免疫チェックポイントを牽引した後は、AI企業でNASH

メルク(MSD)の研究開発のトップであるロジャー・ペルムター氏が、7年間居たメルクを去り、AIの会社である、Insitro社の取締役に就任することが決まったとのことです。

ロジャー氏がメルクに来た7年前から、現在を考えると、正にイムノオンコロジー、免疫チェックポイントの時代を牽引したと言えると思います。

T細胞の免疫活性を負に調節するPD-1経路を阻害し抗腫瘍効果を示す、免疫チェックポイント阻害薬というのが、もう、各社こぞって開発しましたよね、ここ数年。

オプジーボと、キイトルーダが牽引しました。

ただし投資家たちは、ここに来て結構不安視し始めました。2020年の第二四半期の売り上げを見ますと、キイトルーダの売り上げが3分の1を占めております。1つの製品に依存しすぎているという見方です。

(メルク 4-6月・第2四半期)
・1株利益(調整後):1.37ドル(予想:1.07ドル)
・売上高:108.7億ドル(予想:105億ドル)
  キイトルーダ:33.9億ドル(予想:31.9億ドル)
  ジャヌビア/ジャヌメット:13.4億ドル(予想:13億ドル)
  ゼチーア/バイトリン:1.75億ドル
  ガーダシル:6.5億ドル(予想:6.9億ドル)
  アイセントレス:2億ドル(予想:2.1億ドル)
  シンポニー:1.9億ドル(予想:1.9億ドル)

(https://fu.minkabu.jp/news/180913)

さらに、ジャヌビアの特許切れが2023年とのことです。

医薬品業界というか、製薬会社では常に起こりえることなのですが、その次のパイプラインです。キイトルーダの次は?

と、いうことになるのです。

そんな中で、このブームというか、免疫チェックポイントで時代をリードしてきた張本人の一人である、研究開発トップのロジャー・ペルムター氏が、7年在籍したメルクを去るということになったとのことでございます。

https://www.merck.com/leadership/roger-m-perlmutter-m-d-ph-d/

まだ、リンク先はあるかと思います。が、そのうちになくなるかと思います。

これは、ただ単に、「免疫チェックポイントの流行りが終わったから、研究開発のトップが去る」という話だけではないという見方があります。

なぜかといえば、CEOのKenneth C. Frazier氏
https://www.merck.com/leadership/kenneth-c-frazier/

が、新しいCEOを探すために、退任する予定を延ばしたという報道が出ていたからです。

現状のCEOが新しいCEOを探すために、退任を延ばしているところに、研究開発のトップが退任したわけですから、なんとなく、経営陣のドラスティックな入れ替えが予想されております。

Kenneth C. Frazier氏といえば、つい最近まであった、人種差別反対のムーブメントで、
「Could be me」と言って、話題になりました。

そういえば、あのムーブメントは、どこに行ったのでしょうか?

なんか、企業がこぞってレインボーカラーのロゴマークを使っていましたよね。とりあえず、あのレインボーカラーのロゴは終わったのですね。

で、そのKenさんですけど、多様性のムーブメントで、自分が数少ない、フォーチュン500企業の黒人トップということをインタビューで答えていましたよね。相変わらず差別があるよ、というようなことを。一時期話題になりました。そのインタビューでは、確かハーバードを出て、白人だらけの中で鍛えられた、、というような事を言っていたかと思います。

その、弁護士でもある、メルクのCEOのKenさんですが、前述もしましたけど、後任が見つからないので、CEOを辞めるのを延ばすみたいな事を言っていると、報道がありましたね。

その中での、ロジャーさんの退任ですので、そのうちに経営陣の大幅な刷新があるのでは? みたいな感じになっているわけです。

Insitro

さてロジャーさんが新しく取締役で就任する、Insitro社ですけど、サンフランシスコにありまして、2018年にステルスモードから抜け出してきたばかりの人工知能を創薬に応用する専門企業とのことです。

全く知りませんでしたけど、フォーブスで話題になっています。スタンフォードの女性教授が創立した会社のようですね。

https://forbesjapan.com/articles/detail/31206

ニューヨークというか、ニュージャージーですけど、広い意味でGeater NYエリアの伝統ある製薬会社から、いきなり西海岸のIT、AI企業への転職です。

しかも、ロジャー氏は68歳とのことで、そのパワーはすごいですよね。

しかもしかも、もっとすごいのが、またまた時代を読んでいるのでは? と、おもわせる転身なのです!

ロジャー氏の転身するInsitroは、すでにGilead社と大規模な提携を結び、今年初めに1億4300万ドルのラウンドを含む2億4000万ドル以上のベンチャーキャピタルの資金調達を行っているのです。

そうです、NASHです。

ギリアドというか、次の大型化される分野の一つに、NASHがありましたよね。

ロジャー氏の次の数年は、このNASHの分野になるのかと思います。NASHで有力な薬が出てくれば、またまたすごい売れ行きになりますよね。

ところで、下世話な話かもしれませんが、僕はリクルーターですので、給料とかが気になります。一体、いくらなのでしょうか。

って、ググったらすぐに出てきました。 まじか?

