アルツハイマー パッチ

少し前ですが、東京ビックサイトで開催されたインターフェックスで面白い薬剤に出会いました。面白い薬剤を見せてくれたのは、事前に、コンタクトをしていたドイツ人です。東京ビッグサイトに着き、早速彼が所属する、ドイツの製薬会社のブースに足を運びました。

インターフェックスの海外から参加した会社が集まっている一角に、彼ともう一人が小さなブースを構えていました。彼はドイツの製薬会社で、アジアパシフィックのビジネスディベロップメントを担当して、もう一人はR&Dの担当者でした。

彼らが見せてくれたのは、四角いパッチ製剤でした。一見、単なる絆創膏に見えましたが、効能はアルツハイマー型認知症ということで、びっくりしました。が、実は、びっくりしたのは僕だけで、すでに日本でもノバルティスから発売されたとのことでした。いやあ、MRを離れて数年たつと、新薬のキャッチアップに疎くなりますね。 (イクセロンパッチ)

僕がびっくりしたのには、少し理由もあって、実は僕が新卒で入社した製薬会社では、当時、アルツアイマーの治療薬の開発に社運をかけていたときだったからです。大学病院を担当したときに、老年病科での治験に少しかかわりましたが、その治験が本当に本当に大変だったことを覚えています。

なにしろ、主訴は痴呆です。患者自身が、気づいていない場合が多いです。痴呆ですから・・・・。多くの場合は、ごく近い家族などが気づくということです。まあ、そりゃそうですよね。

そして治験ですが、これがまた効果の判定が、色々ありまして。僕の覚えている限りですが、例えば、ずーっと下を向いていたおじいちゃんが、前を見た。こんなことでも、効果として認められたりするらしいです。 これも昔の話で、いまはどのようになっているのかは、知りませんが。

モニタリングですが、内臓疾患や怪我ではないので、基本的にご自宅に患者さんは居る訳です。患者の身近にいる人にしかわからないような効果もあるわけです。従いまして、その治験には、患者と、患者にごく近い人物が必ず居なければいけないという、縛りがあったりしたのを覚えています。

しかも、その、「ごく近い人」とされた場合には、その人にも条件がつきます。例えば、半年間旅行にいけないとか、何日以上離れてはいけないとか・・・・・。

治験といっても、製薬会社は真剣で、医師はもちろん業務としてやっていただいてはいるものの、患者にとっては、時にはそんなに真剣ではない人も、含まれたりしているのです。意外と、この「ごく近い人」が、縛りを守りきれずに、旅行に行ってしまったり、色々と不都合が生じて、結果的に症例としてカウントできなくなったりしていました。

当然、近くで監視をしていないと、治験薬を飲み忘れたり、あるいは、飲んだことを忘れて、また飲んでしまったりするわけですよ。もしもダブルドーズになってしまったら、おそらくその時点でデータとしての価値が揺らぎますよね。

で、ブースのドイツ人が言いました。

「ヨーロッパでは、ウチ等がとっくに売ってるけど、日本でノバルティスから発売になるよ。」
「へえ、それは知らなかった。良かったね。」

僕が言うと、僕の質問にも答えてくれました。

「とにかく、貼ってあるのが見えるから、飲み忘れがないよ。」
「貼ってあるのが見えるから、もう一個貼らないし、ダブルドーズもないよ。」
「肝での初回通過効果もないよ。」

当然、超高齢化社会に向けて直滑降の日本です。認知症患者の推計は2010年で250万人らしいですね。さらに、2030年人は420万人に達すると言われているらしいです。こんなに使いやすい製剤があれば、本当にすばらしいと、彼らに言いましたが、彼らは、もう日本でも発売だし、誰でも知ってるよと言っていました。

新薬のCatch upが必要だと感じた一日でした。

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新製品 i-MR!!!

