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再就職支援についての勘違いが多すぎます。
会社にとっては義務ですが、辞める従業員にとって受けることは自由です。
なぜこの勘違いが発生するかといえば、従業員がそんな仕組みを全く知らないからだと思います。早期退職を発令、手を挙げる。。
「なんか、会社に業者が入ってるから、とりあえず、説明聞くわ。」
もうその会社を辞めるのに、会社人間が発動してしまっている例です。
いろいろなケースはあれど、従業員は会社が用意した業者の支援を受けることは、自由です。言い方を変えれば、受けなくても良いのです。
なぜ、従業員のクビを切る企業側が支援をするのか? 一見、親切に見えます。確かに、実際に親切心もあるでしょう。
ところが、それは、会社側がある法律を満たすためなのです。
その法律とは【労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律】のことです。

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よく、早期退職などの発表で、「従業員には誠心誠意のサポートをします。」みたいなプレスリリースがありますが、もし、僕みたいな捻くれた人間が解釈すれば、法律を満たしたいだけなのに、それを「誠心誠意のサポート」と、都合よくトランスフォームして、なんか良い人ぶるなよ。と、思ってしまいます。
従業員がこんな法律どうせ知らないだろうと、鷹を括って、あたかも会社側が積極的に、親身になって支援するみたいな態度をとっているのでは? つまり、無知な従業員をバカにしている。みたいに思ってしまうことも可能です。
それはアメリカから始まった
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再就職支援という制度そのものは、アメリカが発祥です。チャレンジャーグレイというアメリカの弁護士さんが始めたのです。
これはもちろん、純粋な支援の目的で、そういう崇高なミッションの下に始まったものです。もちろん、法律なんかありませんでした。
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1962年に、世界初の再就職支援事業を始めた会社は、Challenger, Gray & Christmas, Inc. なのです。
この会社、日本法人もかつて、ありました。チャレンジャーグレイクリスマス株式会社。ここの方とはよく連携した覚えがあります。とても良い人達でした。
この再就職支援はアメリカでも一般的になりました。また、よくアメリカで雇用統計などが発表されると、その失業率云々のトレンドなどについて、よくCNNとかで、チャレンジャーグレイクリスマスの役員とかが出てきて解説したりしました。
本当に、必ず出てきました。
その後、アメリカを中心にこの再就職支援、アウトプレースメントと言いますが、そのビジネスに参入する企業も相次ぎました。
例えば、今はManPowerGroupに買収されましたが、かつてのRight Managementなどです。
日本では
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さて、再就職支援、outplacementという概念がアメリカから始まったことはお分かりいただけたかと思いますが、日本ではどんな広がりを見せているのでしょうか。
かつて、チャレンジャーグレイクリスマスの日本法人もありましたがおそらく撤退しております。また、ライトマネジメントはマンパワージャパンとして存続しております。
チャレンジャーグレイクリスマスは、とても良い会社です。
その後、主に人材系の企業が、再就職支援部門を立ち上げました。なぜかといえば、分かりませんが、きっと儲かるから、あるいは儲かると思っているから、だと思います。
人材系の企業とは、人材派遣業、人材紹介業がメインです。殊更、outplacementの事業部を広げているのは、大手が多いです。
マンパワー、アデコ(リー・ヘクト・ハリソン)、リクルート、パソナなどなどです。
僕が今まで在籍したような、いわゆるブティックファームには、そういうサービスはありません。
そして、日本での再就職支援の内容は、こんな感じになっています。
- 早期退職が発令された時の全体の面談を丸々請け負う。
- 会社側がスケジュールするので、みんなとりあえず出ます。本当は出なくても良いのですが、みんな前述してきた内容なんて知らないので、まるで仕事のミーティングにでも出るかのように出ます。業者も、そんな雰囲気を作ります。
- 個別の面談
- 履歴書、職務経歴書の書き方
- 面接の受け方
- マインドセット
- 落ち込んでいる方へのケア
- 会社に恨みを持っている人へのケア
上記が、大体の日本での再就職支援業者のやることです。
「再就職支援」という業務においては、これで完結するのです。これで、もう、企業側からサービス料をもらっているのです。
ですので、所謂、次の仕事や就職先を見つけてくれる「エージェント」ではないのです。
もちろん、転職先を見つけるという名目で入ります。ですので、転職先を紹介したりはします。中には、次が見つかるまでサポートするというサービスもあります。
次を見つける気がないかもしれない支援業者
次が見つからなくても「支援」をすれば、フィーは発生するのです。契約によって、次が見つかるまでサポートと言っても、実際に見つかればフィーが多めになり、見つからなければゼロにはならないので、そこまで必死に見つける必要がないのです。それが支援業務です。
そこで、純粋な支援業務であれば、例えば、エージェント各社にヘルプを求めたりするのです。これが、前述した、僕も提携したことがある。という意味です。つまり、アウトプレースメントの企業が、相談を受けている人々にポジションがないか、エージェントに助けを求めるということです。
なぜ、外部のエージェントに助けを求めるのか? 理由は、もうフィーが発生していて、必ずしも自分達で次の就職先を見つけて上げなくても良いからです。
再就職支援業務(アウトプレースメント)は、成果報酬ではないのです。
プロセス報酬なので、サポートをすることによって、結果はどうあれ、絶対に報酬がもらえる仕組みなのです。ですので、その人の次が見つかる、見つからないは、実際そこまでのモチベーションがないのです。
一方で、転職エージェントは成果報酬ですので、その人の次を見つけることには必死になります。逆にいえば、見込みがなさそうな人には手薄になる可能性もありますけど。。。
人材ビジネスの多角化で、囲い込み
最近というか、数年前から、人材ビジネスも多角化する企業が増えています。特に大手です。
例えば、人材紹介、人材派遣、そして再就職支援の部署もあるような企業です。
こういう企業は、部門は違うけど、例えば再就職支援に来た人を紹介部門に流したりもしているのでは?と思います。
こうなると、流れるプールみたいになります。
人材ビジネスなんて知ったこっちゃないリストラされる従業員
→ 会社の言われるがままに会社に常駐している支援業者の支援を受ける
→ そのまま言われるがままに紹介部門に流される
→ 紹介を受ける
こうなると、外部のエージェントがコンタクトしても、その人はすでに、支援業者の紹介部門から各企業に応募済みだったりするのです。
それで次が決まれば、ハッピーですけど、もしかしたら別のエージェントにしておいた方がよかった。という事も十分に考えられます。
よくよく考えれば、
そもそも、会社が用意した支援業者の支援なんて、受けなくてもよかったのかもしれない、、
と思い始めたりします。
なぜかといえば、支援業者の会う人会う人、全て単なる担当者で、担当業務をこなしているだけで、そんな人がエージェントとして力があるなんて、とても思えないからです。
でも、それに気づいた後で、評判の良いエージェントにコンタクトしても、すでに各社に応募してNG済みだったりすると、もう応募はできません。もしかしたら、評判の良いエージェントに最初からコンタクトしていれば、NGの企業からもオファーが出ていたかもしれません。
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