全てフィクションで、創作ということに、しておきます。創作です。
次の日、外来に来いと言うので、医院に訪問したら傍に置いてあった長い物を指さして、「これ、中確かめてないけど、日本刀らしいんだけど、お前、持って帰ってくれよ。」と、言われたので、「無理です」と答えた。
「これ、本物だったら、ヤバいやつだよな」と、先生が言うので、「ヤバいやつです。」と答えて、「もし僕が営業車にそれ積んでたら、逮捕されます。」と答えた。
「マジかよ、お前、やべーな。でも、まだ中見てねえから。確かめてないし。中見るのやめておくか。」と、先生が言うので、「やめといた方が良いかもしれません。」と、答えて、ちなみに、そもそもその刀のようなものはどこからきたのか?と尋ねたら、
午前中に、そのあたり周辺を締めているその筋の方が診察に来たらしく、
「いやあ、何だか、検査とかしたんだけどよ、お礼に置いていったんだよ。」
とのことだった。つまり、お礼に差し出され、断ることもできずに、そのまま置いてあるとのこと。なんかやな感じがするので、その場を去ろうとしたら、
「お前さあ、実は、このおやっさんに夜誘われてるんだよ。お前も来るって言ってあるから。」と、衝撃的なことを先生が言った。
「いや、ちょっと、今日は。」
と断ろうとしたけど、先生に懇願されたので、一緒に行く事になった。
夕方に医院に来たら、目の前にポルシェのツーシーターのスポーツタイプのオープンカーが泊まっていた。もうすでに「おやっさん」は来ているらしい。中に入ると、エビちゃんみたいなモデル風の女と、演歌歌手みたいなおっさん、(それがおやっさん)と、先生が居た。
おやっさんに挨拶すると、「お前はいい男だな。こいつと付き合え」と、言われた。こいつと言うのは、エビちゃん似のモデル風の女で、おやっさんの彼女。
適当に、その場を誤魔化すと、程なく、じゃあ、行こうか! と言う話になった。
「兄ちゃん、運転してくれよな」
と、おやっさんに言われた。運転というのはもちろん、そのポルシェのオープンカーだけど、2人乗りである。
左ハンドルの席に僕が座って、女が僕の横に、片足を僕の膝の上に絡ませて、シートから半身になり胸をこちらに密着させて乗り、その横におやっさんが座り、右の端っこに先生が無理矢理ケツをねじ込んで、まるで刺身みたいにして4人がツーシーターのポルシェに乗った。
そこは、恵比寿と渋谷の間くらいの交差点。そこから、銀座方面に運転した。ポルシェの運転も初めてだし、そもそも4人も乗って、そんな都会の真ん中で。僕はビクビクしていたけど、なぜか警察に止められなかった。周囲の人々からガン見されながら、銀座方面に運転した。先生、おやっさん、女は「ヒューヒュー」言いながら、終始ご機嫌だった。
アクセルとブレーキを斜めになりながら踏み込み、渋谷から246、はるみ通りに出て銀座まで来た。その間、明らかに変な4人である。
「ああ、俺はもう、会社クビになるかもしれない」と、薄々感じていた。
街ゆく人々にガン見されながら、みゆき通りの7丁目あたりのクラブ街に停めた。思いっきり路駐であるが、道路の停めて、そのまま、クラブの入った建物に4人で入っていた。
おやっさんに、「お前はいい男だ。この女と結婚しろ」と言われた。
・・・もしかして、俺、ヤバい状況に居る?
と、その時に思った。平日の20時頃だった。
つづく
予告: その刀のようなものは、ある不動産屋のおやっさんがひきつぐ事になるが・・・