医療とITはご承知のように密接な関係がありますよね。患者情報も画像イメージもイノベーションの最先端にあり、それに乗り遅れると、時として、医師にとって致命的な遅れをとってしまったり。もちろん、テクノロジーだけを追いかけている医師も、どうかとは思いますが。

医師は、仕事柄、ITには敏感な人々は多いですね。 そのせいかどうかはわかりませんが、スマートフォンとか、タブレットとか、医療現場にはいち早く普及したようにも思えます。今までの仕事が便利になったり、今までの治療が進歩するなら、それはとてもよいことではありますよね。

そんな中ですが、気になる話を見つけました。アメリカでの話ですが、医師によるデジタルデバイス使用の進歩の流れが、セールスレップ(MR)の首を絞めているのでは?という内容です。(こちら

例として、たまたまではありますが、ノバルティスでの話があがっていました。オンコロジストによるiPad使用の流れで、効率的な情報収集ができるようになった。 これによって、オンコロジストに行く回数が少なくてすむという判断の下に、その分、もっと多くの医師を訪問しろと・・・。

どういう計算かわかりませんが、ノバルティスのCEOのJoe Jimenezが言うには、一人のREPにとって、年間に250時間の節約を、iPadはもたらすということなのです。新たに作り出された時間と、REPの数を考えると年間35000人の新たな顧客を訪問することができるということなのです。

この結論は、もちろん証明されているわけではありません。しかしながらノバルティスは、結果的に1400人のレイオフをしました。このレイオフに関しても、iPadが原因なのか、別の理由があるのかまでは定かではありません。いずれにしても、iPadが起こしたイベントであることは間違いありません。

ただし、アメリカのファーマ関連にコメントなどを頻繁にPOSTしているblogger連中の声を見ていると、ファイザー、リリーその他のドラッグメジャーにとって、よいレイオフの口実になっているとの見解があります。私も、これはアリだろうなと思ってしまいます。

ドクターにとっては、どうでしょう。彼らは、iPadは好きだけど、セールスレップも好きなようです。やはり、ITだけのやり取りは便利ではありますが、人と人とのインターアクションをしながら、仕事を進めていくことが、ドクターは好きらしいです。デジタルも見たいけど、セールスレップと話がしたい。ドクターはこう思っているようです。

確かに、考えたって、味気ないですよ。iPhone、iPadで仕事を済ませても。。。

しまいに、iMR、iRepという製品が、製薬会社向けのシステムインテグレーションとして、Appleから出たりして!!!(笑)

やはり、どんな仕事でも、人との絡みがないと、なんと言うか、味気ないですよね。 味気ないITでのやり取りが主流になってくると、逆により個性的な、温かみのあるビジネスが流行るのではないでしょうか? 特に、製薬会社では。 なんといっても、ヘルスケアですから。何か、これからのコミュニケーションのあり方にとって、何かヒントがあるような気がします。

KOLとは

私の周りは、医療業界出身者ばかりではないので、KOLに関しての質問をたくさんいただきました。

このblogも、医薬品業界関係者だけに向けているわけではありませんので、KOLについて、解説をさせていただきます。

尚、下記は私が自由きままに書いていることで、プロフェッショナルコメントではありませんので悪しからずご了承ください。

KOLとは、Key Opinion Leaderの頭文字をとった、略語です。

Key Opinion Leaderとは、治療指針に影響力を持った医師、または医学専門家のことを指します。医療は日進月歩していますよね。治療方法も時代によって進歩しています。病気に対する治療も、使う薬剤も、その時代によって、あるいは、その医師によって違いますよね。

KOLの治療指針は、他の医師に絶大な影響力があります。どの薬を使えばいいのか? そんなことが、KOLの治療指針には含まれているのです。従いまして、製薬企業にとっては、とても大事な先生になるわけです。

その領域の専門の医師にとっては、さらに細かい治療指針に、また、非専門の医師にとっては、治療のお手本としてとても重要です。

特に日本では、医薬品を国(Pmda:医薬品医療機器総合機構)に申請する際には、KOLの見解がとても大事になります。俗にですが、高血圧なら○○先生、糖尿病なら○○先生の意見が・・・・・・・といった具合に、その道のKOLの先生が存在するのです。

