ファイザーの新戦略と2026年展望

皆さまいかがお過ごしですか。ちょっとファイザーの話をします。

巨大企業ファイザーの「次の一手」:2026年株主総会から読み解く再起動のシナリオ

ファイザー(Pfizer)が発表した2026年度株主総会の予備結果と、そこから透けて見える彼らの「脱パンデミック戦略」について、少し整理してお伝えしたいと思います。

もう、ここ5年以上前から、ファイザーといえば、ワクチンというふうに刷り込まれていますよね。昔はリピトールが刷り込まれていました。どんだけ昔なんだよ!

さてさて、ワクチンで世界を席巻したこの巨人は、コロナが終わって久しい今、どうなるんでしょうか。

まあまあ、わりと面白い転換期に立っているのでは?というふうに見えます。今回の総会では、12名の取締役が再選され、KPMGの監査法人への留任が承認されるなど、組織としては一見、平穏な進捗を見せています。

しかし、その平穏そうな道の裏側にあるのは、コロナ禍で得た莫大な資金をいかに「次の柱」へ流し込むかという、冷徹なまでのポートフォリオの書き換えということみたいですよ。

おっと、どうでも良いけど、監査法人はKPMGなのか。これはきっと、昔からだな。あとの方で、この話題も書いておきます。

「がん領域(オンコロジー)」への強烈なフォーカス

今、ファイザーをウォッチする上で外せないのは、同社が「がん領域」にリソースを集中させている点です。特に注目したいのは、Seagen社の買収で手に入れたADC(抗体薬物複合体)技術です。5月に開催されるASCO(米国臨床腫瘍学会)では、乳がんや膀胱がん、さらには前立腺がんに対する新しい併用療法のデータが目白押しです。

ワクチンメーカーというイメージから、がん治療のトップランナーへと、彼らはブランド自体を上書きしようとしています。

いやでも、そう簡単にあのワクチンという、強烈なブランドは上書きできないよね。えー、できるの?

どうやるんだろう?

肥満症治療薬への「執念」

市場が熱狂する「肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬)」の分野でも、ファイザーの動きは活発です。初期の開発では出遅れが指摘されましたが、現在、Metsera社から導入したアセットを含め、複数のパイプラインが進行中です。

これは、このブログでも、紹介しました。

このGL P1は、特に「月1回投与」という利便性を追求しており、先行するイーライリリーやノボ・ノルディスクに対し、後発ならではの「使いやすさ」で逆転を狙う姿勢は、ビジネスモデルとして非常に興味深いものがあります。

いやあでも、そろそろGLP1も、どうかと思うのだけど。。。

ここはやはり、天下のファイザーも、参入すべきと判断しているのでしょうね。

日本市場への波及効果:イノベーションの「出口」として

日本への影響はどうでしょうか。ファイザーは、日本の薬価制度や新薬へのアクセス環境について、官民でのワーキンググループ等を通じて積極的に発言しています。

彼らにとって、日本は「高度な専門医療」を実装する重要な市場です。今後、私たちが目にするのは、身近なワクチンよりも、がんや希少疾患に対する「極めて専門的で高価な新薬」の導入スピードが上がる、という変化かもしれません。

ファイザーはどこへ行くのか

結局のところ、ファイザーは「広範な公衆衛生の守護者」から「高付加価値な精密医療の覇者」へと戻ろうとしています。2026年の収益目標を約600億ドル規模に設定しつつも、コロナ関連製品の減収分をがん治療薬の成長で埋め合わせる計画です。不採算部門の整理を進めながら、2030年までの持続的な成長を株主に約束する姿からは、一度得た頂点の座を簡単には譲らないという強烈な意志が感じられます。

ていうか、オンコロジーなのか、肥満なのか、それとも、全部なのか。


巨人の「バランス感覚」

個人的に注目しているのは、ファイザーが「科学的野心」と「株主への還元」をどう両立させるかという点です。

配当を維持しつつも、これだけの巨額をR&D(研究開発)に投じる姿は、リスクを取らない日本の大企業とは対照的です。

なにしろ、まあ、ファイザー株は配当もなかなかですよね。ファイザー、J&J、アッヴィ、メルクなどを揃えますかね。良いかもしれないっす。

失敗すれば「買収倒れ」と批判されるリスクを背負いながらも、肥満症治療薬のように一度躓いた領域に再び挑む。

株主にとっては、良いニュースなのではないでしょうか。

こうした「失敗を組み込んだ戦略」のしなやかさは、今の日本のビジネスパーソンにとっても、単なる製薬業界の話以上のヒントがあるのではないでしょうか。

彼らが次に狙う「未充足のニーズ」がどこにあるのか、引き続き目が離せません。

おまけ。KPMG

ていうか、ファイザーがKPMG使ってるの、面白い。なんでだろう? なぜ、PwCとか、その他じゃなかったのか。

ちょっと調べてみましたよ。しょうもないけど。


「1987年」から続く超長期の信頼関係

実はファイザーとKPMGの付き合いは、1987年から続いています。もう40年近い「腐れ縁」ならぬ「強固な信頼関係」があるわけです。 米国株市場では、監査法人の交代は投資家に「何か会計上のトラブルがあったのか?」という疑念を抱かせかねないため、特に問題がなければ継続するのが一般的です。PwCやDeloitteに変える「スイッチング・コスト」とリスクを考えると、KPMGを使い続けるのが最も合理的という判断なのでしょう。

「利益相反」を避けるための消去法

調べてみたら、なんか、棲み分けしてて、おもろー

「Big 4」と呼ばれる巨大監査法人は、競合他社の監査も手掛けています。

  • PwC はジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やメルク(MSD)
  • Deloitte はアムジェンやアッヴィ
  • EY はイーライリリーやアストラゼネカ といった具合に、ライバルたちが既に他の3社をガッチリ押さえているケースが多いのです。機密保持の観点からも、あえて競合と被らない、あるいは業界に精通しつつもファイザーに軸足を置いてくれるKPMGを選んでいるという側面があります。

さらに調べてみると、、

税務やコンサルティングとの「棲み分け」

監査法人を1社に決めると、独立性のルールによって、その法人のコンサルティング部門を自由に使えなくなるという制約が生じます。 「監査はKPMGに任せるけれど、M&Aのデューデリジェンスや大規模なDX戦略のコンサルはPwCやDeloitteに頼みたい」といった具合に、監査以外のサービスを自由に選ぶための戦略的な配置として、監査役をKPMGで固定している可能性も高いです。

おっと、戦略はPwCとかDTCなのだろうか。そんなに振り分けても良いの?


なぜKPMGは「外されない」のか?

株主総会の議案でも、監査法人の選任は通常90%以上の圧倒的多数で可決されます。ファイザーのような、買収(Seagen社など)を繰り返して会計処理が極めて複雑になる企業にとって、自社の歴史や複雑な資産背景を熟知しているKPMGは、もはや「外部の目」というより「外部にある自社の記憶装置」に近い存在なのかもしれません。

「なぜ他じゃないのか?」という問いへの答えは、意外にも「変えるメリットよりも、これまでの蓄積(ナレッジ)を捨てるデメリットの方が圧倒的に大きいから」という、極めて実利的な理由に集約されそうです。KPMG側からすれば、ファイザーは絶対に離したくない「王冠の宝石」のようなクライアントでしょうね。

知らんけど。

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