MRという職業は無くならないです。
ていうか、無くなっていません。
なくなりませんでした。
筆者は1992年に現役で新卒でMRになりました。その時の、10年先輩から言われた言葉を思い出します。その時、資格試験はまだありませんでしたが、プロパーではなくMRと呼ばれていました。ちなみに、某外資系は、ディテールマンとか、Dマンとか言っていたこともあります。まるで「ウルトラ兄弟物語」ですね。帰ってきたウルトラマンは、「新マン」と呼ばれていました。知る人ぞ知るです。世代がバレます。
そういえば、バイオジェンとか、ああいうバイオ系の企業もMRではなくて、何か違う名前で呼んでましたよね。まあ、それは良いとして。。。
1992年にはすでにMRと呼ばれていたのです。
そこで、先輩は僕に対して、
「まあ、お前、こんなMRになったのは、良いけど、もうこんな仕事10年以上前から必要ないし、そのうち消滅するからな。。。」
という歓迎の言葉をいただきました。ww
「マジっすか?」
と僕が聞き返したら、先輩はそれに対して、もうまるでその会話を続けることさえ面倒くさいという雰囲気を醸し出し、ただ僕に一瞥をくれながら、徐につぶやいたことは、
「キャスターマイルド買ってきて。」
でした。そして僕はパシリをしにタバコの自販機へと向かうのでした。オフィスのデスクには、パソコンもありません。携帯電話もありません。読まないで積んである文献の山、ボタンがいっぱいついている白い電話機と、ブリキ製の灰皿が置いてあるだけでした。
「おい、***病院連れてってくれ」
と、僕にぶっきらぼうに声かけたのは、営業所長です。自分の車運転するのが面倒で、僕が運転して所長の担当先に連れて行っていました。笑
こんな時代があったのですよ。
メールもない、インターネットもない、携帯電話も無い時代でした。室内でタバコ吸っていました。
今思い返すと、1992年時点で先輩が、10年前からこんなMRみたいな仕事は必要ないと言っているということは、少なくとも1982年頃から不要論のようなことが言われていたということになります。
そして、近年ももちろん、不要論的なことは言われ続けています。
今後MRは少数になり、そして専門化する、さらには役割が変わる
ところが、MRは現実として存在します。
1982年から40年が経過しているのです。
無くなると言われ続けて、不要と言われ続けて40年という状況証拠が厳然として存在しています。
だからこれから先も無くならないです。
確かに数は減った。
これからも減る。
さらに専門化して、そしてMRの役割そのものが変わると思います。
そんなの、僕に言われなくてもわかってますよね。
コール回数がどうのこうのとか、SOV云々というような役割は終わりました。仮にそのコールが存在するとしても、ただ「眠くなりません」とか、「1日1回です」みたいな単純なコールではすでに無くなりました。
そして、業界には、MSLやメディカルアフェアーズ、さらにKAMといった新職種も登場し、クリニカルサイドとコマーシャルサイドの間にあるような職種が増えました。
それでも、MRは、医師と接する重要な役割であることは変わりはないのです。
情報量は多くなり
MRの人数は減り
専門性が高くなりました。
以前は、1MRがその会社の全ての製品について担当していましたが、今では、領域に分かれました。オンコロジーやCNS、バイオなど、ドクターとより専門性の高いコミュニケーションをすることになったのです。
Covidが更なる変化をもたらした
「もう、必要な情報自分で得ることできるから、MRさん、別に来なくていいよ。」
と、若手の医師は言うと思います。
Covidによって、、、、
コミュニケーションがさらに進化しました。
リモートが増えました。zoomとか何年か前からあったのですが、こんなに万人のツールではありませんでした。
AIが登場しました。もう、リーフレットに載っていることとか、インタビューフォームとか、そんなの全部AIで良いよね、と言うコンサルも出てきました。確かに、インタビューフォームって、なんだあれ?
お薬相談室も、もう、AIによるAndroidで良いかもしれないですよね。AIが勝手に学習するのです。deep learning, machine learningですよね、それこそ。
そのうちに、勝手に学習したAIが資格を取るかもしれないですよね。
AIがMR資格試験を受ける?
そんな時代はもう目の前。
MRもAIアンドロイドで良い時代が来るのでは? とも思います。
じゃあ、本当にMR要らない?
AIがやって、リモートでやって、そういういろいろなチャンネルができるのであれば、本当に現場に行くMRって、要らないですか?
「いや、現場に行く人間は、必要です。」
MRの役割は、マルチチャネルを駆使して、さらに、対外的ではなくて、社内のクリニカルサイド、そして新しく登場したMSL、MA、さらにKAMに対しても接することが求められる仕事になります。
対外的な仕事はチャネルが増えて
社内へのフィードバックは新たに誕生した職種にも向かわなければなりません。
MRが現場に登場することによって、医師の処方傾向は明らかに変わります。製薬会社は生命に関連する企業である一方で、営利企業でもあるのです。
医師の処方傾向に影響を及ぼす存在は、営利企業にとってとても重要です。
1000人の従業員を擁する製薬企業であれば、その会社がうまく行くかどうかは、その家族含めて、大体3000人くらいですかね? そのくらいの人々の幸せや人生を左右します。
MRが医師の居る現場に登場することで、医師の処方傾向に好影響を及ぼすのであれば、患者はもちろん、従業員の家族までを幸せにすることができる、素晴らしい職業かと思います。
なぜ、現場に必要なのか?
処方権を持つ医師にとって、その薬に関する認知も早いですし、人から直接得た情報のインパクトが大きすぎるからです。
自分でピコピコとデバイス叩いて得た情報よりも、人から得た情報の方がインパクトは大きいからです。
エンゲージメントには程遠いチャネルアプローチ
エンゲージメントです。なんか、コンサルみたいな事言ってしまいました。
言えるのは、医師は医療現場から離れられないからではないでしょうか。医師の仕事は、人間を相手にしますので、遠隔診療などがあったとしても、どうしても患者の横にいて、患者に対して物理的に直接サービスを行う必要が出てきます。
医療行為においては、エンゲージメントは、AIで達成することには限界があるのでは?と思います。
医師が生身の患者を診て治療を行うのであれば、そのエンゲージメントは、対生身の人であるのです。
そう言う仕事をしている医師に対しては、MRは現場にいる必要があるのではないかと思うのです。
MRがピコピコやってても、競争にも勝てなければ、患者のためにもならなければ、なんの学びもなければ、医師の処方に影響を及ぼすこともできないのではないでしょうか。