繰り返しですが、KOLは、製薬企業にとってはとても大事なコンタクトになるわけです。

KOL担当よりも・・・

「優秀なMRである」というジャッジメントを得るときの指標のひとつとして、「KOLを担当した経験」ということがあるかと思います。 たとえば、その領域の権威の先生から直接携帯に連絡が来る・・・KOLとこんな関係構築をしているMRが居たら、ひょっとしたらその会社では社長より偉くなってしまうような勢いになるでしょう。

各製薬会社も、それぞれ主力製品を抱えている領域のKOLには、優秀とされているMRを配置するでしょうし、そのMRも誇りに思っていることだろうと思います。

しかしながら、KOLの「担当MR」自体は、そこまで優秀である必要があるでしょうか。

KOLは、この国の治療指針にかかわるので、製薬企業としてはとても大事な存在には変わりありません。しかしながら、薬を大量に使うかと言うと、KOL自身はそんなに使いません。 臨床よりもまずペーパーをとにかくたくさん書いて、たくさんの学会に出る。 症例が多数必要なペーパーの場合は関連施設や、部下や関連する医師に使わせて、その症例を集めると思います。

KOLは影響力は最大ですが、自身の医師としての薬の処方量はそれほどでもないかもしれません

各製薬企業は、本社の営業戦略部門やマーケティング部門に、そのKOLに張り付いている担当者が居るのです。 たとえば、その製品のプロマネなどが、直接の担当者になっているケースが多いです。 KOL本人とのやりとりは、むしろ担当MRの仕事ではなくて、本社サイドの仕事と言って良いでしょう。

話は少し飛躍しますが、経営判断の中に、「Strategic human resources・・・人事戦略」が重要である、ということは、火を見るより明らかなことです。「企業は人」とも言いますよね。もちろん、MRの適材適所についても、当然のことながら、strategyに則ることは必要です。ところが、現状ではこのstrategyがブレていたり、あるいは、strategyそのものが欠如していると、言わざるを得ないという状況が、非常に非常に多いような気がします。

優秀とされているMRの、戦略的な適材適所としては、どこになるのでしょうか。KOLを担当させることでしょうか

私なりの答えは、そのKOLと直結している医師が勤めている、基幹病院です。何しろ、こういう医師は、とにかく患者をたくさん診ていて、薬をたくさん処方します。しかも、その処方パターンは、KOLが学会などで発表したとおりです。 製薬企業としては、こういう病院にこそ、より優秀なMRを投入すべきだと思います。企業として、数字の大きな先が大事であるということは、否めないのです。

KOLと直結している医師は、何かと複雑な状況の場合がけっこう多いのです。たとえば、自分だって、将来のためにペーパーも書きたいがあまりの仕事量に、それどころではない先生。 あるいは、実は独自にKOLとは違った処方パターンを持っているのだが、おおっぴらにその処方をできずに、とりあえずKOLに従っている先生。 あるいは、待遇に不満があったり、キャリアパスに不安があったり、職場のスタッフとの関係がうまく行ってなかったり・・・などなど、毎日色々な事を抱えながら、日々の激務に忙殺されている場合が、かなり多いと思います。

それぞれの状況下で、まさに実務に当たっている医師を、それぞれの状況を踏まえがらうまくハンドリングできるMR。このような状況の医師を怒らせずに、へそを曲げさせずに、KOLも推薦している自社製品の処方をキープさせるMR。学術知識、エビデンスに関する最新情報を常にupdateして、自社製品の処方例を自信を持って紹介できるMR。

加えて、その医師の直面している状況を察知して、同じ立場で考えることができる・・・まあ、簡単に言えば、「一般常識」を兼ね備えているMRこそが、優秀なMRであり、会社からも優遇されるべきだと思います。

「優秀なMRである」というジャッジメントに、「KOLの担当経験」を重視する風潮があったら、それは間違いである・・・いやいや、そこまでは少し言いすぎです。しかしながら、見解をシフトすることも、あってよいのでは? と提案いたします。

