中外製薬の2つの薬

ロッシュは日本市場で上手いことやってるなと思います。

ロッシュの日本戦略

中外製薬をそのまま使って、日本のカルチャーを残した形で日本のマーケットに進出して長年経ちます。ロッシュそのものは世界一のパイプラインと言われて久しいです。そのパイプラインを日本のカルチャーを残した中外製薬が売っているというわけですから、考えてみたらユニークなビジネスモデルです。

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日本企業戦士の帰属意識

日本の製薬会社、製薬会社に限らずですが、日本の企業に勤めている従業員は、外資に居る日本人に比べて帰属意識が高いです。

言い換えれば、なかなか辞めません。なかなかやめないので、中途採用もあまりしません。ウェブなどをみると、結構募集しているようにも見えますが、外資に比べれば少ないです。それによって、従業員の給料は、外資を含めた製薬業界一般でいうと、安く済みます。なぜなら外資の場合は転職、転職のたびに給料を上げて採用するので、高い人は高くなります。

給料が他と比較して安くても、帰属意識がたかく、あまり辞めないので、会社にまとまりがあります。

自分はこの仕事を12年しておりますが、例えば中外とかエーザイ、大塚、アステラス、武田などなどの人々は転職に超慎重ですし、そもそもこういう企業の方々は、自分の会社が大好きです。もちろん、そんなことない人もいますが、一般的に言ってです。

 

万有製薬と中外製薬

アメリカのメルクはかつて万有製薬を買収しました。その後しばらくして完全にメルク色にして、MSDになり、もはや外資そのものです。一概に言えませんが、ロッシュー中外とはモデルがちがいますよね。

ロッシュも中外とのアライアンスの以前には、日本ロッシュという会社がありましたから、MSDみたいにしてもよかったかもしれませんが、敢えてなのか、大人の事情があったのか知りませんが、中外製薬のまますすめたのです。

今となっては、日本市場においては中外のモデルは功を奏しているような気がしています。リーズナブルなコストで優秀な人がいるからです。

 

世界一のパイプライン ロッシュ

またロッシュのパイプラインですが、オンコロジーやオーファンが前から多かったです。

最近ですが、市場の少ないところにも敢えて改良された新薬を投入するところが、戦略的にも近代的です。初めて出すわけではなくて、あとから改良されたのを出しているような感じがします。市場がないところに出すのは、戦略なのか、たまたまなのか?

リーダー、チャレンジャー、ニッチ、フォロワーで分ければ、ニッチ市場のリーダーに対するチャレンジャーと、言ったところでしょうか。

 

中外製薬の2つの薬

例えば血友病領域で画期的な新薬を投入しました。血友病領域は患者数が少ないマーケットにもかかわらず、ファイザー、ノボ、バイオベラティブ(サノフィ)、シャイアー(武田)、バイエル、CSLベーリングなど競合も多いのです。

その競合が多い中への新薬投入です。しかも画期的なので次々に市場を席巻すると言われています。

また、脊髄性筋萎縮症のオーファンにも新薬を投入します。脊髄性筋萎縮症は昔からその病気の存在は知られていましたが、なかなか治療薬が出ませんでした。2017年にバイオジェンが初めて薬を世の中に出しまして、患者さんにとっては朗報でした。また1瓶932万円という、収載薬価で話題にもなりました。それでもアメリカ・ヨーロッパよりは安いみたいです。

その脊髄性筋萎縮症の治療薬がここに来てノバルティス、そしてロッシュが開発しているのです。当然、中外製薬が販売することになるかと思います。バイオジェンの製品はルンバール(髄注)で、4回投与ですが、ロッシュー中外のものは経口薬です。これは患者負担が軽く済みそうですよね。

選択肢が増えることは、難病の患者さんにとっては、なにより朗報ではないでしょうか。

 

バイオジェンは狙われている? 気のせいかな。

ところで、血友病といえば、以前はバイオジェンが販売している薬がありました。バイオジェンからからスピンオフして今回サノフィ傘下になったバイオベラティブに継承しておりますが。そして今回バイオジェンが売っている脊髄性筋萎縮症の領域にも中外が新薬を投入しようとしております。 血友病、そして脊髄性筋萎縮症、、、なにか中外はバイオジェンを狙っているのでしょうか?まあ、たまたまだとは思いますが・・・・。

中外製薬の役員をみてみますと、ロッシュのウイリアム・アンダーソンという人がバイオジェン出身なので、もしかしたらそういうこともあるのでしょうか。考えすぎか。

 

M&Aには良いサイズか

脱線しますけど、シャイアーも、セルジーンも、アクテリオンも、バイオベラティブも、かつてはジェンザイムも買収対象になりましたので、今回のアルツハイマーの治験のことで、その後サイズ的にはバイオジェンはどうなるでしょうか・・・。
さて、元々、ロッシュは現在アストラゼネカのパスカル・ソリオが長年居て、彼がロッシュのときにジェネンテックを買収してパイプラインが強化された過去があります。

ですので、ロッシュも、もちろん他もそうですけど、売れてる市場にあとから新薬を出すのが得意なのでしょうか。そのパスカルをAZに引き抜いたのは、自動車のボルボの会長のレイフ・ヨハンソンですから、世界はすごいですよね。そのへんのところは、以前にも書かせていただきました

 

プライマリー → オンコロジー → 専門領域 → バイオ → オーファン

さて、かつては糖尿病とか高血圧などの慢性疾患やメタボ領域、つまり患者の多い領域、つまり、プライマリーですか? そのマーケットに各社資本を投入したものでした。理由は簡単です。市場が大きいからです。

その頃は、オーファンドラッグの開発は、国が一生懸命支援をして、製薬会社に働きかけなければどこも開発しませんでした。これも理由は簡単で、市場が小さいからです。

ところが、最近のバイオ製剤や開発の画期的な進歩、さらに高薬価で、実ははオーファンにも大きな市場が期待できると判断されてから、各製薬会社がオーファンや専門領域に舵を切ったのです。そして、市場も小さくないことに気づき始めました。

メタボの薬も大事かもしれませんが、難病やアンメットメディカルニーズに挑戦しようとするパッションが業界全体的に高まってきたのではないでしょか。そうなってから久しいですね。

少し前ですが、ある資料で、2016年にFDAで新規承認された薬は20ありました。そのうち、大手は5、残りの15がバイオベンチャーによるもので、殆どが低分子とバイオです。

この傾向がすすみますと、バイオベンチャーに投資をして、高くリターンをもとめるという投機筋はさらに活況を増すかと思います。

プライマリーからオンコロジーへ、そして専門領域、バイオ製剤、オーファンへと変遷してきたような感じです。。。。

今後は、各製薬会社はどこに向かうのでしょうか。

 

 

 

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