昔と今とでは、MR採用の手法は変わってきております。
採用と言ってもすごく複雑です。社長や役員を採用する場合、ダイレクター、シニアマネージャーを採用する場合、専門性の高い職種を採用する場合、営業など新しい部署の大量採用の場合、すでにできあがった組織の欠員を採用する場合などなどで、全然手法が違うのです。
さらに、時代と共に変わってきている側面もあります。上記の同じ採用でも、昔と今とでは方法が違う場合もあります。
ここでは、早速本題の「最近のMR大量採用の手順」について、大まかに紹介します。
最近のMR大量採用のプロセス
- 母集団形成
- 採用目標数の3倍は欲しいところです。100人採用プロジェクトならこの時点で少なくて300人になります。
- 書類選考
- おおまかなコンピテンシーを決めて、特にNGを選出してリリースします。
- 一次面接
- MRの場合、特徴的ですがこの時点で目標数に結構近くなります。そして候補者全体のレベルの把握をします。
- 二次面接
- 厳しめです。情熱ややる気みたいなところも見ます。目標数を下回っても落とす人は落とすスタンスです。
- 内定通知
- 条件のすり合わせのためのオファー面談がある場合もあります。時に、候補者が辞退することも想定します。
- 入社
プロセスは本当に大まかに言うと、上記のようになります。母集団は、採用目標の3倍は欲しいと思います。つまり、100人の採用ターゲットなら、母集団目標は少なくても300人になります。
最近のMRの大量採用の手法
プロセスはざっくりと前述しておりますが、では、その方法に関しては、昔と今ではだいぶ違ってきています。大きな違いは、エージェント丸投げから、自力で採用する方法に変化しつつあることです。
- 昔の手法:エージェントに丸投げ
- 採用人数を全てエージェントに丸投げします。母集団形成もエージェント経由で集まった候補者で作ります。マッチしない人ばかり送ってくるエージェントは淘汰されます。そのために、エージェントをいくつか絞って、信頼関係の下に活用します。
- 面接調整など、候補者側とのコミュニケーションはエージェントが行います。
- 営業、MRではあまり発生しませんが、交渉もエージェントがやります。
- 重要なポジションや、難しいポジションを埋めると、エージェントの株が上がります。
- 重要なポジションや、難しいポジションを埋めると、エージェントの株が上がります。
- 厳密に言えば、WEBからの応募などもあるので、完全丸投げとは言えません。
- 問題点
- 採用コストがものすごくかかります。それでも、昔はそのコストも計上できたのかと思います。特に厳しいことを指摘するような環境でもなかったのかと思います。
- 採用専門職の不在:製薬会社には、採用を専門とするプロフェッショナルが不在でした。IT企業にはTAという専門職がありますが、製薬会社にはありませんでした。したがって、人事部のジェネラリストが採用業務を兼務することになるのですが、兼務するには、あまりにも採用の仕事量が多くて大変なことになっていました。
- 採用コストがものすごくかかります。それでも、昔はそのコストも計上できたのかと思います。特に厳しいことを指摘するような環境でもなかったのかと思います。
- 採用人数を全てエージェントに丸投げします。母集団形成もエージェント経由で集まった候補者で作ります。マッチしない人ばかり送ってくるエージェントは淘汰されます。そのために、エージェントをいくつか絞って、信頼関係の下に活用します。
- 最近の手法:自社リソースよる採用活動
- 採用担当者の採用:最近ですけど、製薬各社、人事のジェネラリストとは別個に、採用の専門職を採用するようになってきました。大きな所ではプロパー社員として存在します。多くはRPOと呼ばれるアウトソースを活用する場合も多いです。
自社採用した採用担当者によって、プロセスが行われます。
・母集団形成
・書類選考
・一次面接アレンジ
・二次面接アレンジ
・内定通知
・入社
- 社員紹介制度の施行:1人採用するのにエージェントに紹介料をかけるよりも、大幅な予算の削減が可能になります。もちろん、紹介してくれた社員には褒賞を支払いますが、エージェントに対する紹介料に比べたら、だいぶ安いですから。さらに、初期スクリーニングの手間が省けます。元々その社員が、候補者の過去の仕事ぶりを知っているわけですので、その情報がスクリーニングになります。
- ダイレクトソーシング:転職サイトに登録している候補者を直接スカウトします。転職サイトには規定に従った料金を払いますが、これもエージェントからの紹介料よりは安いです。
- 一部エージェントの活用:どうしても採りきれない事態が起こるのです。MRの場合、例えば勤務地の問題が出てきます。難しい勤務地は、旭川、北東北、山陰、四国です。どうしても候補者がいない時に、エージェントに依頼をかけます。
- 問題点
- 製薬独特の業界風習や、専門用語の多さと理解不足。採用専門職が不在で、なおかつRPO採用の前例がなかった頃は、他業界の採用業務経験者を採用しました。これは今でもその傾向はあります。理由は、製薬業界にただ採用を専門としたキャリア形成をしてきた人材がほぼゼロだからかと思います。別業界から来た方は、どんなに採用業務の経験があったとしても、まず専門用語でアレルギーを起こしてしまう場合が多発しました。「オンコロジーって何?」みたいなところからの出発です。もちろん、知識がなければ補えば良いだけのことなので、覚えて仕舞えばさほど大きな問題にもならないのですが、出だしでビビってしまうと、色々な問題が勃発します。難しい問題で、では製薬にどっぷり使ってる人だったら良いという訳でも無いです。