微妙なポジション

クライアントの外資系メガファーマの日本法人の薬事部のトップをサーチしていました。少し前のことです。

有力な候補としてコンタクトをした、国内準大手製薬企業の薬事課長。長年、その日本企業で勤務してきた方です。留学経験などはありませんが、ご自分で勉強されて、英語も話す方。まあ、優秀な方です。ポジションには、興味を持っていただき、面接も進んだものの、やはり外資のカルチャーとは違うということで、採用にはいたりませんでした。残念な結果ではありましたが、ご本人にも納得していただきました。

しばらくして、その人から電話が。

「ウチの海外オフィスに、人を探しているんだけど・・・」

要は、その方が勤務している国内準大手製薬会社の欧米にあるオフィス向けにポジションがあるとのことそこまでは、良かったのですが、そのポジションの内容がいまいちよくわからない

「欧米にあるオフィスには、現地で採用した人がそれぞれ10人くらいすでに居るんだけど・・・」

ここまで言うと、彼は間をおいて、次の言葉を考えているように見えたので、

「そうですか、それで、今回は、現地の人の増員ですか。どのようなロールですか。」

と、こちらから聞くと、

いや、実は、欲しいのは日本人で・・・その、ロールは、特に決まっているわけではないんですけど。

特に役割の決まっていない、日本人の、欧米勤務での採用。。??

「何をするポジションですか。」

僕の問いかけに、彼の答えは意外なものでした。まず背景から言うと、欧米のオフィスに勤務する現地人たちが、とてもアグレッシブであるそうです。そして、次々に案件を先に進めるとのことです。ここまで聞いて、僕は言いました。

それ、とてもすばらしいじゃないですか。良いですね。

ところが、問題は、彼ら(欧米オフィスの現地人たち)が彼らだけの判断でどんどん物事を進めてしまうということらしいのです。結果的にすべて良いことだったので、今まで問題は生じなかったのですが、ヘッドクウォーターは、日本なので、できれば物事を進めるときには、日本からの指示を待ってほしいということだそうです。その会社の場合、日本で物事を進めるかどうかを決定するには、10人以上のハンコと10回以上の会議が必要なので、社内のスケジューリングだけでも数ヶ月かかるそうで、欧米法人の現地人たちがそれを待ちきれずに進めてしまうということです。

なるほど、では、今回のポジションは、欧米から、日本の決定をもっとスピーディにさせるように働きかける役目ですね。」

という、僕の問いかけに対して、彼は言いました。

違います。彼らを止めて、日本の決定を待たせるように働きかける役目です。

難しい。微妙。このポジションにどういうモチベーションを持たせればよいのだろう・・・。しかも、彼らのやっていることが結果的にすべて良い方向になっているということであれば、それで良いのに。いったいなぜ彼らを止める必要があるのでしょうか。

理由は、こうでした。日本側に居る、偉い人の中に、事態を把握できずに物事が進むことを嫌がっている人がいる。そこで、その偉い人を納得させるためには、今までどおり、きちっとした会議を開かなければならず、さらに、その会議の結果、その偉い人が納得できなければならないと・・・・。内容を知らないで、知らないところで物事が進むなんて、もっての他だそうです。

結局、その日本の製薬会社は、僕のクライアントにはなりませんでした

いやいやー。日本の製薬会社は、海外に活路を見出している昨今です。これからは、嫌でも、グローバライズが必要なのですが。しかも、その会社はそこそこ大きな会社です。大丈夫かなと思ってしまいます。

笑えないコントラスト

少し前ですが、古いMRの友人が、かなりデスパレートな雰囲気で電話をしてきました。

「山崎さん、何かない?」 僕はリクルーターなので、「何か」とは、もちろん転職先のことです。しかしながら、彼はもうすぐ45歳。MRではなかなか良い案件は出てきません。聞いたところよると、彼はいろいろと紆余曲折があり、現在ではコントラクトMRをしているとのこと。そして、そのコントラクトのプロジェクト先が、とある化学メーカー。その化学メーカーの名前は、だれでも良く知っているのですが、MRがその会社に居る事を僕は知りませんでしたし、少々驚きでした。

