社員紹介の続き

こんにちは。GWということもありますので、アクセスも減っていますので、こういうときにはとりとめない話します。

あるスタートアップの会社があるとします。ていうか、あります。

業界はリストラの昨今ですから、そういう会社に注目が集まるのは当然です。そういう会社で立ち上げのMR、しかもバイオやオーファンを扱う会社だったら、今の時代、応募が殺到するでしょう。

本社がたちあがり、社長が決まり、最初は経理とか薬事とかが決まります。

で、採用担当者ですけど、おそらく、製薬業界で「採用の専門職」という人はごく僅かです。ですので、採用業務が一般的にあるIT業界や金融業界からそういう人がやってきます。

当面業界知識はなくても、知識は後からキャッチアップできる。とりあえず、目の前にある採用業務をしてほしいという趣旨です。

業界知識は確かに後からキャッチアップできますが、結構時間かかりますよね。製薬業界の人材の目利きをできるようになるには。

営業部隊に至っては、まず事業部長が決まります。これはまあ、幹部とかとの関わりだと思います。

マネージャー、そしてMRの採用になると、採用担当者が面接をすることになります。

また、このご時世なので、採用手法として、社員紹介をメインにして、エージェントはごく一部の活用にすると思います。

社員紹介の手順としては、事業部長が連れてきた営業幹部がまず、古巣の会社などから人を引っ張るでしょう。

そのあと引っ張られた人が芋づる式にまた誰かに声を掛ける。これが社員紹介です。

Monkeys
Andrew Wilkinson

社員紹介でも一応人事の面接はしますが、もうお約束ごとでしょう。

次にエージェント活用ですけど、まずエージェント選びからはじまります。金融業界やIT業界から来た採用担当者は、医薬品に特化したリクルーターなんて知りません。仮にそういう人を見つけたとしても、個人でやってるおじさんとか、聞いたこともない会社とかですし、コンタクトをするのに二の足を踏みます。

そこで無難に大手の、よく知られた人材紹介会社に連絡をすると思います。エージェントを数多く使う予定は元々ないので、その大手数社にコンタクトしておわりです。大手エージェントでも、担当者はだれだかわかりません。担当者の評判までは気にしないということになるかと思います。ある有名な会社に居る人なら、それなりのレベルのクオリティがあるだろうという判断です。ところが、リクルーターって企業よりも人ですよね。。。。。

スタートアップ、オーファン、バイオ、オンコみたいな企業が、もし日本に上陸して、新たに日本でスタートアップ人材を探すなんて言ったら、このリストラのご時世ですので応募者が殺到します。

一応、採用担当者は、座学で勉強し、ある程度のクライテリアを持って殺到した書類選考します。

・大学病院を担当している
・数字を達成している
・KOLを担当している
・部下を指導している

などなどなど、言われたままで書類選考に入ります。

"The problem with cats is that they get the exact same look on their face whether they see a moth or an axe-murderer."  Paula Poundstone  ~ Explore # 494

たとえば、MRである製品の売上が社内ランキングが1位とか、2位の人が居たとします。レジュメにそう書いてあります。

でもその人はたまたま患者の多い病院を担当していただけかもしれませんし、大口先で競合先とのドラフトでたまたま自社製品採用になった病院を担当していただけかもしれません。

逆にガタンと数字が減っていて、色々理由がある場合もあります。たとえば病院の閉院ですとか、営業所内での担当替えとか。優秀でも数字が減ります。

その数字がたまたまなのか、優秀だからなのか、サボったからなのかは、わからないです。業界出身でも見ただけではわかりません。

ただ業界出身者なら、質問することはできます。その数字の背景や、担当するはいけいなど、「何故」その数字を作れたのか、努力なのか、たまたまなのかを質問によって判断することができます。

その質問の答に、業界出身なら騙されることはありません。

業界出身ではなくても質問できますが、おそらくその質問は「これは努力ですか、たまたまですか?」みたいな聞き方になるかと思います。

トークの上手いMRだったら、こんな質問赤子の手をひねるより簡単に返します。

これでは真意はつかめません。簡単に騙されてしまいます。

努力なくても、数字が達成する事があるということを、他業界から来た採用担当者は見抜けません。

ランキング上位という事実しかわかりません。

たとえば、大学病院を担当していても、その地域にそもそも担当MRが1人か2人の部署とかありますよね。大手に居ても。製品によって。

例えばですが、3000人規模のMRが居る会社があったとして、その会社の昔からある専門薬の部署で、1科しか担当しなくて、全社で50人しか居ない部署とかがあります。

その50人のMRはほぼ全員大学を担当します。大学もへったくりも何もありません。担当エリアにある医療施設はすべて担当です。ぶっちゃけ、新宿区を担当すれば、慶応、東京医大、女子医大を担当します。笑 

それは流石にに分担するとは思いますが、完全エリアの担当とか、あるんですよね。

それでも、その大手A社で大学病院担当ということになります。

鹿児島県を1人で担当しているMRが、鹿児島大学病院を担当するのは、大学担当者というよりも、その地域にそのMRしか居ないからです。それでも、他業界から来た採用担当者にとっては、「大学担当者」というクライテリアをパスします。

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たまたま鹿児島を例に出しましたが、別に他意はありません。これから例に出す病院も他意はありません。ただの例です。

例えばですが、他意はありませんが、秋田大学病院の担当者と、大学ではないけれど済生会中央病院とか、虎の門病院とかの担当者が来たとします。
秋田大学病院担当者→大学担当者
済生会中央、虎の門病院担当者→基幹病院担当者