- 採用担当者の地位が低いのでは?:製薬独特ですけど、特にMRの採用の場合、営業部門のバリバリのMRの部長などが居たりしまして、採用担当者を下に見る傾向があったりします。今時そんなの無いと思いますが、中身では渦巻いております。ちなみに、IT企業などでは、採用部門って、結構花形の部署だったりするのですが、製薬ではなんだか、「担当者」というか、「ヘルパー」みたいな扱いを受けている雰囲気が否めません。それだけ歴史が無かったのかと思います。
- RPOにやる気がない? 元々自分の会社でもないですし。クライアントに常駐している状態なので、何か意見があっても、提案はすれど、まさかクライアントと議論はしないでしょうから、なんか、業務をそつなく、問題なくこなす事がRPOの最大のミッションになっています。企業にとってものすごく大事な採用ですが、そもそもその大切な業務がアウトソースされているのです。
- 社員紹介制度は良い面もありますが、弊害もあります。それは、お友達採用になってしまう事です。MRって、結構ウェットなリレイションシップですよね。助けたり助けられたり。お世話になるとかならないとか。この関係で、お世話するとか、お世話になるみたいな状況が生まれます。コンピテンシーとは関係のない、飲み仲間とか、ゴルフ仲間とかの繋がりの中で、社員紹介が行われることが頻発しています。社員紹介であれど、面接もありますが、ここでも、RPO担当者でMR経験もなければ、製薬業医会そのものに携わったのが1ヶ月前からという状況のRPO担当者に、紹介者のMRが言うことを覆すことなんて到底無理な話です。もちろんお友達採用にならないように、最近は色々ハードルも課していますが、まだまだあると思います。
- 採用担当者の能力:実際に良い人材なのかどうか? IT企業なら色々と可視化できるスキルも多いので、それに従う事ができます。製薬のMRの能力を見極めるのはかなり難しいです。覚えることもたくさんあります。「大学病院担当者」を採用という場合でも、分院か本院かの区別なんてつけられないだろうし、「リウマチの薬」経験者を選べと言われても、就任1ヶ月でその前は例えばアパレル業界の採用に携わっていたというような担当者には、それがバイオ製剤かどうかなんかもわからないと思います。
- 製薬独特の業界風習や、専門用語の多さと理解不足。採用専門職が不在で、なおかつRPO採用の前例がなかった頃は、他業界の採用業務経験者を採用しました。これは今でもその傾向はあります。理由は、製薬業界にただ採用を専門としたキャリア形成をしてきた人材がほぼゼロだからかと思います。別業界から来た方は、どんなに採用業務の経験があったとしても、まず専門用語でアレルギーを起こしてしまう場合が多発しました。「オンコロジーって何?」みたいなところからの出発です。もちろん、知識がなければ補えば良いだけのことなので、覚えて仕舞えばさほど大きな問題にもならないのですが、出だしでビビってしまうと、色々な問題が勃発します。難しい問題で、では製薬にどっぷり使ってる人だったら良いという訳でも無いです。
- 採用担当者の採用:最近ですけど、製薬各社、人事のジェネラリストとは別個に、採用の専門職を採用するようになってきました。大きな所ではプロパー社員として存在します。多くはRPOと呼ばれるアウトソースを活用する場合も多いです。
上記問題点ですが、控えめに書いてこの量になってしまいました。見にくくてすみません。問題点は、別記事にした方が良いのかなと思っております。後日別記事にします。
あとできっちりやります。
最近のMRの大量採用において、候補者が注意すること
エージェントを使っているのか、使っていないのか? を知る。
例えばその企業のwebに大々的に応募のページがある場合は、まずエージェントを使っていません。基本的にはです。
基本的にはと言う意味は、すごく強いエージェントがいた場合、コンフィデンシャルで例外的にクライアント企業から依頼される場合もあるでしょう。
エージェントの言うことを、鵜呑みにしないでください。
エージェントを使っていないのに、「募集しています」と言うエージェントがいます。なぜそんなことをするのかといえば、候補者を投げて、営業活動をしたいのかと思います。
コロナ禍と、そもそものMRの削減で、エージェントのビジネスはキツくなっています。そんな背景があるからこそ、なんとかビジネスに繋げたいと画策しているエージェントが居るのです。
採用企業が、エージェントを使わない方針ということを、承知しながらも、なんとか営業をかけようと目論んでいたりします。
例えば、履歴書、職務経歴書の名前を伏せて、「こんな候補者が、弊社に登録していて、御社に興味を持っています。お会いしませんか?」みたいな感じで営業をかけたいのかと思います。
ただ、候補者にとっては、そんなの全く知らされないことですし、そんな事情は1ミリも興味がないことです。とにかくその会社を受けて採用されたいと思っているだけですから。
そういう意味でも、この採用パターンがどうなっているのか、俯瞰してください。そうすれば、エージェントの言うことにも懐疑的な洞察を持てるようになります。
エージェントと不毛なやり取りをしていると、直接応募でどんどんポジションが埋まりますよ。
もし、エージェントさんにおんぶに抱っこで任せっきりにしていると、その採用企業がエージェントにオープンした頃には、自分の希望とはかけ離れた勤務地とかしか選択肢がなくなっていたりします。
もちろん、MRの方々は、そんな内部の事情なんて知らないわけですよね。
でしたら、僕に連絡ください。
第三者の意見で、的確なアドバイスをします。