「へえ、その会社って、MR居るの?」 僕の質問に彼が答えてくれたのですが、そもそも20年以上前にその化学メーカーが開発して某大手国内製薬企業に導出した医薬品があるそうです。そして、その医薬品は未だに販売中止にならずに、細々と売れているそうです。ここまでなら、特段驚く話ではありません。 最近、その20年以上前の医薬品の製造元である、その化学メーカーが、自前でもプロモーションをすることになり、社史始まって以来、MR部隊を作ったとのこと、そして20人くらいの組織が編成され、そのすべてがコントラクトMRで充足されたとのことです。 なるほど、まあ、兼業メーカーの医薬品部門と考えれば、つじつまの合う話ではあります。 しかしながら、この化学メーカーの給与水準は当然のことながら医薬品業界よりもはるかに低いそうです。さらに、やはり、カルチャーというか、その化学メーカーの元々の社員とは全く馴染むことが無く、その化学メーカー出身の部門長も、MR部隊のハンドリングに訳がわからず四苦八苦していたとのこと。

「そりゃ、そうだよーー!!」 今まで全く別業界の人が、いきなりMRのマネジメントなんて、できるわけ無いよ。僕の発言に彼もうなずいているのですが、話は、まだまだ終わりません。最近、その化学メーカーの付け焼刃の医薬品営業部門に、販売元であるその国内大手製薬メーカーから、次々と出向者が来ているとのこと。出向者は、元々MRをやっていた方々で、すべて55歳以上。医薬品メーカーでの役職はそれぞれ研修部長だの、くすり相談室長だの、学術第6グループ長だの、さまざま。つまり、MR出身の本社勤務のおじさん達です。おじさん達なんと10人が、その化学メーカーにやって来たとのこと。

「で、その人たち、何やってるの?」 僕の質問に、彼が言うには、完全にその製薬企業のリストラの一環で、その化学メーカーは、とりあえずリストラ者の受け皿になったとのことです。役職はそれらしいものがそれぞれついていますが、外回りをするわけでもなく、ただただ会社のデスクに一日座っているとのこと。 MR20人の部隊に対して、間接部門というか、おじさんたちが10人です。さらに、彼が続けるには、このおじさんたちが、暇で暇で耐えられないらしく、やたらと同行をしたがるとのこと。一応、上司という形にはなっているので、もちろん断ることができず、毎日のようにおじさんを車の助手席に乗せて、病院をまわっているそうです。

「それは、大変だわ。」 僕が言うと、彼はさらに続けました。おじさんたちは、もちろん、今まで長年勤め上げたその大手製薬企業から、干されてやってきた感があるので、ネガティブオーラを常にばら撒いていると。車の中でも、愚痴ばかり聞かされているらしいです。とくに、給料の話はシリアスで、半分近くまで減ったというため息と、怨念を毎日毎日聞かされているとのこと。確かに、大手製薬会社で55歳のおじさんだったら、まあ、出世してない人てもだいたい1400万円くらいは貰っているはずです。半分近くに減ったということは、つまりだいたい800万円くらいになったのかもしれませんが、それでもその化学メーカーからしてみれば、スタンダード、というか、むしろ高いほうなのではないでしょうか。納得できる話ではあるのです。そして、昼ごはんを一緒に食べると、おじさんは用事があると言って、どこかに行ってしまうらしいです・・・。

バリバリのMR20人におじさん10人。おじさんたちにとっては、同行者選びも奪い合いかもしれませんね。さらに、コントラクトMRの中には、異業種で優秀な営業マンとして活躍し、コントラクトMRに転進し、MR資格を取得して、これから医薬品業界で生きていこうという、ポジティブオーラ満々の方々も多いのです。そんな、ポジティブオーラ満載の車の助手席に乗るおじさんたち。そのコントラストを考えると、笑うに笑えないですよ。 大手国内メーカーは、いよいよその人員整理に手をつけるときが来たのかもしれないですね

ロシア警察による家宅捜索!

