くらい前は1万5千円くらいでしたが、現在は7万円以上で推移しております。
市場価値が変わったのです。が、実質価値が変わっているわけではありません。また、ウイスキーに全く興味ない人にとっては、1円の価値もないかもしれません。
かつて、希少疾病医薬品は、どの製薬メーカーも開発を拒んできました。なぜなら、市場が小さければ売れないと信じられてきたからです。
ところが、医薬品はご存知のように、生命関連製品、企業には希少疾病用の医薬品を開発する使命がありました。したがって、開発を渋る企業を政府が後押しして、資金を助成してやっと開発をしているという現象がありました。
希少疾病の医薬品を扱っている企業は小さくて、また大きな企業のオーファン事業部も、見ているとなんだかよくわからないような、第一線で活躍できなかった人たちの溜まり場的な雰囲気が漂っていました。
第一線のプライマリー領域で使えなくなった人たちが、希少疾病医薬品の事業部に左遷される。
今では信じがたいですね。
当時グローバルで製薬会社がこぞって開発競争にしのぎを削ったのは、糖尿病、高血圧、喘息、アレルギーなどなどの医薬品です。なぜなら、市場が大きくて売れると判断していたからです。
当時は、希少疾病を担当している人たちの市場価値は低く、糖尿病の薬を担当している人たちの市場価値は高かったのです。
ウイスキー、医薬品とは違いますが、二つの例では、実質的価値は同じでも市場価値が時代とともに違っているのです。
MRの実質価値は経験とともに上がると思いますが、市場は生き物。市場価値は変遷します。
次に市場を席巻するのは
次に市場価値を上げるのは、どんな形態なのか、何百人のエコノミストが予測してもその通りにはなりません。それが市場は生き物であると言われる所以です。
考えてみれば、ハーバードとか、東大、ソルボンヌ、ついでにタイの名門チェラロンコン大学の経営学の教授が、会社を作ったとしても、必ずうまくいくとは限りません。市場はいきているからです。神の見えざる手とは、こういうことなのかもしれませんね。
経営学だの、MBAだの、そういう人が考えてもその通りになりませんよね。製薬業界も同じですよね。
武田はかつてARBの開発にこだわって、とても良い薬を出しましたが、ARBでは7番手でした。発売当時、すでに同種同効品のニューロタンの特許が切れてジェネリックが出始めていました。今では考えられない失敗ですよね。全然売れませんでした。
それでも、当時さらに開発中だった某プライマリー製品の開発をやめないと言っていました。あとで結局やめることになったのですが。なんでこの時に分からなかったのでしょうか。
わからなかったのですから仕方ないですね。予測はできても誰にもわからないですよね。
市場というのは、そういうものです。
45歳以上MRの価値
で、45歳以上のMRに話戻します。すみません、だいぶ前置き長くて。しかもつまらない前置きで。
「転職市場」での価値は確かに下がるかもしれませんが、MRそのものとしての実質価値は、むしろ最強にある。これが45歳以上です。
仕事はできるし、身体は元気だし、業界知識はあるし・・・。お金はあるだろうし。遊びの知識もあるし、人脈はあるし。
ゴルフ、釣りなどなどの趣味には長けているし。物知りだし、遊びも仕事も知っている。
MRであれば、特に趣味は深くて広い人が多いです。若手にとっては、神のように頼れる存在でもあります。
そう、もう最強な状態なのが、45歳以上のMRなのです。
ただ、MRの転職市場では、年齢要件がかなり厳しいので、転職市場での価値が下がる。MRとしての価値が最強にあるのに、転職市場では価値がない。という現象です。
別に否定すべきものではありません。
であれば、いっそのこと、45歳以上は、転職に真剣にならなくても良いと思います。
もうキャリアアップなど、しなくて良い
具体的にどんなスタンスで過ごしていれば良いかというと、
ー転職をしないで出世を目指すなら目指す。
ー出世を目指さないなら、そして早期退職制度に該当するのであれば、とっとと退職をしたら良いかと思います
ー早期退職制度がなくても、思い立ったら(こだわりなく)転職をする。しかも、オーファンだのバイオだの言わないで、たとえばCSOを選ぶのも一つの手です。
給料が1000万円を軽く超えている45歳以上のMRの人にとっては、こだわりのない転職をしてしまうと、給料が下がると思うかもしれませんが、そもそも転職せずにしがみついても、昨今の状況であれば、ずっと雇用が守られるわけではありません。それに、何と言っても、しんどいです。毎日毎日、「今後どうすべきか」みたいな強迫観念に煽られたりして。
であれば、CSOなどのステイタスを利用して、自分自身をブラッシュアップをする時間を作ったら良いです。コントラクトMRでも、たとえ給料が下がっても、一般的なサラリーマンよりはそれでも高値を維持できるので、生活に困るまでのことはないかと思います。
しかしながら、家のローンもあるし、子供の教育費もまだまだかかるから、そんなところに飛び込めないと思う方も多いと思います。それは、もう、幻想なのです。ただ、そうでもないのです実際は。意外と、大丈夫じゃね?
現状は素晴らしい、続けるのは無理ゲー
「現状」MRをしていることは、素晴らしいことではあるけど、「将来」までMRを続けるというストーリーは無理ゲーです。
メーカーに残ろうが、コントラクトだろうが、MRをこの先ずっと続けるという考えを改めなければなりません。
そのためには、前にも触れていますが、ある程度、副業であるとか、投資であるとか、本業以外での収入を得る状況、そして、ひいては、本業をやめて、MR以外のことを主たる仕事とすることまで考えなければならないと思います。
以前にオススメしたのは、行政書士の資格を取って、病院や調剤薬局やその他諸々の関係先をお客さんにして開業することです。
病院の事務に入る人もいます。
趣味を仕事に変えた人もいます。
簡単ではありませんが、3年くらい、準備すればできるのではないでしょうか。なぜなら、45歳を超えたMRには、実質的な価値があるあからです。
人脈も、常識もたくさんあるので、むしろ最強なのです。3年くらい真剣に準備すれば、何かの道は拓けます。
実質的な価値はあり過ぎ
その準備期間には、コントラクトMRの立場はすごく良いと思います。ベテランの威力を発揮していれば、プロジェクト先企業からも一目置かれるでしょう。そのうちMRを辞めようと考えていたのに、スカウトされるかもしれません。
CMRの立場の間に、どんどんインプットして、将来に備えるのです。
そもそも、将来にわたってMRを続けるというのがもう無理ゲーな訳ですから、メーカーに残っても同じことです。ただし、メーカーに残れば、色々と面倒なことだらけです。
45歳以上は、人として実質的な価値は最強なのです。市場価値に惑わされてはいけません。
将来、MRそのものがオワコンになるくらいだったら、もう楽しんだ者勝ちです。