ブタの腎臓を移植したスレイマンさん、退院する

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遺伝子改変した豚の腎臓移植

に成功したというニュースは、先月、3月16日にボストンから世界に発信されました。日本人医師のTatsuo Kawai先生による執刀です。もちろん、チームでの成功だと思いますが。先月、記者会見で、「今まで見た腎臓で一番綺麗な腎臓だった」と、先生が感想を言っていたのが印象に残ります。

患者さんのスレイマンさんは、経過順調で、なんと、4月4日に退院されたとのことです。

Xに、スレイマンさんの元気な姿と、河合達郎先生も写真に載っていますね。

ブタの腎臓移植を受けた男性が退院、経過良好。

今回執刀された河合達郎先生のコラムが10年以上前に、日経メディカルに連載されていました。まさに、熱いお人柄が浮き彫りになるようなストーリーです。

BBCには、別の写真も載せてあります。

スレイマンさんが透析無しで、平穏な日々を送れることを、心から祈ります。スレイマンさんは、今回のオペを決意したきっかけを、今後の腎臓移植治療に役立てたいと、おっしゃっているのを、3月の報道で拝見しました。

それにしても、なんで、日本でもっと大々的に報道しないのだろう?と思ってしまいます。なんか、事情でもあるのでしょうか?

河合達郎先生は透析医療の必要が無くなる可能性にも言及されていたかと思います。これは、サラッと流れていますが、ものすごくインパクトの大きなことだと思います。

透析大国日本

日本で透析にかかる医療費は、年間1兆6000億円に上ると推計されており、総医療費の4%を占める。少子高齢化が進む中で、透析患者が増え続ければ、社会保障の財政運営が一段と厳しくなる懸念もある。

https://bit.ly/3h5DSg9

世界の透析

世界の透析市場規模は2021年に97315.74百万米ドルであり、2030年までに174446.7 百万米ドルに達すると予測されており、2022年から2030年までの予測期間中に6.70%の複合年間成長率(CAGR)で成長します.

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000091008.html

増え続ける理由は、高血圧、糖尿病、高齢化社会というところですよね。日本にも昔から透析専門施設がたくさんありますよね。

透析患者ランキングでは、台湾が1位で、日本が2位とのことです。すごいですよね。

で、もしも、透析医療の必要がなくなったら、このマーケットが消えるとなれば、これもまたかなりのインパクトです。

設備投資をした先生とか、大変なことになりそうですよね。それから思い浮かぶのは、バクスターとかの企業はどうなっちゃうのか?ですよね。知る人ぞ知る日本の上場企業、日機装株式会社とか、川澄とかも、業界の人は知っていますよね。あと、扶桑とか。

もちろん、透析が無くなった方が、世の中の人々のQOLは爆上がりするし、その方が良いに決まっています。

決まっている?というのは、僕個人の感想ですが、僕個人は、透析は無くなって欲しいと思っています。

インパクトが大きい経済問題はどうしましょうか。

よくわかりませんが、企業は別の方向に進むべきかと思っています。

例えば、今回、遺伝子改変した豚の腎臓を提供した、eGenesis社のようなビジネスに舵を切ったら良いのではないでしょうか。

https://egenesisbio.com

eGenesisが、たまたま明治大学のベンチャー企業とコラボしていたプレスがありまして、そこに載っている企業紹介です。

実は、明治大学のベンチャーが、eGenisisが開発した遺伝子改変した豚を育てていて、子供が産まれたそうです。そもそも、明治大学というところで、意外です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240213/k10014356111000.html

eGenesis社について


ヒトに移植可能なブタの臓器や細胞の開発と異種移植医療へ供給を⽬指す先駆的ベンチャー企業です。遺伝⼦⼯学技術を駆使して構築されたeGenesis Genome Engineering and Production(EGEN™) Platformにより、異種移植における拒絶反応の原因となる、ヒトとブタとの間の分⼦不適合性や、ブタ内在性レトロウイルスの感染リスクに対する解決策を提供します。ヒトに移植可能なHuCo™臓器の有効性を前臨床試験で実証し、急性肝不全治療、腎移植、成⼈および⼩児の⼼臓移植などの開発プログラムを進めています。

https://release.nikkei.co.jp/attach/668305/01_202402131058.pdf

なにしろ、この、2030年までに174446.7 百万米ドル規模の透析ビジネスが、無くなる可能性があるので、早急な路線変更が必要になるだろうな、というのが素人ながらの感想です。

eGenesisはウェブを見ると、遺伝子改変した、豚の他の臓器も開発していますね。これから、どんどん注目されるかと思います。

倫理の問題とか

ただ、日本ではどうでしょうね。まず倫理の問題とかあるのではないでしょうか。まず、この問題がある限り、なかなか進まないですよね。

ですので、日本人の先生も、海外に出て行くんでしょうね。ちなみに、このマサチューセッツ病院のウェブを見たら、たくさんの日本人医師が活躍していて、びっくりしました。

豚の臓器移植について、厚労省の見解があるので、一応貼っておきます。それほど長くはないので、読もうと思えば、読めます。結論から言うと、「大丈夫じゃね?」とも思います。

「遺伝子改変を行った異種臓器の移植に関する課題や論点等の整理のための調
査研究」(22CA2023)
― 遺伝子改変された異種(臓器)移植用臓器の開発におけるリスク要因の整理と薬
機法下のレギュラトリーパスを含めた課題
研究代表者 山口 照英 金沢工業大学
加齢医工学先端技術研究所 所長/特任教授
令和5(2023)年 5月

何はともあれ、患者さんにとっては素晴らしいニュースなのです。

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今回はなんとなく、よもやま話的な回になってしまいました。よもやま話ついでに言うと、実はネタがかなり溜まっています。

引き続き、こう言うタッチでもお届けできればと思います。

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◆美容外科系MR、7月入社(東京、大阪、名古屋、福岡)
◆外資系免疫領域 免疫系件不問 

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