7月5日のロイターが伝えていますが、ロシア当局警察が、ノバルティスとテバの現地法人とロシア国内企業2社に家宅捜索をしたとのことです。ノバルティスのロシア法人は捜索が行われたことを認めていますが、テバはノーコメントの様です。

(http://www.reuters.com/article/2011/07/05/russia-pharma-police-idUSLDE75Q0GO20110705)
いやーなんだか、穏やかではありませんね。
ロシア地元誌のVedomostiの電子版によると、家宅捜索の理由はロシアのシステム内の在庫分配をめぐり、製薬企業間で取り分をめぐる争いの疑いということで、明らかにはされていません。

ロシアでは国によって低所得者のための医薬品を購入してためておくシステムがあるそうです。どの医薬品をどれだけ購入するかは、ロシア政府が決定します。この分配をめぐっては、製薬企業にとっては、売り上げに直結することなので、とてもとても大事、なのであります。

それにしても、警察が家宅捜索をするようなシリアスな状況があるのか? という疑問もありますが、実はあるんです!!

2010年の製薬各社の業績は、比較的堅調だったものの、ヨーロッパと、特にアメリカの医療制度改革によって、ドラッグメジャーにとっては、いかなる打撃があっても驚きではない…というのが大方のアナリストの見方になっております。

オバマ大統領が、向こう10年間に3000万人以上の”無保険者”を解消するといわれる医療保険改革法案に署名したのは2010年の3月23日です。この件に関して実は中間層以上の反発は依然として根強いのです。われわれ日本人にとっては、アメリカもいわば国民皆保険のようになるのであれば、いいじゃないか?というように思ってしまうところもあるのですが、そうシンプルな構図ではありません。

先行き不透明感が株価を圧迫し、スイスのメジャーであるロッシュが先ごろ出した見込みでは2010年と2011年をあわせて10億スイスフラン(約960億円)の打撃をうけるという試算を出したのです。

こんな中で、グローバルファーマは、これらの欧米でのアンチ要因を相殺して、払拭するために、「急成長」で「新しい」市場の開拓を急ぐのです。

「新しい市場の開拓」というと、非常にポジティブに聞こえますが、言い方を変えれば、「早くどこか他のところに頼りたい」ということと同じです。そのひとつが前回の中国、そして、同様に重要視されているのが、ロシアなのです。

ドラッグメジャーがケンカをしてでもロシアのパイを取り合う事情は…それは、欧米市場先行き不透明感に答えが潜んでいるのではないでしょうか?

ロシア現地法人の幹部たちには、HQから相当なプレッシャーが有ったのではないでしょうか。ノバルテイスにおいては、ロシアのサンプト・ペテルブルクにすごい工場を建設する予定で、これを足がかりに、ロシアマーケットをしっかり掌中に収めようという狙いがあり、ロイターによると、諸々込み込みで今後5年間に500億円を投じようとしています・・・。これは、当事者にとっては、エラいプレッシャーがかかていると思いますよ!

ただし、ロシアでは、医薬品、ヘルスケア品の海外品比率が80%を超えてしまうようで、プーチン大統領は国家の健康政策にとって危機的状況であると認識をしています。そのまま、すんなりと、外資に商売をさせるかどうか、、わからないと思います。

欧米でのツケは、どこで回収できるのでしょうか。パラダイスは、ロシアでしょうか。中国でしょうか。それとも、他に妙案が?

なぜ糖尿病マーケット?

