ブロックチェーンは患者を救えるのか

ビットコインだけではない

ビットコインで儲けてそのお金で良い医療を受けるという話ではありません。ブロックチェーンは金融だけでなく、あらゆるプロセスを基盤として記録する特徴があります。

全てのプロセスを記録できれば、例えば、偽薬の製造を止めることができるかもしれません。その通りのプロセスを経ないという時点で、AIとかで弾けば良いかもしれないし、あるいは、そのプロセスを経る工場を限定してしまえば良いかもしれません。

医薬品は開発型の製品です。あのなんだかうどん粉を固めたみたいなモノが、莫大な開発費により高い薬価がついているのですから。

最近のニュースでも、破格の薬価がついている希少疾病の医薬品などがあるわけです。減量そのものは多分、高くないでしょうが、その製法、豪勢に費やした研究開発、それには当然治験も含まれますが、それが高いわけですよね。

企業の毛球開発費の比率が高いほど、一昔前は、R&Dに力を注いでいる企業ということで評価もありました。

つまり、R&Dにかける予算は、いわばその会社がいかに患者フォーカスのポリシーを持ち合わせているのかと言う、バロメータにもなり得たわけです。

医薬品の開発はご承知のように、10年以上、何百億円もかかり、しかもほとんどが失墜します。このトライアンドエラーを、ブロックチェーンで最小限にできれば、優れた医薬品が安く誕生するかもしれません。

R&Dのゲームチェンジャー

そんな革新的な、ゲームチェンジャーなテクノロジーを、ブロックチェーンが担おうとしているわけです。

そんな中のニュースでは、ベーリンガーとIBMが共同でブロックチェーン技術で臨床開発をすることに乗り出したことで納得できます。IBMといわば、ワトソンだと思っていましたが、ブロックチェーンもかなりやっているのですね。やっているって、よくわからない表現ですが。

暗号通貨の基盤をなす技術かと思っていましたが、色々な応用方法があるものですね。

特に難病の薬や、希少疾病の医薬品は、これから爆速で出現しそうですね。昔の古くて分厚い医学書の、ほんの1ページにも満たないような扱いで、奇病と言われ、誰もその薬なんて作ろうともせずに、ただただ苦しんでいた患者さん。

そう言う患者さんには、このブロックチェーンがとても役に立つ時代がくるかもしれません。AIとブロックチェーンで、薬を開発。

そもそもブロックチェーンの目的は、インターネット(情報、金銭など)を使って取引しながら効率とセキュリティを獲得することであることですよね。

今日では、すべての取引の情報源を記録することが可能になっているわけです。このブロックチェーンの技術をうまいこと医薬品の開発に応用すれば、もうそれは革命な訳です。

製薬とブロックチェーン


それでベーリンガーインゲルハイムとIBMは、臨床試験でブロックチェーン技術の採用を検討することへのコミットメントを発表したわけですね。

https://newsroom.ibm.com/2019-02-12-Boehringer-Ingelheim-Canada-Ltd-and-IBM-Canada-Announce-First-of-its-Kind-Collaboration-to-Integrate-Blockchain-Technology-into-Clinical-Trials

読んでもわかりません。はい。

読んでも分からない、この技術は、何もベーリンガーだけがやっているわけではないようです。サノフィ、アムジェンも乗り出しています。これからは、こう言う、製薬とコンサルの組み合わせが、一つのチームアップになっていくかと思います。

IBMだけではなくて、当然、マッキンゼーもBCGもアクセンチュアもやることでしょう。製薬と組んで、ブロックチェーンで臨床開発です。

今までは医療とITといえば、まあ、例えばオラクルあたりのソフトウェアを使って、その基盤も元をたどればIBMかもしれませんが、で、そのソフトの導入ができることを一つのスキルとみなして、転職などでは有利に働き、レジュメでもそのローカライズの経験を書いてあったりするものですが、これからは、ブロックチェーンの技術がわかる人が、製薬にも来そうですね。

そうなると、もう、薬屋の風情じゃなくなりますよね。業界関係ないです。

ブロックチェーン、マシーンラーニング、デジタル、この辺りに長けている人が全ての業界で需要が高まってくるわけですね。製造業も、金融もです。フィンテックなんて、その他最たるものですよね。

たぶんノマドワーカーが増える

これらの仕事は、多分プロジェクトベースなので、もう一社に長く留まる人も少なくなるかもしれません。しかも外注すれば、フリーのエンジニアが請け負うかもしれません。

先月は、PayPayの仕事、今月は薬の開発、来月は幼稚園バスの自動運転などなど、そう言う人はもう、そもそも日本人である必要もなければ、日本人であったとしても、日本にいる必要さえなくなりますね。

東南アジアで雇われずに、ビーチサイドでパソコンパチパチやりながら、抗がん剤の開発をしていたりする人が出てくるかもしれません。

もうそんなのにキャッチアップできません。年齢も関係なければ、序列もない。出世なんて、古典的な概念ですね。

ただ、それは、幸せをもたらすのかな。

医者も、製薬会社も、ワトソンがやれば良いの?