$9,223,350
What is the salary of Roger Perlmutter? As the Executive Vice President and President – Merck Research Laboratories of Merck & Co, the total compensation of Roger Perlmutter at Merck & Co is $9,223,350.

ということは、ドル円で言いますと、
JPY 977,785,780.20-

10億円切るくらいなのですね。ここで色々と他の偉い人たちと比べた数字を出そうかと思いましたが、ググれば出てくるみたいですし、やめておきます。興味のある方は、「salary 名前」で検索すれば、出てきますよ。役員クラスの方でしたら。

話が、バラバラですみませんけど、kenさんの後任って、誰なんでしょうか?????

僕は、だいたい予想しています。

参考

https://www.businesswire.com/news/home/20201001005212/en/insitro-Adds-Biopharma-Industry-Leader-Roger-Perlmutter-as-First-Independent-Board-Member

ギリアドの買収ターゲット

数年前に鳴り物入りで日本に上陸したギリアドサイエンシズですが、C型肝炎マーケットが落ち着いてからは静かですよね。珍しく少しザワザワしたので、何事かと思ったら、神田あたりの現金問屋絡みの偽薬騒動だったりしていますよね。

少し前に、その事件についてはテレビで特集していました。社長自ら出演していました。ボトルに入った錠剤では中が見えなくて偽造品が作られる恐れがあり、PTPに変えたようなことをインタビューでおっしゃっていたように記憶していますが、PTPに変わったのはその理由とは、なかなか興味深いですね。

そのギリアドサイエンシズがアメリカのカイト・ファーマを約119億ドル(約1兆3000億円)で買収することになりました。

劇的な奏功率で話題をさらったC肝肝炎治療薬。それは飛ぶ鳥を落とす勢いで売れましたが、ただ会社としてはそのあとの勢いがイマイチというか、多分良い薬だけに患者が治っちゃったからだと思います。C型肝炎治療の終焉というか、C 型肝炎に医療が勝ったと言えるかもしれません。

ギリアドの次の展開ですが、パイプラインの拡充でしょうか。

実は、今回のカイト・ファーマの買収も、去年から予想されていました。去年から予想されているターゲット企業はだいたいこんな感じです。

Kite Pharma (NASDAQ:KITE),

Tesaro (NASDAQ:TSRO),

Intercept Pharmaceuticals (NASDAQ:ICPT)

 

ギリアドの次の買収ターゲットは投機筋の間でも大きな関心事です。アメリカで投資家への情報提供サービスをしているモテリーフール社 (https://www.fool.com/)によると、、、

 

3 Potential Acquisition Targets for Gilead Sciences, Inc.
Gilead Sciences is ready to shop. Here’s why Kite, Tesaro, and Intercept might be good selections to add to the biotech’s cart.

Keith Speights (TMFFishBiz) Nov 16, 2016 at 4:41PM

https://www.fool.com/investing/2016/11/16/3-potential-acquisition-targets-for-gilead-science.aspx

 

 

この3社ですが、Kiteはすでに買収済みですので、良いかと思います。

Tesaroについてですが、パイプラインのPARP阻害薬、niraparibが有望のようですよね。ただしこのパイプラインは日本の販売権を武田が買いましたよね。

武田薬品とTESARO社による新規がん治療薬niraparibの
日本における独占的開発・販売に関するライセンス契約の締結について

https://www.takeda.co.jp/news/2017/20170727_7802.html

 

これはどのような意味を持つのでしょうか。グローバルでギリアドがTesaroを買収した場合、niraparibは製造販売元がギリアドで日本ではコプロになるのでしょうか。この辺り、よくわかりません。それとも武田が先手を打ったという意味もあるのでしょうか。どなたかマーケットに詳しいアナリストに聞いてみたいところですね。

 

 

また、インターセプトファーマについてはこのブログでも過去に紹介しました。

マンハッタンの製薬会社

 

ここは投資家のスティーブ・コーエンが投資して新進気鋭のMDでマウントサイナイ病院などで活躍していたMark E PruzanskyがFounderですよね。主力のパイプラインはオペチコールですが、この時は大日本住友が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療薬「オベチコール酸」のライセンスを結んで、株価が急騰しました。

オペチコールは肝炎関連ということでギリアドも得意のところかもしれませんが、つい先日、なにやら副作用の注意がFDAから出ました。ここに来てオべチコールそのものの評価がイマイチだったりすると、買収に影響するのでしょうか。

FDA Drug Safety Communication: FDA warns about serious liver injury with Ocaliva (obeticholic acid) for rare chronic liver disease

 

かなり影響があるのか、そうでもないのか、なりゆきは注目されますね。

 

もう10月も半ばに近づいています。今後の他の買収の発表も近いでしょう。今後の製薬業界の再編に重要なポジションを持っていますね。