新薬のマーケットは基本的に先進国であるということが前提になっています。例えば、発展途上国において、抗がん剤や低用量ピルをプロモーションしようと思っても、難しいですよね。

ある程度国が豊かになってくると、まず初めに普及するのが抗生物質でしょうか。日本でもペニシリンに始まる抗生物質が戦後製薬企業を成長させた歴史がありますよね。

アメリカに次ぐマーケットが日本、そしてその次がヨーロッパ…長年にわたり、グローバルでこの順番のマーケット規模で医療用医薬品は動いてきました。

そんな中、やはり見逃せないのが中国市場の目覚しい発展です。なにしろ、富裕層と言われている人々が1億人を突破しているらしいですから。当然のことながら、富裕層は、ヘルスケアにおいてもより良いものを求めているわけです。1億人と言えば、まるで日本そのものです。

世界第二位のマーケットである日本と同等規模のマーケット、しかも更なる急速成長を続けている、一種そら恐ろしいマーケットが突如現れているわけですから、ドラッグメジャーが熱い視線を浴びさせていることは周知の事ですし、当然のなりゆきです。

中国市場は問題がないわけではありません、むしろ問題満載でしょうか。法整備、インフラ整備、カルチャーの面でまだまだ成熟することが必要なのです。富裕層は一億人居るが、ソフト面もハード面も成熟が必要。

そんな中国市場に、現況で勝負できるものはあるのか? あるなら、どの疾患の医薬品で先に勝負するのか? それとも、インフラ整備を待つのか?

市場規模は大きいかもしれないけれど、とても難しいターゲッティングにドラッグメジャーは直面してきました。簡単においしい話は、なかなかありませんよね。

製薬メジャーが先に目をつけたのか、はたまたニーズが先に発生したのかはわかりませんが、答えは、糖尿病マーケットです!

昨年の資料で中国の糖尿病患者数は9240万人で患者数世界一と言われているインドをも抜き、グローバルナンバーワンに躍り出ました。(誇るものではないかもしれませんが…。)

「New England Journal of Medicine」によると、2007年6月から2008年5月にかけて行われた調査で、中国人の成人の糖尿病有病率は9.7%ですから、ほぼ10人に1人。さらに予備軍は15.5%だそうですから、日本の有病率7.3%を軽々抜いてしまっているのです。

インフラはそれほどまでは必要としない、急性期に重篤にはならないがコントロールが必要、重症化するととても怖い、薬物療法、運動療法で改善する・・・・。こんな状況が、実は中国の現在の状況にも偶然マッチしてしまい、ほぼ糖尿病の市場として完成されていると言ってよいのです

突然、とてつもなく大きな患者群が、もう今まさに口をあけて医療用医薬品を求めている・・・。

この一連の現状は、実はドラッグメジャーにおいて、中国戦略だけでなく、グローバル全体の開発戦略にも影響を及ぼしているのです。

糖尿病の治験に積極的になっているメジャーは、その理由を、現代人のQOL、生活習慣改善、合併症の早期予防…などなどと位置づけてはいます。しかしながら、大方のアナリストは中国マーケットの存在が、ドラッグメジャーを、グローバルで糖尿病マーケット重視に走らせていると考えています

グローバルで動くからには、ドラッグメジャーは競争に勝たなくてはなりません。もはや中国一国に関連する話ではなく、世界戦略として失敗が許されなくなってしまったのです。

ドラッグメジャー各社は、人材面でも、グローバルで優秀な人材を中国に集め始めました。事実、私が懇意にしていた某企業のやり手の外国人の営業本部長は、先日中国法人の社長に就任し、日本を後にしました

ドラッグメジャー各社は今、水面下ではありますが、勝ち抜くために失敗の許されない中国マーケットの攻略合戦に火花を散らしているのです。

鎮痛薬で痛い。

先週末、米国ファイザー社は、同社が申請していた麻酔鎮痛剤が正式にFDAから却下されたことを発表しました。ファイザーといえば、グローバルでNo.1の製薬企業で、その研究開発費だけで、日本国内の製薬企業の全売り上げを上回るといわれています。そんなファイザーにとっては、申請品目がひとつ却下になったとしても、次、またその次の品目で稼げばおつりが出るくらい儲かるだろうし、それほどダメージを受けるニュースではないかと思います。

