日本医薬品工業とか小林化工の問題が収まらず、そもそもジェネリックビジネス自体の崩壊の始まりみたいな話もちらほら聞きます。
ジェネリック崩壊するなら、崩壊と言っても、錠剤の崩壊じゃありませんよ。なんか、ジェネリックと、崩壊という文字を並べると、どうしてもOD錠などを連想してしまいます。なんていうかDDSの事を言っているわけではありません。
ジェネリック市場そのものの終焉、崩壊を言っています。もし、終焉、崩壊なら、国営にすれば良いかと思います。
昔の専売公社みたいに。 塩もよろしく、みたいな。
何故なら、日本国にとってジェネリック医薬品が必要だからです。多分。必要なんですよね。
医療費が保険制度を圧迫していて、ジェネリックの処方率をあげたいのですよね。この話はもう、1980年代から、ずっと言われておりまして、おかげで90年代に入ってから、ジェネリックがどんどん成長して、大手は上場するようになりましたよね。
思えば、ゾロメーカーと言われて、地道に世の中に存在していて、それはそれでハッピーだったのかもしれません。80年代です。僕が新卒で製薬業界に入った1992年当時は覚えていますが、(僕が居た会社もジェネリックメーカーと似たり寄ったりではありましたけど)渋谷区、世田谷区の開業医を担当していて、製品も特許が切れたようなのを扱っていたので、すぐにゾロメーカーにひっくり返されました。その頃は、時代だったのかもしれませんが、サンプルを添付したり、開業医は薬価差益で儲けようとしていたので、盛んでした。まあ、時代です。
それが、国策でゾロがジェネリックと言われ、どんどんもてはやされて、なんだかゾロメーカーがどんどん大きくなりました。
ゾロとか、ゾロゾロとか言われて揶揄されていたゾロメーカー、なんか、ギャグみたいな名前を薬につけて、本当にギャグかと思う製品が世の中に出ていた、ゾロメーカー。例えばメバロチンのゾロで「メバレクト」などなどと、名前をつけたりですね。今ではもう一般名に変わりましたので、ギャグみたいな名前を見ることも無くなりましたけど。
そんな、ある意味、揶揄されていたような、後発品、ゾロメーカーが、「ジェネリック医薬品」として、プレゼンスを獲得していく過程が、80年代、90年代、2000年代でした。今では、バイオシミラーなんていう、バイオ製剤のジェネリックもあったり。
下手な先発メーカーよりも、規模も株価も大きくなり、大手へと成長して行ったのです。この成長の波に乗ったジェネリック大手の中にいた人は、とても楽しかったと思います。国策というか、そういう後押しで、どんどん、どんどん、市場が伸びて会社が成長して行くのですから。傍目ですありますが、リアルタイムで体感しております。大きくなった沢井製薬はキョーリンを買収しようとしましたよね、一時期。
今となっては、医薬品株の1グループを担う、大手も数社あり、完全にジェネリック医薬品のプレゼンスは確立されております。大御所のタレントを使ったTVCMなんかもやるので、お年寄りにも浸透しています。
今後も、その潮流は衰える事ないだろうと、思っていたのですが、、、
2020年になってから、大手の日医工が薬剤の出荷試験などで法令違反を長年繰り返していたり、小林化工の違法製造などなど、大変なことになっています。
今までも、実は、回収や供給問題など、小さな問題はあったのですが、今回ばかりは、終わりの始まりと言っている人も沢山います。
ただ、ジェネリックが無くなると困ると思います。
そこで、そんな、崩壊するなら、前述の通りですけど、国営にすれば? と思うのです。
国営というと、思い出します。
専売公社とか、電電公社とか、国営というか、公社ってありましたよね。三公社五現業です。今はもうありません。民営化されましたので。
電電公社が出している、南野陽子の水着のテレホンカードを持っていましたが、どこかに無くしてしまいました。
昔存在した、三公社五現業は、こんな感じです。
三公社
- 日本専売公社(専売公社) → 日本たばこ産業(JT)、塩事業センター
- 渋谷に塩の博物館みたいなのありますよね。
- 赤坂のJTビルは今でも喫煙できます。笑
- 日本電信電話公社 (電電公社)→ NTTグループ
- 日本国有鉄道 (国鉄)→ JRグループ、日本国有鉄道清算事業団(1998年(平成10年)10月22日解散)
国の経営する企業(附帯する事業を含む)(五現業)
- 郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替及び簡易生命保険の事業(註) → 日本郵政公社 → 日本郵政(JP)
- 国有林野事業(国有林野事業特別会計において事務を取り扱う治山事業を含む。) → 国有林野事業の企業的運営廃止
- 日本銀行券、紙幣、国債、収入印紙、郵便切手、郵便はがき等の印刷の事業(これに必要な用紙類の製造並びに官報、法令全書等の編集、製造及び発行の事業を含む。) → 行政執行法人たる独立行政法人国立印刷局
- 造幣事業(賞はい等の製造の事業を含む。) → 行政執行法人たる独立行政法人造幣局
- アルコール専売事業 → 新エネルギー・産業技術総合開発機構 → 日本アルコール産業
今はもう存在しませんが、戦後から日本人の生活に必要なものは国営だったのです。
日本タバコもそうですよね。専売公社でした。今ではJTは薬作ってますし。
専売公社は「塩もよろしく!」みたいな感じです。
専売公社のセブンスターとか、峰とかのCMありましたよ。懐かしいなあ。セブンスターと峰を吸っていました。今は吸いません。シガーは吸いますけど。
中曽根内閣で民営化されて、郵政も、小泉政権で民営化ですよね。今はみんな民間企業。
で、話戻りますけど、もしジェネリック業界が崩壊して、なおかつ日本国にとってジェネリック医薬品が必要であれば、ジェネリックそのものを国が作れば良いのでは? と思ってしまいます。
実は、今僕が住んでいるタイですけど、国有の製薬会社があります。その名も、
The Government Pharmaceutical Organization (GPO)
それに、前の王様が作ったSiam Bioscienceという会社もあります。
GPOに関しては、特に偽物の多い製品を扱ったりしています。例えば、バイアグラのジェネリックを本当に安い金額で、もちろん本物を製品化しております。この低価格で本物を国営製薬会社が製造する事によって、悪徳業者が偽物を作る旨味がないくらいの金額にすることによって、本物を世の中に出しているという役割もあります。
日本でも、昔、国営企業があったし、JTもあったし、海外のタイには国営の製薬会社もありますから、ということは、多分、日本でジェネリックを国営でやろうと思えば、ジェネリック医薬品の国営企業誕生という話は、絵空事でもなくなるかもしれません。できるかと思います。