MRならコミュニケーション能力が必要ですよね。新卒も、中途採用もコミュニケーション能力が有るか無いか、ここは重要です。MRの営業相手の中心は医師ですね。医師が相手の営業って、他の業界から比べれば難しいはずです。もちろん、他の業界にも難しさはあるのですが、一般的にアカデミックで地位も高いドクターを相手にする訳ですから、MRには尚の事ソフィスティケイテッドな能力が求められる訳です。
でもそのコミュニケーション能力って何でしょうか。話術でしょうか。それとも話題に事欠かないネタをたくさん持っている事でしょうか。雑談力でしょうか。会話の上手さでしょうか。明るく元気なキャラでしょうか。・・・・それぞれ、身に付いていて損は無いかもしれませんが、決してコミュニケーション能力の物差しにはならないですよね。
よく若手のMRが医局の端っこに突っ立ってますよね。そしてたまにドクターと目が合うと、とりあえずニヤニヤしたりして。とりあえず、作り笑いを浮かべたり・・・。けっこうつらい仕事です。面倒なのでそのまま誰とも話さずに帰りたくなります。ところが、それでは仕事になりません。だから皆必死にどうにかしようと試行錯誤しているのです。
医局でお昼時はMRのゴールデンタイムですね。しかしながら先生がお昼ご飯をデスクでガツガツ食べている時って、普通のMRなら遠慮してそこからちょっと見えないところに移動したりして、先生が食べ終わるのを手持ち無沙汰に待っていたりしますよね。で、先生が食べ終わった頃を見計らって、さりげなく近づいて、ぼそっと、またニヤニヤしながら話しかけたり。良くある光景ですが、このMR独特の様子を見る力はコミュニケーションでしょうか。確かに数年かけて身につけた間の取り方かもしれませんが、コミュニケーション能力とまでは言えないですね。
例えばですが、先生達がガツガツお昼を食べているそのすぐ横に突っ立って話をしているおじさんMRが居るとします。他のMR達が遠慮して視界から遠ざかっているにもかかわらずです。まあ、非常識なおじさんMRだなあと思いつつ、よく見ると、先生も口の中をご飯でもぐもぐさせながら、そのMRと話で盛り上がっていたりする。それを見た周囲の若手MRが、「なんだ、先生のご飯中にあそこで立ってしゃべってOKなのか!」と思っておじさんMRの真似をしたりすると、すかさず同じ先生なのにも関わらず「君、食事中だから、後にしてくれないか」みたいに言われてしまう。
・・・上手く説明できないけど、この食事中でさえもドクターの真横で話ができるこのおじさんMRはコミュニケーション能力に著しく長けていると言ってよいでしょう。食事中にもかかわらず、何の違和感も無く傍らに立って、話す。先生もなんの気まずさも無くご飯をもぐもぐ食べながらしゃべる。別に特段話術が上手い訳でもなく、豆知識が豊富な訳でもなく、取り立てて必要以上にアカデミックなわけでもなく、ただ食事中に横に立つことが、暗黙の了解で許されている。こういうMRこそ、コミュニケーション能力のあるMRだと思います。
ではこの技はどのように身につけられたのでしょうか。また、このおじさんMRが体得しているものとは何なのでしょうか。
答えは単純です。何のひねりもありません。つまり、このおじさんMRは先生のNEEDSとWANTSが解っているのです。言葉にできなくても、何となくでも、あるいはたとえ仮説であったとしても、先生のNEEDSとWANTSを察知して、それを元に、求められたコミュニケーション方法を選択して実行しているのです。
顧客のNEEDSとWANTS、この場合の顧客とはドクターのことです。ドクターのNEEDSとWANTSにぴったりと当てはまる行動ができるMRはコミュニケーションに長けています。
最近、MRの数が減っています。不要だと言う意見もありますよね。よくある理由としては医薬品の情報は別にMRを介さなくてもドクターが得られるとか。確かにメールもスマホもインターネットもなんでもあるこのご時世です。情報を得ようと思えばあらゆる手段がありますよね。企業の中にはゆくゆくMRをなくす方向という会社もありますね。
私は思うのですが、これって、オンライン証券に似てませんか。別に証券会社の証券マンと話さなくても、株の売買もマーケット情報も全てネットでできる。
しかしながら、私はネット証券にも口座をもちつつ、証券会社の窓口のお兄さんとよく話します。「この会社最近どうなの」とか、「もうこの業界はだめだよね〜」みたいな話をしているうちに、自分が必要としなかった情報を窓口の人から聞いたりして、その中に思いもよらないヒントがあったり。。。売買手数料もネットの方が格段に安いのですが、窓口で売買も同時にしています。
それと同じ様に、自分で求めれば医薬品情報にアクセスできるにも関わらず、やはりMRから発信された様々な、思っていなかった情報がドクターには役に立っているはずです。そういうMRと話がしたいのだと思います。
求めていなかった情報は、当たり前ですが自分から求めて得られるものではありません。実はドクターもMRには会いたがって居るのです。
ただし、これからのMRの仕事はさらなる関係構築が必要です。専門領域化すると同時に、ドクターを助ける事はすなわちその先に患者が助かる事を把握しなければならないでしょう。言い換えれば、患者に有益な情報がドクターを助ける事になるのです。そのニーズを満たすMRこそがコミュニケーション能力のあるMRだと思います。
個別のドクターのニーズを知るには、まずエントリーレベルとしては、そのドクターの観察から始める・・・というのは如何でしょうか。ドクターをずっと観察しているうちに、そのドクターのNEEDSとWANTSが見えてくるでしょう。
ただし、ずっと観察してるのも辛いです。仕事とはいえつまらないし、疲れます。であれば、いっその事そのドクターを好きになってしまう・・・というのはどうでしょうか。もちろん、ロマンスではありませんよ(笑)。
ドクターという仕事は、当然社会的な意義も高い仕事です。そしてそのドクターの仕事を助けることができるMR。こう考えると、意欲が出て、観察するにも動機付けができますよね。その先の患者の役に立つ事で、目の前の好きなドクターの一助になりうる。こういう姿勢でしばらく接するうちに、今まで気がつかなかったドクターのNEEDSとWANTSを思いがけず知る事ができるようになります。その声の無い要求に沿う動きができたときには、晴れてドクターの期待に応えるMR、ドクターが会いたいMRになることができるでしょう。
こちらの→Wall Street Journalの記事はMRの総数が減ってもMRそのものは残り、戦うとしています。また、→このリサーチにおいては、MRはValueであると謳ってます。この中の統計で、どんなに端末やSNSが拡大しても、MRからの情報は医師にとっても、とても重要だと言う位置づけになっています。ただし、専門性、質は向上が必要だというデータもこのリサーチでは報告されています。
観察してNEEDSとWANTSをさぐり、それに基づいて関係構築の質の向上を目指して、なおかつ専門性を高める。そのためにはいっその事、仕事そのものを好きになってしまえば良いのかもしれません。そのハイブリッドな形を実現させたMRはすなわちコミュニケーション能力に長けたMRと言えるのでは。。。
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