しかしながら、自社開発品ならともかくこの麻酔鎮痛剤Remoxyにいたっては、開発ベンダー、つまりアライアンス企業が数社加わっているので、その開発ベンダーにとっては、明らかな痛手、ぶっちゃけ、痛いです。

製薬株は日本においても昔からシテ株化しやすいというか、いわば投機筋的には新薬の噂で跳ね上がるし、また暴落します。投資家の国アメリカではもちろんそれはさらにオーバーヒートします。事実、6月の米国のバイオ関連の株の動きを見ていると、値上がり率で上位はPharmacyclics Inc. (PCYC) 47.9%を皮切りに、Oncothyreon Inc.( ONTY) 42.0%、ついでAriad Pharmaceuticals Inc. (ARIA) 30.5%に対して、逆にワーストランカーになっているのがPain Therapeutics Inc.(PTIE) -61.1%、Intercell Ag Sponsored Adr( INRLY) -48.5%、さらに次いでDurect Corp. (DRRX) -42.0%です。

特筆すべきは、ワースト3社のうちの2社において、このファイザー社のRemoxy関連株ということです。RemoxyはPain Therapeutics Inc.とDurect Corp.が開発してファイザーがアライアンスを組んで申請まで漕ぎ着けた候補物質なのです。ファイザー社の株価に特にダメージはないものの、この2社がバイオ関連株のワーストを固めてしまっているという、不名誉な結果になってしまいました。投機筋にとっても、FDAの申請は常にウォッチングしている材料であるのは当然のことで、一度REJECTEDのニュースが流れますと、株価の下落は避けられません。この2社にとっては、本当に痛い、ニュースなのです

「痛い」といえば、皮肉にもこの薬剤は、鎮痛剤なのです。鎮痛剤が、こけて、リアルに痛い。洒落にもなりません。

ところで、これらの麻酔系の鎮痛剤ですが、評価診断の上で、有意差をつけるパラメーターの採り方がとても難しいと言われております。何しろ、基準は「痛み」です。痛みをスケール化して、その数値を統計上で解析しなければなりません。また、痛みの原因も様々で、ここの患者の痛みが何に由来するのかにもよります。麻酔科系のこの手の薬剤は、様々な痛みに対応した効き目を有する場合が多いです。慢性疼痛でもがん性疼痛でも、リウマチでも、とにかく痛みを取り除くというミッションをもった薬剤です。

知り合いの麻酔科の先生に聞いたことがあるのですが、とにかく「痛い」という、訴えは、本当に多いそうです。原因がわからない痛みもたくさんあります。痛みは、すべての活動を邪魔しますよね。痛いままでは、何もできません。ですから、医師はとにかく、痛みを取り除くことが優先されるそうです。

どのくらい痛いのか、ということになるのですが。痛みのスケールに関しては、専門的なものも色々あるのでしょうが、一番親しみやすいのが、フェイススケールですよね。

フェイススケール

上のスケールでは、ファイザーは2番、そのアライアンス先は5番でしょうか・・・・。

ペインの薬でよく聞くものとして、コデイン、ヒドロコデイン、また緩和ケアでは、当然モルヒネを使うのですが、いわゆる頭痛や腹痛や、種々の訴えにも使う、さらにはNSAIDと呼ばれる、いわゆるバファリンやセデス、ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛剤をも対象に取って代わるような、薬剤・・・。もし、本当にNSAIDのマーケットまで進出できるのであれば、Remoxyにかかる期待は相当のものがあったと思います。期待が大きく株価も上がり、その後下がる。したがってこれほどまでの下げ幅にもなるわけです

いずれにしても、日本では大手に候補物質を提供するようなベンチャーは数社しかありませんし、FDAよりも早く機構を通過することも考えにくいので、海の向こうの話…という風になってしまいます。しかし、これによってグローバルでまた数パーセントのリストラということになると、関係は全くないわけではないかと思います。グローバルのパイプラインのウォッチングも、企業選びには必要になってきますね。・・・企業選びって、株ではなくて、転職先です。 もちろん。