日経新聞やその他メディアが「ワトソン=人工知能」であるという表現をしていることに関して、知ってか知らずか、IBMはそのまま放置しています。ただしIBMはワトソンをコグニティブシステムとか、コグニティブコンピューティングとして、人工知能という表現を自分からは使いません。良くある議論で、人工知能が人々の職業を奪うのではという問いかけに対して、IBMはあくまでも人工知能は人間が主体であり、人の生活を豊かにするためのものである、ということを強調しています。では実際にワトソンが様々な業界で取り入れられた後、どうなるのか?という素朴な疑問に対して、IBMは実際はわからないとしながら、ワークライフバランスの充実や、人の生活をどこまで豊かにしてくれるのか、楽しみであるという、なんというかエレガントな回答に終始しています。
医療現場では、すでにワトソンは活躍していて海外のみならず、国内においても東大の医科研で医師でもわからなかった患者の的確な診断に成功しているようです。IBMのみならず、自治医大では、人工知能ホワイトジャックの開発が進んでいます。
製薬業界ではテバとIBMが提携しました。喘息のような、というか喘息なのですが慢性疾患の予防に使えるようにするらしいです。喘息患者が発作を防ぐように、最適な処置を提供する仕組みを開発するようです。
http://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/50948.wss

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ヘルスケア業界のみならず、IBMはゼネラルモーターズとは自動車向け情報提供サービス、今飛ぶ鳥を落とすかの勢いのアメリカのビジネス向けチャット、スラック(slack.com)とはネット開発技術を、オンライン教育が盛んなアメリカで展開する教育ベンチャーのユダシティ(udacity.com)とは教育事業を、ドイツのシーメンスとは画像診断、ドイツ自動車部品大手のシェフラーとはIoT、企業のみならず、フィンランド政府とは医師支援、スコットランドの金融、ロイヤルバンクオブスコットランドとは自動応答システムと、大きな動きだけでざっとこれだけ出てきます。

これらの報道全てに、IBMの人工知能という表現が出てきます。実際、人工知能はIBMだけでなく、各社現状しのぎを削って開発をしているところです。IBMは人工知能ではなくてコグニティブシステムというのであれば、そこは声高にメディアに対しても指摘しても良いのかと思ったりもするのですが、そこはトーンが低い気がします。物理的に、ひとつひとつの報道を指摘できないのか、またはIBM=人工知能と刷り込まれても、この競争には有利と判断しているのか、わかりません。

実際、IBMはこのワトソンで攻勢をかけているというか、社運をかけています。IBMのここ数年の業績は必ずしも良いとは言えませんでした。しかも数年前からクラウドに乗り遅れてしまったIBMが、ワトソンに起死回生を賭けているというのは、複数のメディアが指摘しています。

人工知能と医療は良いのですが、コンプライアンスなどの問題が出てきそうな気がします。すでに出ているのかもしれません。また、人工知能が仕事を奪うのではという危惧に関しては、私個人的には、奪われる仕事はあると思いますが、逆に未知の、今までになかった新しい仕事が増えると思っています。今までになかった、全く新しい仕事が、人の手によって行われることが必要になってくると思います。例えば、まあ、自動車の登場により、馬車は姿を消したかもしれませんが、自動車部品という、今までになかった新しい業界が誕生して、計り知れない雇用が生まれたと思います。e-mailが登場して、Faxなどは減ったと思いますが、コンピューターウィルスソフトの開発など、未知の業界が誕生して人が必要になりました。ワード、エクセルが誕生してワープロや印刷屋は減ったかもしれませんが、マニュアルや動画を作成する会社や、サービスが誕生しました。つまり、人工知能、ワトソンも急速に発展して、奪われる仕事もあるかと思いますが、今までに想像すらできなかった未知の仕事、業界が誕生することになるかと思っています。

医者も、製薬会社もワトソンに任せておけば、医者も製薬会社も要らないのでしょうか?

そうはならないと思います。むしろ、何らかの未知の仕事が増えると思います。もしも仕事が奪われると危惧されている方は、その未知の仕事が何か、常にアンテナを貼ってみてください。それもジョブセキュリティに繋がるかもしれません。