ということになりますね。

もし、「大学担当経験者のみ採用する」としばりがあった場合、他業界から来た採用担当者の目には、たまたま秋田に居て秋田大学を担当していたMRを書類選考で通します。

そして業績が評価されて虎の門病院の担当者になっていた人を書類で落とす可能性があります。

業績で見てみましょう。優秀なMRはKOLの担当になりますよね。

ところが、本当のKOL、もう本社とやりとりしているようなKOLは実際薬なんか使いませんよ。だから担当MRの数字は悪くなります。東大の医科研なんか担当したら、KOL中のKOL担当だけど、数字は最悪です。

実際に、一番薬を使う先生は、KOLのちょっと下で、地域の連携先の大きな病院の部長とかです。

たとえば、リウマチの薬で考えましょう。○○県の大学病院の教授自身はそんなに薬は使いませんが、○○県中央病院のリウマチセンターの部長はめっちゃ薬使います。

優秀なMRは、大学病院担当になりKOL対策をすることになりましたが、数字は落ちました。たまたま中央病院リウマチセンターを偶然担当することになった普通のMRのほうが数字が良くなりました。

こんなことは、業界にいれば誰でもわかることです。あるあるです。

それでも、もし他業界から来た採用担当者が「数字」でみた場合、その優秀なMRは、「数字を落としてしまったMR」になるかと思います。

たまたま患者数が莫大で、たまたま先生が勝手にたくさん使った病院担当の普通のMRの方を書類で通すかもしれません。

12年この仕事をしていて、こういうような例を何百人も見てきました。

そんなことないかと思うかもしれませんが、本当にあります。というか、ありました。

「採用担当者」を採用するときには、他業界からいきなり連れてこないほうがよいかと思います。

元々他業界出身であっても、既に製薬業界に数年いる人が良いかと。

残念なことに、もともと製薬業界に居て、製薬業界で最初から採用担当していましたという人はほぼいません。これも問題なのです。

たとえば、IT企業で「採用の責任者」なんて言ったら、ある意味花形職種です。ものすごい権限がその人にあり、給料も高いです。レポートラインはJapanの社長と海外のJapan担当者になるかと思います。

製薬企業においては、「採用の責任者」でも、残念ながら、Japanの人事部長にレポートする、数あるポジション(労務、研修、給与など)の中の一つでしかありません。

製薬企業の採用担当者がステップアップするには、ジェネラリストになり、人事部長をめざすのが一般的です。

IT企業なら、別に採用担当だけで登ることができます。

ですので、そもそも製薬業界は、採用担当者の地位をもっともっと上げたほうがよいのかと常日頃思うところであります。そのためには、製薬業界で育てなければなりませんが、もう長年変わっていませんし、カルチャーがそもそも違うので難しいかもしれません。

製薬業界で、採用担当者を育てるのが難しくても、だからといって、例えば昨日まで他業界に居た人を、いきなりオンコロジー部門の採用担当などにしないほうがよいかと思います。昨日まで英会話学校の先生だった外国人を、いきなりクリニカル部門の採用担当などにしないほうがよいかと思います。

そして社員紹介についてです。

昨今、業界はリストラばかりで、募集案件は少ないです。そんな中で、例えばオーファン、バイオ、スタートアップ・・・・そのような美味しい話があるとしたら、応募者が殺到します。

社員紹介システムを採用するので、採用企業側の立場の人は、人事権的なものを得てしまいます。その権限は意外と大きいです。

元々営業やMR畑の人が、人を採用する権限を得てしまう。その人の人生を左右しかねない、大変なことです、採用の権限というのは。

営業、MR業務などなどでは専門家ですが、そういう人が人材コンピテンシーを観る
のは難しいです。

明るくて社交的なバカとかを採ってしまった
見た目がちょっとあれなので落としたけど、実はめっちゃ優秀なMRだった
ジャニーズみたいなルックスで高感度で採ったけど、めっちゃ怠け者
ただの酒飲み友達に頼み込まれて断れないので、採っちゃった
なんかバカっぽいので落としたけど、実はめっちゃ頭良い

Handsome young businessman showing OK gesture in modern office. Colleagues in the background.

こういう失敗はあるあるです。仕方ありません。採用業務にそもそも専門性がある事自体知らないわけですから。

こういうのにとらわれずに、鋭くコンピテンシーを見なければならないのです。採用は本当に専門職なのです。人材は本当に難しいのです。

「あの人は優秀」
「良い人」
「知ってる」

みたいなことで、人を集めるでしょう。まあ、だいたい大きな失敗は無いです。採用側にいる人が、大きな大きな権限を持ってしまっています。応募する側は、その人に「お世話になった」ということになります。

採用側「俺が引っ張った」
応募側「お世話になった」

採用側の人は、応募者が入社後に良い仕事をしたときに、
「な、な、俺の言ったとおりだろ。あいつは優秀なのは知ってた。あいつは俺が引っ張った」
みたいなことをドヤ顔でいうでしょう。

応募側の人は、なにかあるたびに
「おせわになりました」
みたいなことを思い続けなければならないのでしょうか。

そんなの嫌ですよね。

そして知り合いがたくさん集まり、徒党を組むようになるのです。それも嫌ですよね。

まあ、どこにも正解はないのかもしれませんが、避けることができることは、とりあえず幾つかありそうです。

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